会員の作品

「未来山脈」の会員の作品です。

素足(未来山脈第381号より抜粋)

雷鳴とどろきあられの音して雪の予報の朝に目を覚ます
札幌 西沢賢造

今まで通りでいい オンオフで足りるのにやかましい進化
千曲 中村征子

ゴーッと地が鳴りキノコ雲が立ち上がる「撤退しろ!」と無線の叫び
下諏訪 笠原真由美

寒風を背に千曲川のせせらぎを聞く 年明けの初歩き五千八百歩
坂城 宮原志津子

八十路の我はワープロで作歌 昔の文明の機器は老人の杖だよ
下諏訪 小島啓一

ひみことはやまたいこくか日本の創造主は女帝なのか
神戸 池たけし

空も湖も澄んだ青 八ヶ岳は雪化粧して見下ろしている
岡谷 花岡カヲル

川中美幸や細川たかしは素朴私なんかでも話しかけてくれる
箕輪 市川光男

拭くたびに私を映す鏡は口角上げて老をつくろう女の見栄
岡谷 土橋妙子

二人からプロポーズ受けし走る馬のたてがみのように心が揺れる
埼玉 清水哲

結婚して夫が作ってくれという朝鮮漬け 食べたことがない
岡谷 武井美紀子

Yarukiを持ち合わせてるかそれで決まる尽くせぬYaruki希望します
東京 久保田万作

精一杯生きて潰れた人を非難できない 頑張れとはもう言えない
つくば 辻倶歓

ホカホカの炬燵に屈託なく笑う夫婦 あたしも支えるよ
富田林 木村安夜子

助けを呼ぶこともなく塩をなめ水を飲みつつ餓死する二人あり
神戸 粟島遥

我が君とハウルが同じキンナンバーとは 声が出るほど驚いた
山梨 岩下義啓

時間がたっぷりあった学生時代 貧乏旅行のお供はいつでも青春18きっぷ
流山 佐倉玲奈

壇上で一列に並んで万歳と手を上げる 誓いを新たに真剣な目
熱海 石川とみ

頬がやさしい目が優しい白髪の箒職人確かな手元へのこれは恋か
岡谷 唯々野とみよ

叔母が逝き生家の家系で年長となり自覚と寂しさ
北九州 大内美智子

節分は二月二日 福は内コロナ外 笑いあって二人だけの豆まき
松本 金井宏素

コロナにかかり長い入院 退院したけれど本当に回復するのか
埼玉 赤坂友

日曜日ラジオの音楽聞きながら 仏画に向かうお気に入りの時間
下諏訪 今井恵子

長い階段はS字形に登る 大袈裟だがこれが私の生きる哲学
大阪 加藤邦昭

君とのお話は秘密心の奥に仕舞うよ 柔らかなボールが飛んで来た
伊那 金丸恵美子

去年今年コロナ禍の世に光あれ逝きしも遺るも魂魄(ブシューケー)違わず
東京 木下海龍

「明るい心」そのように過ごそうと孫の書初めを部屋に貼る
米子 笹鹿啓子

なんと優雅な小鳥の舞か ダンシングの指揮者はどなた
下諏訪 光本恵子

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いのち(未来山脈第380号より抜粋)

コロナで神経すり減らした一年 体重増加もコロナのせいにして
諏訪 大野良恵

人類の遠い先祖が海を離れてから四億年の長い歳月が経った
青谷 木村草弥

時雨来て重苦しい一日 巴布剤しんしん膝に染み入る
諏訪 河西巳恵子

筋肉痛 どこから来るのかわからぬが運動不足だけはわかったぞ
青森 木村美映

寒さ増し目もさめるような赤いもみじの下に楚々と社鵑草咲く
岡谷 花岡カヲル

近頃後ろを見る自分に気づく まずい まだ早いぞ前を見ろ
箕輪 市川光男

孫の秋華がピアノを習い始めた 先生は最近再会した友のお嬢さん
諏訪 宮坂夏枝

見るだけだった陶芸 思いがけなく一日体験する
岡谷 佐藤静枝

あっと言う間に旅立ち 冷たいほおは眠るように
鳥取 小田みく

糖尿病の定期検査に向かいながら過去二ヶ月の生活を思う私
米子 稲田寿子

姿が見えぬ夜中の動物すばしっこい私は重い足を引きずって捜す
茅野 名取千代子

出来ることなら誰のことも苦しめたくない でも苦しめてしまう人間の性
つくば 辻倶歓

今年はとうとう後期高齢者になってしまいました
米子 安田和子

持久力落ちしと思う 先日の激情さえも朝霧のよう
一関 貝沼正子

クワバラクワバラ 頬ふくらませ愛嬌顔の台風十号TVに登場
米子 大塚典子

帰る息子に ほらよ採りたてキャベツ放りこむ 車の窓から
福知山 東山えい子

桜町通り街路樹は銀杏落ち葉掃きができないと青い内に切り坊主だ
飯田 中田多勢子

作業中は顔を上げる事もなく黙々と検品に精を出し時を忘れる
仙台 狩野和紀

黄と赤花が咲いたか丸い山 もう秋ふるさと池河内は
小浜 川嶋和雄

ひゅうひゅう吹く風にさらわれて赤や黄色の枯れ葉と燥ぐ
岡谷 金森綾子

ふるさとはりんごの産地 赤く色づいて私を迎えてくれる
岡谷 片倉嘉子

真っ青な矢車の花一輪 凛と咲く秋の日に
岡谷 横内静子

色付き多彩に天に映える七色大カエデ 山あいの丘に人々の賑い
岡谷 三澤隆子

八重咲の白い山茶花ぽつねんと人待ち顔で料理屋の入口に
岡谷 柴宮みさ子

参加してたNHKのドラマ OA日もタイトルもホームレス役のぼく
東京 天野ロケ

ピアス口紅シルクのトップ 下半身は普段着のままZoomのクリパ
下諏訪 中西まさこ

あの人に言われたことが今ごろ分かって風の中にいる
下諏訪 笠原真由美

もうよそう いえこれから咲かねば 遅咲きに咲きはじめた私の朗読
下諏訪 須賀まさ子

小学校では日華事変中学は大東亜戦争大学一年で終戦戦争の青春だ
大田原 鈴木和雄

婚礼衣装をスマホで共に品定めしたケアマネも今は二児のママさん
大阪 高木邑子

ピラカンサス 青空映す薄氷 年の瀬の道 ふと立ち止まる
神戸 粟島遥

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太陽はいま(未来山脈第379号より抜粋)

文学の師匠の住まいに足繁く通った若かりし二十代
諏訪 藤森あゆ美

銀時計の下でと安夜子さんどこなの うろうろ名古屋駅ホーム
福知山 東山えい子

「ハレ」は「ケ」という言葉と対立的に用いられる
青谷 木村草弥

真夜中のベランダに十五夜の月 人は皆どんな夢を見ているのだろう
岡谷 三枝弓子

縄文の狩人たちが住むという湖底ふかく鎮もる諏訪の湖
大阪 與島利彦

去年のカレンダー未練がましくかかるやり残したことが多過ぎて
宗像 吉田桂子

起床の音楽もゆったりきける貸し切り三畳半のテリトリー
仙台 狩野和紀

黄色のオミナエシお盆にお墓に供える花に一本入れると見栄えがする
飯田 中田多勢子

申告すれば隣県島根に遠出OKの娘と心のよりどころ出雲大社に詣る
米子 大塚典子

「ローマ」とは枠組みでありローマとコンスタンチノープル並び立つ
青森 木村美映

突然に電撃走る右の腰 夫は動けぬ私をを支えてくれる
原 桜井貴美代

草に白い霜満天星の赤映える 休むトンボも赤色
原 太田則子

突然に嵐のごとく入院と言うお供を連れ私は患者となる
原 江崎恵子

ぞくっと背中が応答する マイナスの早朝のデビュー
原 泉ののか

目覚めると今日も青空心が躍る さあ出かけよう大きな空を見に
原 森樹ひかる

誰もいない静まりかえる秋の庭 ”ココニイルヨ”笹の葉ゆれる
富田林 木村安夜子

コロナで帰省もできずにいた そんなときに飛び込んできた訃報
流山 佐倉玲奈

米川のさざ波を見つけて今朝も歩くいつもの道を黙々と
米子 角田次代

現実の話なんか聞きたくないよ辛い痛い悲しいさみしい
北海道 吉田匡希

左肩から手首にかけて激痛が走る 身動きできなくなる
大阪 加藤邦昭

何で捨てられよう赤い服 作ってくれた人が目の前にいる
千曲 中村征子

赤ん坊の全き信頼のまなこ ごくんごくんとミルクを飲む
諏訪 宮坂夏枝

「ちはやふる」本当の意味も知らずして ただ追いかけるだけの恋
姫路 おり姫

視力脚力聴力腕力忍耐力減った 恋の力もっとも
岡谷 唯々野とみよ

弧になって唄ってもらうハッピー・バースデー 泣いてもいいでしょうか
諏訪 河西巳恵子

降りそうで降らない空のようなその顔いっそ激しく泣いてしまえば?
京都 毛利さち子

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いのち(未来山脈第376号より抜粋)

諏訪のうみ湖底に眠る縄文の狩人たちの声無き声を聞く

岡谷 三枝弓子

 

歌を詠もうか辺りを見まわす風も水もすべてが生きてくる

木曽 古田鏡三

 

あなた自身で窓を開けることもない海はガラスを透き通ってゆく

愛知 早良龍平

 

薩摩芋おいしいと言えば愛情入れた一本取ったと雅子さん

諏訪 河西巳恵子

 

小鳥の声に癒される朝心もスキップ空を見上げる

箕輪 市川光男

 

姉のように慕って四十年 土・日の茶飲み友その人はもう居ない

下諏訪 藤森静代

 

源氏物語の巻の名がせつない 触れれば落ちるか夕顔の花

千曲 中村征子

 

夫への気配りなし寂しさふっ切り行こう 未来山脈全国集会

福知山 東山えい子

 

高速道路が走らぬ吾妻谷を突き抜けて逃げ道を造り続ける

群馬 剣持政幸

 

今までに経験のない趣のある時間を頂く ファミサポの子供達より

伊那 金丸恵美子

 

筆力のはみ出し見事な絵手紙のつづきの“夢”を貰って会場を出る

岡谷 土橋妙子

 

今年も山の栗を拾って届けてくれたMさん 早速栗ご飯を炊く

飯田 中田多勢子

 

秋雨の滴したたる街路樹 菩薩のように立っている

大阪 木村安夜子

 

沈みゆく夕陽を追ってほころんで朝日にしぼむ瓢箪の白い花

岡谷 三澤隆子

 

気づいたら頬に涼風小顔の千日紅いつのまにぽふぽふ数を増やす

岡谷 柴宮みさ子

 

あっという間に一年が過ぎちらほら紅い桜葉目に染みる

岡谷 金森綾子

 

晴天の夏日に早朝から皮をひき祖母は瓢箪を仕上げた

岡谷 片倉嘉子

 

”茄子の花は千に一つの無駄もない”というが秋茄子食べたくてばっさり

岡谷 横内静子

 

この夏中そこにいたのねマムシグサ シダの葉枯れて頭を出した

下諏訪 中西まさこ

 

今夜は寒い布団のぬくもりは母のよう今日は彼岸の入り

米子 角田次代

 

思いがけない圧迫骨折に数センチの移動にも悲鳴がもれる

諏訪 増田ときえ

 

敬老の日 娘家族が里帰り 老父母の国勢調査をネット処理する

大阪 與島俊彦

 

コロナ禍にマスクする日々口紅を引かねば緩む口許かくす

一関 貝沼正子

 

地球を形成する数々の元素を生み出した宇宙の誕生

青谷 木村草弥

 

東京は怖いところだと聞いていたぬばたまの街に眠らない人々

北海道 古田匡希

 

屋根を打つ激しい雨音聞きながら佐渡への旅に心はずませる

原 桜井貴美代

 

そば畑白い花の向こうに北アルプス 雲を脇にかかえる

原 太田則子

 

小金の谷色を添えるコスモスの花 稲刈りをまつ

原 泉ののか

 

友人も家族も親戚も来ないいつもと違う夏がぼんやりと過ぎ去った

原 森樹ひかる

 

白い光を弾いてパラソルハンガーを開く 着古したTシャツばかり

松山 三好春冥

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太陽はいま(未来山脈第376号より抜粋)

夢の中にだけ現れる両親の海より深くかぶる帽子
愛知 早良龍平

罌粟粒ほどの種子を蒔く 五つの鉢にあふれる松葉ボタンの花
岡谷 三枝弓子

つきささる視線に顔をあげる 元気お出しと向日葵
原 泉ののか

熊除けにリンリンリンと鈴ならし人に出会えばちと恥ずかし
原 桜井貴美代

原村の気候にまさかの扇風機買い自然の風は勝てなかった
原 太田則子

一心不乱にただただ見つめている愛犬 しっぽがぷるぷる揺れている
原 森樹ひかる

アンパンマン コロナ姫を助けてあげて さみしくて心優しい女の子
山梨 岩下善啓

がんばれと声かけ続けたあの人が逝った 広島忌を迎えぬまま
群馬 剣持政幸

潔くも自信に満ちた名刺をいただいた「山崎正和」四文字のみの
京都 岸本和子

草を刈る音がする草の泣き声がする草の涙のにおいがする
岡谷 唯々野とみよ

夏の診察室は葉陰に昏く「久しぶりですね」とK先生がいう
下諏訪 笠原真由美

検査・指導・診察で半日が終わるこれがなくなったら私もあの世か
箕輪 市川光男

盆棚を作るのに夫は道具が重たくて運べない飾るのを息子に頼む
飯田 中田多勢子

猛暑の中親友の妻が逝ったとメールが届く今年一番の辛いニュース
藤井寺 近山紘

ひと抱えの花束を持って従妹がくる労りが嬉しくて目が潤む
岡谷 佐藤静枝

衣が上の「衣更」衣が下の「更衣」衣を変えるから「ころもがえ」
豊丘 毛涯潤

ピカマチスを知り大熊医院の院長先生は吾の診断の結果を見て青くなり
埼玉 清水哲

「クマ鈴を必ず持っていってね」早朝の独り散歩を心配してくれる
下諏訪 中西まさこ

短い命を燃やしつくした蝉の亡きがら 車が轢き去る夏の暮れ
大阪 山﨑輝夫

タイヤがない車が走ったら面白いだろなと頭の中が 信号待ち
愛知 川瀬すみ子

思いっきり抱きしめた夜の痺れを右の腕がおもい出している
横浜 上平正一

梅雨明けどっと押し寄せる暑さに畑仕事 下着ぐっしょり濡れる
岡谷 花岡カヲル

巣ごもりは6ヶ月目に突入し 今日も一人除草剤を撒く
横浜 福長英司

わが庭で今年の夏も見る花は まだ青いんだ白百合だけど
小浜 川嶋和雄

川の瀬音聞こえる湯の街 歩く人の姿は少なく土産店静か
辰野 里中紗衣

雨が降る土にしみ込む緑が育つ この生命こそ根っ子になろう
木曽 古田鏡三

風は未だに冷たい朝 いいことがありそうな そんな予感 きっと春の始まり
熱海 石川とみ

済んだ事は容認して振り向かず進む私の心改造計画の第一歩
大阪 高木邑子

愛しきれずに生かされる女いつまで経っても恋愛体質
諏訪 藤森あゆ美

 

※掲載されていた以下の作品は大木瑞香さまの作品でした。お詫びして訂正いたします。

天空に舞て来よ亡き姉よ さ緑の空天女の如く

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素足(未来山脈第375号より抜粋)

隣のじいが蒔いた豆むっくり双葉が土をもたげました
福知山 東山えい子

図書館の図書の貸出期間が短すぎる 今回もまた期間園長申請

大阪 加藤邦昭

決算報告終了! ソーダ水を飲みながら武田双雲の動画に爆笑する
下諏訪 笠原真由美

目に見えないコロナ収束なく一年の折り返し月に半夏生が咲く
下諏訪 藤森静代

きっと恋をしているんだ 七月の空を若葉が戦ぐ(そよ)
富田林 木村安夜子

復興に予算もボランティアも足りないと災害来ぬように神頼み
下諏訪 小島啓一

夏至から十日目が半夏生 今年はことさらに待った白い花
京都 岸本和子

わが地球の生誕は四十六億年前 地球への生物出現は 三十八億年前とか
大阪 與島利彦

今年も秋田の高校同級生からさくらんぼが ゆうパックで届いた
飯田 中田多勢子

特別定額給付金の十万円が支給されたと通知が来た
米子 安田和子

朝霧にぬれたトウモロコシかいてきて熱々湯気のつぶつぶぞろい
諏訪 伊藤泰夫

玄関の鉢植えの福寿草春を知らせるように花を開いた
茅野 平澤元子

ピカマチスの葉っぱをなでれば海超えて砂漠の粒が鉢植えについて
埼玉 清水哲

コロナ三満自粛に各行事はほとんど休止になる 空き時間は自由だが
岡谷 武井美紀子

梅雨空の林の中からホーホケキョトッキョキョカキョク二羽の鳥
東京 鷹倉健

卯の花は早くも廃れて凌霄花雨にからめる石堀つづく
大阪 篠原節子

ひとりで見た桜ひとりで登る山しみじみとひとりコロナが来てからは
北九州 大内美智子

梅雨も明けないのにセミが鳴き始める いつから夏と呼ぼうか
流山 佐倉玲奈

また雨が強くなってきて水たまり大声でうたっておどる
岡谷 唯々野とみよ

気付かぬままにかさねていた年齢 予期せぬ病がわが身にも
境港 永井悦子

コロナ姫の物語 やなせたかしだったらどんな世界を描いただろう
山梨 岩下善啓

咳たん息切れ 止まらぬ咳のために夜中に何度も起きていた夫
米子 笹鹿啓子

資格を取ろうと勉強中 土日は特に机から離れない
横浜 大野みのり

ブロードウェイ・ブギウギのマスクにつられ電車を下りると夕焼け
東京 金澤和剛

施設に入りちょうどコロナさわぎにぶつかって誰にも会えない
諏訪 上條富子

明治参拾弐年購入輪島塗御椀 五十個の椀を捨てるという
下諏訪 光本恵子

 

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いのち(未来山脈第374号より抜粋)

起こりには(硝子のコップが落ちた)音 張本人から傷つくための
愛知 相良龍平

りんご園の自販機が売る布マスク赤いドットの一つ購う(あがな)
一関 貝沼正子

古い手紙はダンボール五つ色あせた本は三百冊 古希の断捨離
松山 三好春冥

従兄弟が畑を耕しに来てくれる胡瓜やトマト野菜の葉は青々
岡谷 佐藤靜枝

ひと月休むと自分で決めたFB(フェイスブック) 旅の写真など投稿したいが今は自粛
下諏訪 須賀まさ子

変なの うるさがり屋のわたし蛙と鳥がゴッチャに聞こえる
千曲 中村征子

多芸多趣味の人生を送った知人の夫は七十五歳で旅立ったあまりにも早い
米子 稲田寿子

色さめた夕焼け雲と月が浮かぶ今夜の空は
茅野 平澤元子

山紫陽花に寄り添うライラック 雨の中ひっそりと濡れて咲く
岡谷 花岡カヲル

給付金を手に我慢したものひとつずつ ためらわず買える快感
諏訪 大野良恵

コロナ禍で日々の暮らしに暗雲が先行き分からぬ世界の未来
原 桜井貴美代

満ですよ五羽の子燕巣から落ちそう押し合いながら餌をねだる
原 太田則子

はるちゃんの鯉幟 元気いっぱい青空を泳ぐおよぐ
はら 泉ののか

我が家の道のまん中にポツンとさいた小さなワイルドデイジー
原 森樹ひかる

今年も嫁から娘から届くはなやかな母の日の花心遣いが胸にしみる
岡谷 武井美紀子

要介護にお世話になるも気恥ずかしい 人様の面倒も見ないで
茅野 名取千代子

遅日 感じる夕ぐれに 夏のおとずれがすこしずつ聞こえる
鳥取 小田みく

格差社会の底辺の娘がいう私にまで十万円くれなくてもねと
大阪 高木邑子

緑がそよぐ春がきた百姓も始まった竹の子さん顔出せや
木曽 古田鏡三

コロナ緊急事態宣言から解除まで 長かったひと月半
諏訪 宮坂夏枝

「隣の芝生は青い」というのは どういうことだろう
青谷 木村草弥

寺のきざはしに腰をおろす老人二人彼岸此岸の風に吹かれて無言
岡谷 土橋妙子

さり気なく肩を寄せてくるひとは爽やかな千草の匂がする
横浜 上平正一

正午過ぎの不思議な光景 帰る生徒と登校する生徒が交差している
京都 岸本和子

大気が瘴気に満ちている みんながマスクを着けている
山梨三郷 岩下善啓

朝起きる猫の仔来たり転がって「撫でていいよ」と声が聞こえる
神戸 粟島遥

コロナ休校だ 今宵も親子でパタパタ縄跳びの音する夕焼け小焼け
大阪 山﨑輝男

コロナ禍に逝きし友にも会えずして一夏(いちげ)過ごせど救いなきまま
東京 木下海龍

三キロを歩いて此の花確かめに 満開にはもう少し
岡谷 唯々野とみよ

ピカマチスの葉っぱをなでれば海越えて砂漠の粒が我が鉢植えについてをり
さいたま 清水哲

以前のように身体が動かない なかなか短歌もできない悲しさ
埼玉 赤坂友

助手席の母を横に久しぶりにハンドル握る ちょっと爽快
横浜 大野みのり

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太陽は今(未来山脈第373号より抜粋)

薄翠のはなびらひらき六月の桜がひらき散った六月
北海道 吉田匡希

八方塞がりが心に影を落とす ロールシャッハの不定形の染み
京都 毛利さち子

春のカラス一羽 幸せな住処めざして飛んでゆくのだろうか
札幌 西沢賢造

一番に逢いたい人はお父さん! は本当 でも自由も良い
福知山 東山えい子

黄色の水仙が咲いたよ 車椅子の母に窓越しの風を見せる
松山 三好春冥

地域集団作る媼ら家よりいいと悪口雑言餌に暇もて余す
諏訪 河西巳恵子

庭先で老いが転ぶ大丈夫かと言えば 大丈夫と言う谺でしょうか
豊丘 毛涯潤

夫が逝って一人では耐え難く居候をさせてもらう姉の家
岡谷 佐藤靜枝

しきりに動きたそう 動けない動かない 変だ ひょっとして
奈良 木下忠彦

コロナがね原村にも来たんだってと口から口へ実(まこと)しやかに
原 桜井貴美代

雨上がり陽を受けた水たまり二羽の雀が水かけごっこ
原 太田則子

トラクターの音が響く誇らし気に光る掘り起された土
原 泉ののか

灰色の森から生命(いのち)みなぎる緑の森へ まさしくゴールデンウィーク
原 森樹ひかる

乗客の来ない今年の連休に片付けに集中する毎日
諏訪 浅野紀子

咳をしてもコロナ? くしゃみが出た 飛沫が飛ぶ マスク マスクと騒ぐ やれやれの毎日
東京 上村茗

花冷えの夜 牧師の許可を得て暗闇の礼拝堂で一人祈りを捧げる
大阪 加藤邦昭

せっかく髪染めたのに友だちにも会えず学校へも行けない息子
諏訪 大野良恵

社会の機構 人の情コロナウイルスみな喰い荒らす
諏訪 松沢葉子

予定表 あれもこれもが中止で消され 通院日だけが残ってる
坂城 宮原志津子

歳食って生きていると何が起きても叉来年の春うららの楽しみある
藤井寺 近山紘

みんな自分の優位性を強調し自信満々な発言私はカッコ付けてもだめ
下諏訪 須賀まさ子

庭のあちこちに二寸足らずの可憐なすみれ微風に首をふりふり咲く
岡谷 花岡カヲル

曾孫十九歳の誕生日大学も決り入学を待つばかりでも行かれない
東京 保坂妙子

高齢者になって腕力脚力腹筋の衰え切実に感じる昨今
岡谷 武井美紀子

耳障りなのは「躊躇なく」と「スピード感」偉い人ほど言い訳がましい
横浜 福長英司

零下の朝は寒いけれど窓越しの日差しにホッとする
茅野 平澤元子

パソコンを替えたついでにオフィスを更新するのもなりゆきでした
青森 木村美映

集落の鯉幟あがる空にウイルス吹き飛ばせと祈る
諏訪 宮坂きみゑ

一日に何度となく繰り広げられる姉弟げんかそれでも姉弟がいていい
流山 佐倉玲奈

フランス コンクのサント・フォア教会の「タンパン」
青谷 木村草弥

新聞にテレビニュースはウイルスだ コロナコロナとほんと疲れる
小浜 川嶋和雄

予定なく五月のカレンダーは真っ白 スケッチブックを取り出す
米子 角田次代

残雪の仙丈に向かって力強く泳ぐ鯉幟病を乗り越えた私を励ます様に
箕輪 市川光男

青嵐渡るや八洲コロナ災 蝦夷の國から琉球までも
東京 木下海龍

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素足(未来山脈第372号より抜粋)

しがらみ年ごとに外して古希 瀬と淵の際も知らず逆らう
松山 三好春冥

八幡の杜の木々に淡い花を咲かせるなごり雪 華やか故のはかなさ
岡谷 三枝弓子

とうに忘れていた約束靴の紐がほどけているのを見て思い出した
藤井寺 近山紘

コロナで休校ドキッ! 孫ら三人預かって ありそう
福知山 東山えい子

歌集「信天翁」が届く 病気療養中の私には意味深に響く歌集名
大阪 加藤邦昭

山から里へ降りて来る朝もやの中 車走らせポストへ短歌投函する
辰野 里中沙衣

初詣での階段のぼれば蹌踉(よろ)けてる八十間近の萎びた青年
横浜 上平正一

世界中に広がるコロナウイルス 人々の流れ密度の濃さを再確認する
坂城 宮原志津子

冬物をまとめて車に積み込むこの冬物来年も着るつもり自分に問う
東京 鷹倉健

居心地悪そうに並んでいる玄関前の雪かき春に追われて
諏訪 大野良恵

また泣ける何が悲しいわけじゃない いたわりなのか確かな助言
諏訪 伊藤泰夫

春の下弦の月 オリオン座瞬く大きな窓の真夜中
諏訪 河西巳恵子

生きる資格が無いかもしれないのは分かっているそれでもささやかな幸せを
つくば 辻俱歓

放たれて何処へと限りなく夫と行く 深山は二人を飽きさせない
岡谷 横内静子

冬枯の我庭に春一番告げるサンシュユの黄花道行く人も振りかえる
岡谷 三澤隆子

ここからは見えないはずの富士山を蜃気楼のように雲つくり出す
岡谷 柴宮みさ子

海の近くに住みたい 僕の住む長野県はどこを見ても山
松本 下沢統馬

ささやかにバレンタインデーに込めた愛ふぞろいのまま箱に詰め
岡谷 金森綾子

ふきのとうを夢中で採ってザルいっぱい天ぷらのほろ苦さ
岡谷 片倉嘉子

人のいないスクランブル交差点に歩行者信号が点滅している
下諏訪 笠原真由美

暗いニュースの日々楽しいことを考え免疫力アップ 身を守りながら
米子 角田次代

ギャーギャー騒ぐ外の光景は上の空テレビ点ければ新型肺炎の話題
群馬 剣持政幸

駐車場にぽろんっと一つ苺が日向ぼっこ 誰にでもない赤い孤独
愛知 川瀬すみ子

目が覚め短歌をつくろう目がちらちらして字が書きにくい
諏訪 上條富子

かわいくないはなやかじゃないその名に負けてる姫踊り子草
岡谷 唯々野とみよ

短い眠りから覚める 目を閉じて二度寝の眠りのふりをするも
札幌 西沢賢造

寝れ親しんだ環境に不安がつのる 得体のしれぬ外菌で
境港 永井悦子

仕立てたままで箪笥に三十年 米寿に着よう 仕付けをほどく悦び
岡谷 堀内昭子

ならんだならんだチューリップ頭ゆらりゆら春風が優しくなでる
岡谷 伊藤久恵

春耕の音も賑やかに深い眠りから覚めた大地 いよいよ出番
岡谷 林朝子

気づかなかった電話・メール「会えないんだから電話ください」と
下諏訪 須賀まさ子

仰向くと水を讃えた桜花が今日も昨日も しずかに珈琲すする
富田林 木村安夜子

トントントンと朝の階段 ソレソレのかけ声と手すりにすがる夜
長野坂城 宮下久恵

今 午前五時 目覚める事が余り嬉しくないような気持ち
太田原 鈴木和雄

仮定された上空までの奥行きを永却見上げた 食卓に就いて
愛知 早良龍平

土のなか黄色い頭のふきのとうぽつりぽつり語り始める
下諏訪 光本恵子

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いのち(未来山脈第371号より抜粋)

朝の通勤電車 座る確率が上がる 喜ぶ自分がいる
京都 岸本和子

おやすみキテイー おやすみ 願えば叶うってどこかでまだ信じている自分
北海道 吉田匡希

友より届いた野菜の宅急便菜の花の蕾が早春(はる)をつれて
北九州 木内美智子

杖つく人も多い 何の因果で下船できぬか苦悩に満ちたコロナ船
大阪 山﨑輝男

コロナ騒動 何もかも息苦しい ウィルスと菌のちがいを娘より学ぶ
東京 上村茗

そろそろか六つ数えて深呼吸 われの怒りを拳に潰す
一関 貝沼正子

夜明けの西空に低くオリオンを労り抱くシリウスの姿への望郷
岡谷 土橋妙子

節約の限界越え背中を這う 黒髪染めて若作り
諏訪 大野良恵

秀峰大山の道ぞいに落葉や雪の下から春を待ち芽を出すふきのとう
米子 稲田寿子

さようならお元気でね 十年間の物語を胸に抱き締めて旅立ちます
伊那 金丸恵美子

また私の心臓がウトウト眠る身体の熱がなくなって大騒ぎとか
箕輪 市川光男

新型肺炎患者が来るのは覚悟の上と病院受付の娘は気丈に振る舞う
大阪 高木邑子

下諏訪は温泉施設が多く有り日々利用して長寿の助けに
下諏訪 小島啓一

図書館で親に巣から落とされたコサギを小学生の娘がひろってきた
諏訪 宮坂夏枝

そばに佇んでいるノボロギク 貴女がそばにいるような気がして
つくば 辻俱歓

凍りつく湖面に石を投げてみる音も立てずに転がって消える
原 桜井貴美代

買い物もマスク無しでは怪しまれ人込み避けて静かに暮らす
原 太田則子

青空にキラキラと舞う風の花 妖精たちの声きこえくる
原 泉ののか

揺れたり休んだり 葉をつけない木々たちの裸のおつき合い
原 森樹ひかる

若者の三学期春はそこ迄来てるのに思いもよらぬコロナウイルス
諏訪 宮坂きみゑ

児らの声がはねる赤いボールが跳ねるスニーカー跳ねる
岡谷 唯々野とみよ

こんな事態になる前に注文していた専門書「ハイデガーとラカン」
下諏訪 中西まさこ

花瓶に注ぐきれいな水道水 スターチスの紫が華やぐ
富田林 木村安夜子

赤い花びら机と畳に散らばる 鮮やかなさまの真冬日
札幌 西沢賢造

ウィルスが在庫セールのごとく砂漠にした東京・銀座
さいたま 清水哲

うっすらと地上に雪が残る朝二羽の白鳥はひっそりと北帰行する
岡谷 三枝弓子

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