会員の作品

「未来山脈」の会員の作品です。

素足(未来山脈2023年2月号より抜粋)

高層ビルの谷間に迷う 港への道を見つけて風が抜けた
松山 三好春冥

思い出の一コマとして一人食む新幹線に鮭のおにぎり
一関 貝沼正子

秋冷にひとりと思うとき秋明菊の白に心あたたまる
米子 大塚典子

諏訪の景勝地に建つ光本師の歌碑 さざ波きらきら夕陽が照らす
下諏訪 藤森静代

抱き上げてくれた記憶をひきずって手のひらと星 手のひらと星
北海道 吉田匡希

介護真最中の従姉妹は自分のためにごほうび旅行したいと沖縄へ
岡谷 佐藤静枝

霜降りぬ間に秋仕舞い 青いトマトはピクルスにしよう
岡谷 三澤隆子

何かを置いてきたようで馴染めない 色付き始めた街路樹の道
岡谷 片倉嘉子

絵地図で諏訪社寺宮寺の位置を確かめ当時に思いを馳せる
岡谷 横内静子

ほのかに柑橘の香る宿 今宵わたしをいやしてくれる
諏訪 宮坂夏枝

ありそうでなかった「上毛かるた」のあれこれ絵札で読み解く七十五年
群馬 剣持政幸

食べたいものがある舌を飼っているのよ私はね欲張りさんのお姉さん
岡谷 今井菜々美

貧しさと夢だけの夫との昔蘇る重く流れる神田川歌う南こうせつ
四條畷 高木邑子

蜂蜜療法はハート型のピカマチスとの相乗効果で効き目百倍
さいたま 清水哲

夢にまで顕ちくる母よ慈母観音あなたがいますあの天の川
明石 池たけし

干し大根の季節がやってきた手作りの大根を持ってくれる友がいる
米子 稲田寿子

コスモス畑に迷い出て 母の手をひき 幼子にもどる
鳥取 小田みく

大人になり全てを見返してやろうと思ったなれの果ての今日
仙台 狩野和紀

家の中はTVついてるままだし部屋のなかは散らかっているしもう耐え切れない
岡谷 小口昌太

夜が明けて鶏が啼くまでにわたくしをお前は三たび否むであろう
青森 木村美映

湯の中に千個の柚子を投げ入れて今年の凶を洗い流さん
神戸 粟島遥

雨の日は冬のキリン恋し雨粒舌先葉っぱ喰むキリンは喰む
大阪 花菜菜菜

気がつけば闇一点を見据えおり身のゆく末思う真夜中
京都 後藤多加子

富士から富士川沿いを富士宮へ こころ整う身延線の旅
神奈川 別府直之

薄紅の雪煙に包まれて常念の夜明け 春はまだ遠く
松本 金井宏素

子どもと訪れるアメ横へ 幼いころ祖父母に連れられてきたこと思い出す
流山 佐倉玲奈

ぺこぺこしたように見えてもいい 笑われたっていい
さいたま 赤坂友

その目はなにを写しているのでしょう 六等星を住まわせている
所沢 須藤ゆかり

玄関の靴が暴れている赤い靴碧い靴いっぱい花が咲いた
下諏訪 光本恵子

 

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素足(未来山脈2022年11月号より抜粋)

まっしぐらにわが家を目指せ赤いバイク君の手紙はドア開けて待つ
一関 貝沼正子

ゴルバチョフ エリザベスと訃報が続く 二十世紀が一段と遠くなる
大阪 加藤邦昭

月光に誘惑されて夜半のベランダ大きく息を吐く 私は狼
岡谷 三枝弓子

乾し柿吊るす中之条駅の風物詩特急草津が御辞儀していく
群馬 剣持政幸

幸せの青い鳥が突然に「孫が抱けますよ」と吉報を携えて
北九州 大内美智子

歴史ある二チームによる対抗戦 年に一度の晴れ舞台に立つ
神奈川 別府直之

紅い口紅がほほえみ華やぐ歌会 カフェテラスの秘め事を聴く
富田林 木村安夜子

ノリウツギの白い花ぶさ八方に意思疎通はかれぬまま秋に向かう
岡谷 柴宮みさ子

畑にふき渡る風とででっぽうの声 夫とじゃがいもを掘る
岡谷 片倉嘉子

指の節から抜けなくなった指輪 草取りして節々腫れる
岡谷 横内静子

つるつるり伸びに伸びた百日紅 主のいちいをはるかに超えて
岡谷 三澤隆子

事故の後苦しくて生きることに疑問さえ感じたが
さいたま 赤坂友

学生時代はほぼ百パーセント自炊 今日は何作ろうかな 考えるのが楽しみ
山梨 岩下善啓

父は雨母は太陽天と地に生かされて生きているのか
兵庫 明石の人

なるようにしかならないなんてとても悲しい「な」のりフレイン
仙台 狩野和紀

開閉の渋いアパートの玄関 九年ぶりの豪雪災害
青森 木村美映

今の自分は何かの者で泳いでいる 昔の俺は空を泳いでいた
岡谷 小口昌太

降りそうで降らない出ようか出まいか 深く悩む
原 太田則子

孫の検査結果は陽性と何時果てるのか しぶといコロナ
原 桜井貴美代

ふと窓の外を眺める 暗い森の向こうにまぶしいほどの緑の光
原 森樹ひかる

「あっ」ぬれた木道で向こう脛を強打する 声も出ない一分間
原 泉ののか

すやすやと雪は積もって段々に動かなくなる地球おやすみ
北海道 吉田匡希

ブダペストの「漁夫の砦」のレストラン テラス席からドナウを見下ろす
下諏訪 中西まさこ

功無き我も尊しと語る聖書のみことばに生き行く勇気促され
四條畷 高木邑子

秋霖の中に利休鼠の常念岳 今朝もどっしりとかまえている
松本 金井宏素

試験終え迎える夏の自由期間 今年の夏は何をしようか
東京 下沢統馬

からまわるあやまる言葉まねるときまひるの月にからまるリボン
東京 金澤和剛

湖につづく橋の上から川のぞく魚みえずさらさら水ひかるさらさら
下諏訪 光本恵子

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太陽はいま(未来山脈2022年10月号より抜粋)

あなたのかかげる左手に羽が生えたように駆け寄る曲調はワルツ
京都 毛利さち子

「鳥屋」と言えば「鶏か」雑ぜ返す雅子さん 私も抜け毛一本摘まみつつ
諏訪 河西巳恵子

訳がわからなくなったと妻 これはまたしてもと血の引く思い
奈良 木下忠彦

湖面に跳ねる魚の波紋湖底に眠る古代の暮らし 朝の光が広がる
岡谷 三枝弓子

死の花に埋もれて逝った人の白骨摘む惜別
東京 木下海龍

「背番号3」を忘れぬものたちがアルウィンの空を見上げる八月
下諏訪 笠原真由美

宿場町歴史ウォーク猛暑でガイドさんの話より皆が日陰を探す
米子 安田和子

俺は書く投稿文の職業欄 農林業と名乗る八十路だ
小浜 川嶋和雄

ウクライナへの支援コンサート 弾き語りはカテリーナさん
岡谷 征矢雅子

子どもたちの緊張する顔一人一人バスに乗って場所確認
牛久 南村かおり

両の手をパチンと叩きさようならを目で合図する爽やかなひと
横浜 上平正一

天竜の流れ超えてカッコーの声 さるすべりの紅色ちらほらと
岡谷 三澤隆子

今日は七月十六日(なないろ) 虹の日と聞く曇り空なれども夢見る一日
岡谷 柴宮みさ子

凪いだ諏訪湖とふたつの雲がぽっかりトライアスロン大会が始まる
岡谷 片倉嘉子

フォッサマグナミュージアムには大きな翡翠がどっかりゴロゴロ
岡谷 横内静子

大きな絵を描いてみたい 水のなかで微笑む大カバと小カバ
神奈川 別府直之

それぞれソッポを向くあんなこと 骨皮スジコの思考回路はペチャンコ
千曲 中村征子

時の流れは早いもの雨を待って秋野菜の大根と白菜を撒く
岡谷 花岡カヲル

楽しみにしていた弓道の大会「出られなくなった」息子からのLINE
諏訪 大野良恵

死に絶えた砂礫の庭は灼け甲州の強い風で砂塵が舞いあがる
甲府 岩下善啓

暑い 今年も厳しい日々を送る 青空も白い雲もうらめしい
東京 上村茗

あの友この友 同級生の訃報が まぶたとじれば思い出あふれる
坂城 宮原志津子

痛いようー 夜中ふっと聞こえる黒豆畑から 鹿にかじられ
福知山 東山えい子

四つの弁当に朝ドラも詰めこんで出勤し今 再放送たのしむ
米子 大塚典子

令和四年八月十五日第七十七回終戦記念日 奇しくも小生の出生月日
大阪 與島利彦

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いのち(未来山脈2022年9月号より抜粋)

エアコンの「おまかせ」機能の不快 私の体感温度を知らないで
松山 三好春冥

丘の庭にバラは咲満ち鳥がくる 憂うことなき家にも見えて
下諏訪 笠原真由美

駄々こねて咲く向日葵が プランターの中でワイワイ楽しい
富田林 木村安夜子

定年の挨拶状とともに元気になれと黒にんにくをくれる後輩
奈良 木下忠彦

娘に誘われ日曜日の早朝 梅を求めてJAの夢マートへ行く
岡谷 花岡カヲル

三輪揃って首をそり上げ花開いたクジャクサボテン猛暑日の夜
鳥取 角田次代

仕事のストレスと倦怠感 そうだ今日家を出よう
諏訪 宮坂夏枝

峠のトンネルを抜けると白樺林広がる平原ここは私の癒しの場
箕輪 市川光男

“ああ野麦峠”政井みねの墓まいりに飛騨市河合町角川専勝寺へ赴く
岡谷 横内静子

アカシアの花房しだれる道端に仲良し道祖神ぬくもりの風
岡谷 三澤隆子

「最後まで耐えるもの救われるべし」嗚呼しかしマリウポリ陥落
岡谷 柴宮みさ子

ずいぶん前義母のベットの傍らで習ったユーキャンの俳画戻る
岡谷 金森綾子

名を知る術ない 高木に咲くピンクの花に目をひかれる
岡谷 片倉嘉子

吾が庭に鬼ユリ突然咲きおり種はどこから飛んで来たのだろう
静岡 鈴木那智

ひとりの昼 カップラーメンすすりながら計画をねる 日曜日続く
鳥取 小田みく

心通じる友と一緒に笑い花を愛でいる我頬をそっと撫でゆく桜風
大阪 高木邑子

入道雲よそこから見ると俺は点か雨が答か
埼玉 木村浩

突然の四十度の熱が出て震える 嫁さんに来てもらう
飯田 中田多勢子

最近知ったうちの近くのカフェ 個人経営の店がやっぱり一番
東京 下沢統馬

雨に濡れて映える紫陽花も猛暑続きで色あせしょんぼりと
東京 赤穂正広

服を着せて貰い家に帰る東京から来た娘の介護兼病人教育が始まる
大田原 鈴木和雄

夏本番 最寄りの公園散策 緑陰の蝉時雨 自然界の生命うたげ
大阪 與島利彦

思わぬ油撥ねでてのひらに出来た水膨れのコロンと丸い痛み
京都 毛利さち子

若い頃博打で散財我が祖父は よく働いて世を去った人
小浜 川嶋和雄

木食にバナナを添えて一日を歩み始める命は明るい
東京 木下海龍

乾ききった空き寺の死に絶えた庭 住宅街の中の砂礫の谷間
山梨 岩下善啓

畔に朴葉を立て桑の棚にお供え 菖蒲酒を呑み田の神と語る
木曽 古田鏡三

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素足(未来山脈2022年8月号より抜粋)

連休できた息子が電話パソコン 電気関係の修理完了 当分安全
大田原 鈴木和雄

前庭にライラック淡い紫の花 いとおしく雨に濡れて咲く
岡谷 花岡カヲル

裏側の美しさにも目を見張る 磨き抜かれた母の刺繍
諏訪 大野良恵

虚空蔵山のぼりて観れば濃紺の伊豆半島は初夏の陽に霞む
静岡 鈴木那智

補助金を頼りに飲食店 汗だくの週末はうれしいひめい
鳥取 小田みく

日差しなんか恐くないでも流行なんで俺も日傘
埼玉 木村浩

あっちの水もこっちの水も甘くも辛くもなし減塩対策
仙台 狩野和紀

トンネルが出来て近くなったフラワーパーク 一時間弱で到着だ
牛久 南村かおり

島国日本 最高峰「富士山」標高約三千八百米 発登山は三十歳代
大阪 與島利彦

幸せは食べて寝ること女抱く男女相悦の今夢の中
兵庫 明石の人

しばらくは豆餅 おはぎ 苺ジャム作りに夢中で時が過ぎてゆく
岡谷 金森綾子

入学記念のラベンダーを持ち帰る児は息をはずませ頬を染める
岡谷 片倉嘉子

諏訪の海がこんなにも凪いでいる 桜花見上げる赤砂崎
岡谷 横内静子

枯庭に春を呼び込む春黄金花(サンシュユ) 始まる花リレーに心ゆるむ
岡谷 三澤隆子

彼岸より十九日ラナンキュラスの紅い花びらすべてを手の平に
岡谷 柴宮みさ子

少しずつ戻り始めた日常 夏休みはどこへ行こうか
流山 佐倉玲奈

「百超えたらテレビが来るよ」と言うと母笑う
神戸 粟島遥

施設に戻る直前に「ありがとよ…忘れない」という父の奥底
諏訪 藤森あゆ美

今日は子供の誕生日 やせ衰えた姿見せたくない
京都 岸本和子

仙覚の深みの中にユーモラス君はどう読むマル(〇)・サンカク(△)・シカク(□)
諏訪 伊藤泰夫

交通事故以来身体が自由に動かない 這いずりながら仕事をする
さいたま 赤坂友

玉ネギの出荷が始まり実家の手伝いに大中かわいらしい玉太り
米子 稲田寿子

生きたいと死にたくないは近そうで遠いと思う 気力がたりない
北海道 吉田匡希

たかだか知れている生き方を生きて透き通る青い空を見る
札幌 西沢賢造

虹の一番内側の色の花菖蒲緑風の中に咲く 明方のマジックアワー
松本 金井宏素

さわやかな塩嶺の丘飛び交う鳥のその名は知らず 木陰に寝転ぶ
下諏訪 光本恵子

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太陽はいま(未来山脈2022年7月号より抜粋)

春の嵐に門灯が点滅する 買い物メモの野暮用ひとつ増えて
松山 三好春冥

雨粒てとてとてとてと降って出たばかりの山菜の芽を潤している
京都 毛利さち子

わが生家 店先から蔵へトロッコ走る 和林檎の大木の下きっと脱輪
諏訪 河西巳恵子

痛みなく済みしワクチン疑えば夜にきっちり熱上げてくる
一関 貝沼正子

小学校では日華事変中学は大東亜戦争大学一年で終戦戦争の青春だ
大田原 鈴木和雄

五月の空に薄目を開ける木々 指さす向こうに“あべのハルカス”
富田林 木村安夜子

お久しぶりね 笑顔の再会二年四ヶ月ぶり息子家族がやってきた
坂城 宮原志津子

日々の暮らしは変わらず同じリズムで始まる妻と二人暮らしの朝
藤井寺 近山紘

八十歳 おめでとうはいらないと皆に言うが やはりめでたいのか
東京 上村茗

この凹みは外堀のなごりあそこの丘には二重櫓跡偲んで歩く楽しさ
箕輪 市川光男

小中高癌教育をとり入れる研修重ね命と向き合う
諏訪 伊藤泰夫

枕元の明かりで今夜も味わう極上ストレッチヨガの世界
諏訪 大野良恵

街路樹花水木赤いドレスの踊り子が天から舞いおりて咲く
飯田 中田多勢子

母校の校庭を見る八十路だよ さくら咲きます俺満開の中へ
小浜 川嶋和雄

地球一回りの食品売場 戦いなんてしてられない
千曲 中村征子

微力ながら復興に携わって七年体力に限界を感じ職を辞することに
東京 赤穂正広

やまと尼寺精進日記に出合ったのは二〇一七年秋 以来大ファンに
福山 杉原真理子

あなたの生まれた日の朝は窓にやわらかい小春日の光り
岡谷 征矢雅子

どんな寒い国から来るんだ水鳥たちここも一人じゃ寒い
埼玉 木村浩

諏訪に移り住んで三年 すっかり諏訪人になりきっている
諏訪 増田ときえ

羽毛布団だからといって軽くはないのだ私には健常の言葉喉奥に溜まる
大阪 高木邑子

長尾川枯川なるが梅雨なれば水の溢れて蘇り来る
静岡 鈴木那智

入院で伸ばしてしまった発行を悔いることなく重ねる推敲
青森 木村美映

ほてりたる互身を永遠に抱きたり乳がんの身を忘れて一夜
さいたま 清水哲

胸が少し軽くなった 肺の斬新な血止めの手術で
奈良 木下忠彦

今年の花は美しい白が愛おしい黙ってゆれて呼んでいる
木曽 古田鏡三

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いのち(未来山脈2022年6月号より抜粋)

四月一日今日から十八歳は大人だよ 呼んでみる 孫住む町花曇り
愛知 川瀬すみ子

知らぬ間に蜘蛛の巣なんてできるもの冷蔵庫の裏わが心にも
一関 貝沼正子

ステイホームで久しぶりに会った友 元気な姿に元気をもらう
米子 角田次代

独裁者に一切を委ねきるロシアの民には責任はないのか
奈良 木下忠彦

森の木々春の日差しにあくびして百年の時間何もなかったように
富田林 木村安夜子

突然の眩に座りこむ ふかふか鋤きたての畑に
福知山 東山えい子

結露する窓をなぞりつつ通話するこのシチュエーションで恋人ではない
下諏訪 笠原真由美

傘寿祝 紫ずきんちゃんちゃんこ写真にうつり笑ってるわらってる
坂城 宮原志津子

三月十六日の福島県沖の地震3・11を彷彿させる程の物凄い揺れ
東京 赤穂正広

友がミモザの花が咲いたと大きな枝を沢山持ってきてくれた
米子 安田和子

届かない 何度も跳ねて諦めた女狐は言う「どうせ酸っぱいブドウよ」
下諏訪 中西まさこ

冬に咲く水仙風に煽られて 越前海岸大雪続く
小浜 川嶋和雄

暇な日がつづき長い夜が始まる 毎月日曜日はつらい
鳥取 小田みく

古い花びらが恥じらいながら夜更けの運河にながされてゆく
横浜 上平正一

新築の社房をも手玉に取る震度6強の思惑の果てしなさ三月十六日
仙台 狩野和紀

ゆっくりおうち時間を堪能 外の仕事はへらせへらせ
諏訪 宮坂夏枝

良き夫 良き父だったと言われ 報われた思い 又涙が出る
東京 上村茗

夢の数数え思い出せなくなった晴天あの日の扉に手を伸ばせ
岡谷 今井菜々美

予防接種 痩せた肩 衿ぐりから出せば「ま 可愛い」と看護師さん
諏訪 河西巳恵子

真ん中が深紅色の赤芽柳ぽあぽあ円らな瞳の幼な児弾んでる
岡谷 柴宮みさ子

くすむ花びら除けば鮮やかな代替わり 咲き誇る深紅のシクラメン
岡谷 金森綾子

折り目は破れ角は擦り切れ黄ばんでも大切にする全音の譜面
岡谷 片倉嘉子

凍土からスノードロップの芽 春一番を私に告げる
岡谷 横内静子

冬越し野菜は実家の丹精 筑前煮に今日人参の色ひときわ引き立つ
岡谷 三澤隆子

いよいよ始まる新生活 新一年生の息子と初出勤の私
流山 佐倉玲奈

山を降りた人降りなかった人の差は五分 運命は五分でも変わる
京都 毛利さち子

 

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素足(未来山脈2022年5月号より抜粋)

読み疲れて部屋専用の露天風呂 ヒノキの湯槽に入れば雪 ちらちらと
下諏訪 中西まさこ

八時です朝のご飯はヨーグルト リンゴ半分薬はおやつだ
小浜 川嶋和雄

102歳で旅立つ伯母の告別式 いやというほど簡略で静か
京都 毛利さち子

夜空いっぱいの星のシンフォニー タクトのように身体をゆらす
岡谷 征矢雅子

米洗う窓辺の鼻先 すいせんのののかに香る春近し
鳥取 小田みく

四分の一世紀を数々の勉強会に参加する人生 悔ゆる事はない余生
岡谷 土橋妙子

青い鳥 ルリキビタキの声忙し春の野山を歩いて行けば
静岡 鈴木那智

二月七日は亡父の命日 三姉妹で猫柳金仙花を携えて墓参りに
飯田 中田多勢子

さみしさを背負った風が指先を掠めて通りすぎてゆく
横浜 上平正一

ウクライナの詩人シェフチェンコに我は尊敬に熱し我の尊敬は熱し
さいたま 清水哲

日向の業績より心の奥底に潜む温情を宝とする
仙台 狩野和紀

コロナオミクロン株が保育園で猛威をふるう 自粛中の孫たち
諏訪 宮坂夏枝

ひよこ豆のドライカレーを作りつつカーリング一試合を見終わる
下諏訪 笠原真由美

蕾のほころびに連れ歪んだわが身も解れだす終わりの見えぬコロナ禍歩む
境港 永井悦子

窓越しの椅子に座り粥すする 返り咲きのシクラメンはメラメラ
下諏訪 光本恵子

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太陽はいま(未来山脈2022年4月号より抜粋).txt

冬衣を纏う八ヶ岳の峰々を桜色に染める冬至の夕日
岡谷 三枝弓子

あんなにもあんなにもこだわってたのに 共通テスト古文漢文むずかし
京都 岸本和子

既婚者になって間もなく私の名は蝕まれそして砂漠の砂
諏訪 藤森あゆ美

揺るぎない一日の心の澱を吐き捨て思いを積み重ねる
札幌 西沢賢造

戸を叩く声!! 何?と外へ出ると山小屋から炎が
福知山 東山えい子

いつまでと分からぬものに戦きて大寒の日本赤くふるえる
一関 貝沼正子

寒入りし御神渡り見守る宮司らのたゆまぬ努力を讃えたい
下諏訪 藤森静代

寂聴尼が呼ぶように慎太郎が逝くチャーミングな笑みに善悪を精算
群馬 剣持政幸

毅然と咲く水仙にオミクロン株位でうろたえるなと諭される
北九州 大内美智子

大股で急ぎ足がいつの間にか小股でゆっくり気合を入れる
米子 角田次代

風の皴しっそり揺れる朝 小鳥が三羽 窓の向こう
富田林 木村安夜子

TV“サンドのお風呂…”ゲストの歌舞伎役者にチャンネル合わす
米子 大塚典子

感染四億死者六百万のコロナ世界大戦終戦はいつ
大阪 山崎輝男

陽射しが我が家の床暖房 コロナ禍二度目の新しい年
諏訪 増田ときえ

夫の友の賀状に断捨離を始めたとあり私達も始めることにする
米子 安田和子

イチゴのキャンディー口移しする都会の吐息に身をよじらせて
岡谷 今井菜々美

三十年剪定作業で着てきたジャンパーは穴だらけ でも今年も着た
箕輪 市川光男

リースを外して寒々とした壁に丸い日焼けの跡が残る
諏訪 大野良恵

節分が近くなれば恵方巻 新聞チラシは食欲そそる
小浜 川嶋和雄

お~ぉ寒いさぶ~い 大寒小寒この冬は大入道がやって来た
千曲 中村征子

妻の入院で日常が崩れるひんやりとした夜のいつもと違う空間
藤井寺 近山紘

実家から届く可愛い一人前の御節料理 大晦日 朝杯はリキュール
諏訪 河西巳恵子

初詣くだる階段うしろから我につきくるわれの足音
横浜 川平正一

コロナ終息どころかますます猛威を奮ってついに三年目に突入
東京 赤穂正広

歌に出せない苦しみ 歌にかけない悲しみもある ファジーに書くのは否か
東京 上村茗

寒風に舞い上がる枯葉たち着地を互いにためらうように風と遊ぶ
岡谷 土橋妙子

二十キロ肥料なんとか積んだ 三十キロの米車に乗せてさる娘
木曽 吉田鏡三

 

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いのち(未来山脈2022年3月号より抜粋)

部首に総画に音訓索引 私は何を探しているのか
松山 三好春冥

魂が漆黒の闇に彷徨うから 加茂川を下ろう南へ行こう
京都 岸本和子

風に吹き寄せられた落ち葉 従来の動きに右往左往しては鎮もる
京都 毛利さち子

老いてこそ一層鍛えたい からだとこころ 人生崩れぬように
奈良 木下忠彦

体調は大丈夫かとシニア大の友 ドリンクの瓶の確かな重さ
岡谷 三枝弓子

変らない新年 変ったのは食べるのに欲がなく年を感じる始まり
東京 上村茗

初孫娘 寅年生まれ 昨春東京渋谷のIT企業就職コロナ元気
大阪 與島利彦

夜空に輝く星 幾千億個もの原子炉だと思うと凄まじい
岡谷 征矢雅子

ルービックキューブのように移動させ冷蔵庫から保存食とり出す
米子 大塚典子

急な病で妻が入院回復の顔も見られぬコロナ禍の面会謝絶
藤井寺 近山紘

大きな顔して夕食後に居座る時間という奴 脇の本を縦にもしない
千曲 中村征子

十月下旬に種を蒔いた菜の花が年末に咲き始めた
福山 杉原真理子

宇宙滞在を果たした前沢さんいいのよ自分で稼いだお金ですもの
大阪 高木邑子

待っていた双子流星群 瞬きを耐え夜空に食い入る(R3・12・14)
原 太田則子

年賀状今年で仕舞いと旧友から一人またひとり遠ざかって行く
原 桜井喜美代

寒風にゆらいでいる枯れた茎 地にロゼット広げて光合成
原 泉ののか

孫のボクシングの試合のたびに諏訪大社に祈願する 怪我しないよう
原 森樹ひかる

医師から厳命されている日付変更前の就寝 今日もまた破ってしまう
大阪 加藤邦昭

ピカマチスの力活かしてオミクロン株の感染拡大にピリオドを打たん
さいたま 清水哲

伊豆房総の海に憧れを抱きながら 寒中の倦怠を過ごす
松本 金井宏素

コロナ禍のなか優雅に踊るドガの名画の「踊子」の私のマスク
岡谷 土橋妙子

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