会員の作品

「未来山脈」の会員の作品です。

素足(未来山脈第360号より抜粋)

紫木蓮青空バックに膨らんであした咲きそな幸せの予感
北九州 大内美智子

はいその話は二度目と娘 おかげで老化少しコントロール
諏訪 関アツ子

芝居はもう無理 人が深く描かれた作品の読み語りに 心震わす
下諏訪町 須賀まさ子

深と静まりかえった高遠湖雪をまとった仙丈ケ岳が私を見る
箕輪 市川光男

悔やむならもうやってはいけないと子供だって知っていること
諏訪 藤森あゆ美

メールがただのメッセージだけとは 心を送りたいのに
鳥取 小田みく

催花雨のこの現象を待つサクラコートもとれた春の足音
諏訪 伊藤泰夫

元号は令和 世界中が穏やかでなければ一人ひとりの花は咲かない
坂城 宮原志津子

木がたおれあれたままの山 人のけはいに鹿たかく鳴く
奈良 木下忠彦

一人花見 花びら一枚に来し方を想う 花道を去るのはまもなくか
東京 上村茗

原始 地上は森に覆われ 海には生命の胎動があった
青谷 木村草弥

近道では見つけられなかった宝物はこの身にこそ宿る
仙台 狩野和紀

一夜にして開花のラッパ水仙 道ゆく人にやさしく頭下げている
下諏訪町 藤森静代

小さい草花が咲き出す春を告げる梅もふくらみ柳も芽ぶき桜を待つ
諏訪 宮坂きみゑ

優柔不断が招いたストレス 春の嵐が内に外に吹き荒れる
米子 角田次代

観梅コースあちこちの花木「与謝野晶子」の名歌栞に老若にぎわう
大阪 與島利彦

平成三十一年四月一日新元号で沸き立つ日本列島「令和」で決まる

東京 鷹倉健

仮住まいでは気にならなかった汚れ 新築の自宅は掃除が気になる
流山 佐倉玲奈

休暇から目覚め ぞくぞくと葉をもたげたチューリップ今朝はなごり雪
岡谷 堀内昭子

枯葉の下から蕗の薹が顔を出す ふきみそでいただく春の恵み
岡谷 林朝子

入試日の母の手作り弁当 甘く苦く心にじわり特別の味
岡谷 伊藤久恵

紅葉が鮮やかに山の里を彩り囲む ひかりに映えてひらり舞う
茅野 平澤元子

人の事ばかり干渉している者は己がなにもみえていない
東京 田草川利晃

木は春が来る事を知って枝を伸ばす 春が来るのか人は知らない
つくば 辻俱歓

よく晴れた空を見ながら 昼食の大学芋がおいしい
鳥取 大谷陽子

少しずつでも成長したい精神と肉体と スパイクの力も
松本 下沢統馬
金を稼ぐ苦労が身に染みて でも楽しい初アルバイト
横浜 大野みのり

海土町からバスケットボール遠征試合の孫たち 俊敏な動きにただ涙
米子 笹鹿啓子

朋の愛 師の深き愛 両親の愛はレンズの焦点に光を集めてわが人生に感謝
埼玉 横田哲治

新短歌一筋が私の人生百迄に一首で良いから良い歌を詠みたい
太田原 鈴木和雄

富士の山がじゃぶじゃぶ歩いて湖まで来た 大きく見える朝
下諏訪町 光本恵子

 

 

詳細

太陽は今(未来山脈第359号より抜粋)

いやこれまで、いやまだまだ 口語自由律短歌が叫ぶ
大阪 井口文子

一生の中の今どのあたり 六十八歳で初々しく歌集準備中
富田林 木村安夜子

明治大正昭和に生きた松園 信念を貫き通し輝きを放った生き方
伊那 金丸恵美子

いつ乾いたやら奴凧のもの干し フガフガ力のはいらない力でしぼる
千曲 中村征子

退職後の人生をどう生きると自問した事も今はどうぼけないかに
藤井寺 近山紘

一センチカットした髪外耳道夜にくすぐる二本が潜む
一関 貝沼正子

懐かしさに包まれたように雪もやみ晴れ間に部分日食
札幌 西沢賢造

冬はつらいが夜明けは素晴らしい そして今に梅が咲き 桃が咲き桜が咲く
東京 上村茗

東日本大震災から八年復興続くも第一原発の復興の終わりはない
東京 鷹倉健

吐くわ下すわの大さわぎ これって風か鬼の霍乱
岡谷 唯々野とみよ

楽しみです 安夜子さんの歌集すごくすごく読みたいです
下諏訪 中西まさこ

パスポートを更新した帰路 喫茶店でコーヒーの香りを楽しむ
大阪 加藤邦昭

母と一緒にふきの薹を摘んだ日が懐かしい 思い出話は脳を活性化
岡谷 佐藤静枝

平成三十一年一月三日三時三十三分最後まで三にこだわり夫逝く
米子 大塚典子

暦では雨水昼からの雨やみスーパームーン湖を照らす
諏訪 宮坂きみゑ

焚火をすると炎の中にうかぶ 弥生人縄文人も焚いた姿が
豊丘 毛涯潤

この薬は効くと信じて三十年続けているプラス思考の健康法
岡谷 土橋妙子

冬の夜の星の記憶は透明な球体のなか 春の雨ふる
諏訪 松沢葉子

初めてのスノボに浮かれる息子に 「簡単に骨折するよ」口酸っぱく言う
諏訪 大野良惠

心臓の検査で移った私の背骨S字カーブが憂よんで来て
札幌 石井としえ

「なにくそ」と強さをくれる人 さくらの香りふりまいて
鳥取 小田みく

来年も飾れるように願って南天福寿の掛け軸を片付ける 一月の末
岡谷 武田幸子

声に出して読むがいい 五円で唯一売れた賢治の「雪渡り」
岡谷 金森綾子

もくれんはビロードのマントで寒さに耐え花開く時はハラリと落とす
岡谷 片倉嘉子

中央アルプス麓老舗ホテル眼下の水無き川に大中の石ぎっしりと
岡谷 三澤隆子

山折り谷折り薔薇と蝶の折紙を水入りコップに 電気不要の加湿器
岡谷 柴宮みさ子

“鬼は外”と夫“ごもっともごもっとも”と後ろから私 二人だけの豆まき
岡谷 横内静子

師の言葉学徒たるもの風邪ひくな 熱と頭痛では書物が読めない
東京 木下海龍

まもなく途中でへたり込むかもしれない犬を散歩に誘うこの犬は私
京都 毛利さち子

マヤ文明の故郷であるメキシコ・グァテマラの熱帯樹林
青谷 木村草弥

入学前の下宿探し 知らない土地でうろうろきょろきょろ
横浜 大野みのり

収入おいといて百姓楽し 空も小鳥も野菜たちもみんな友達
福知山 東山えい子

詳細

いのち(未来山脈第358号より抜粋)

七つの病がせまる奥の死 まだ生きていましたと明けの烏に告げる
大阪 井口文子

冬は静かだ雪も静かに降る休もうよ木も枝も佇んでいるから
木曽 古田鏡三

ふわっと澄んだあの声で病と戦っていたのか いとしや市原悦子
岡谷 唯々野とみよ

抵抗しないと流され抵抗すれば取り残される決断の前の躊躇
京都 毛利さち子

心に秘めた想念を抱えて揺らぐいくつもの夜を越えて
札幌 西沢賢造

三十分早く家を出たのにもう 凍った道に渋滞の列が伸びる
諏訪 大野良惠

蓬莱橋を渡り左手 ルネス街も駅側通路の解体を終え
青森 木村美映

「三月九日」という歌の存在を知る この日は孫(しー)くんの誕生日
諏訪 宮坂夏枝

ボランティアを立ち上げて六年目プログラムの出し物考える
岡谷 武井美紀子

昭和平成と平和が続き生かされて来た次はどんな年か
諏訪 上條富子

ときめき無いまますぎゆく日々 新短歌ができないと全く出きぬ
鳥取 小田みく

国想い吾が取った行動が家族の絆に亀裂を生む
東京 鷹倉健

しゃがんだ途端 アッイタタ 立ち上がりたくても立てない
米子 安田和子

鳥群れて木末に騒ぐ公園を掃く竹箒 一瞬のしじま
東京 高橋輝美

異次元に踏み入り戻りくるごとく師の室を出て向陽に立つ
東京 木下海龍

会社組織を運営するに部/課/係などの編成は一般的だが
藤沢 篠原哲郎

ワルツに染まったニューイャーコンサートの一夜 年の始まり
岡谷 土橋妙子

平成の次は何だろう ロボットが介護してくれる時代よ独居に来い
愛知 川瀬すみ子

そろそろ心の旅立ちの季節と思い眠れぬ夜を数えている
仙台 狩野和紀

雪解けて背くらべ始めた水仙 老いの身を励まし葉が延びる
下諏訪 藤森静代

隣家では正月で帰省したお孫さんの置土産 雪だるまにほっこり
岡谷 林朝子

平成の我が家を振り返る長男夫婦と二世帯住宅に、次男も結婚し孫五人に恵まれ
岡谷 堀内昭子

温かな粥五臓に流れる七草がゆのパワーで風邪知らず 全力投球
岡谷 伊藤久恵

エメラルドグリーンの沖縄の海 白い砂浜この自然を壊すのはなぜ?
坂城 宮原志津子

人と接する事の多いポジション任されるだけに時にカっとする事もある
仙台 田草川利晃

三歳になったおしゃべりなボク 冬らしい澄んだ空気の大晦日に生まれ
流山 佐倉玲奈

そろそろ着くころと友達を待ちわびる夫の心は中学生
岡谷 佐藤静枝

去年の秋なじみの紀伊国屋書店へ 新刊の私の生い立ち立読み購入
與島利彦

山あり谷ありで歩いた弥次喜多道中も五十年を迎える
米子 角田次代

亡父の二十七回忌 子供と孫が集まり法事をする
飯田 中田多勢子

今日の試験だけで自分の未来が決まるのか そんな不安が頭をよぎる
松本 大野みのり

ベルリンの壁が壊されているレーニンも只の人だったのか
太田原 鈴木和雄

ちらちら寒桜を見ながら坂道走ると赤信号事故りますよ
諏訪 関アツ子

詳細

太陽は今(未来山脈第357号より抜粋)

読んでいただけますか 歌集を作ろうと思う 名刺をそっと手渡すように
富田林 木村安夜子

葉牡丹に癒し求めるこの冬場来訪者来る玄関に置く
諏訪 伊藤泰夫

四方の山が黒々として吹雪いている とうとう里も雪舞いだした
諏訪 河西巳恵子

金剛山登頂一四八八回目という 膵臓癌の友の生きる証の年賀状
大阪 山崎輝男

締切日過ぎても歌がない 本棚の「地球の歩き方」渡航順に整理
大阪 加藤邦昭

ルノアールの絵のごとくぽっちゃりの猫の額をなでてやる日々
神戸 粟島遥

自分史で我が人生を二度生きる幸も不幸も4K画像で
北九州 大内美智子

平成三十一年正月温かな晴れた青空に恵まれた元旦
諏訪 上條富子

義母から習ったのっぺい汁はゆく年 くる年をつなぐ一品
岡谷 佐藤静枝

子供たちとの会話は素敵な時間 未来に希望や夢が見えてくる
伊那 金丸恵美子

いつも闇を抱えて生きている 漆黒の闇は描けはしないか
下諏訪 須賀まさ子

何かしないと 今出来る事 年の始めのあせりと希望を思う
鳥取 小田みく

明日は短歌〆切日 何を書こうか ペンをとりノート開ける
原 森樹ひかる

川が流れるように風が木の葉を散らすように残りの人生自然に生きよう
岡谷 林朝子

頭の半分が痛む掛かり付け医に CTを撮るが異常なく耳鼻科に紹介され
岡谷 堀内昭子

田舎の秘境ムード漂う小さな駅におりたつ ほわっと温暖な風が迎える
岡谷 伊藤久恵

夫が要介護1私が要支援1夫婦そろって木曜日にはデイサービスへ行く
飯田 中田多勢子

あれもあるこれもあると暮し家を建てた母子家庭の母の友
岡谷 武井美紀子

十二月中ばから娘から孫がはやり目になり学校を休んでいると電話がある
米子 安田和子

いつしかに新しい年に漂う 橋も渡らず扉も開けないこの身
千曲 中村征子

謹賀新年 子孫の腹帯授与寺 宝塚中山観音様へ妻同伴の参拝
大阪 與島利彦

西の山寺で鐘が鳴る大晦日一年照らした太陽に手を合わせる
諏訪 宮坂きみゑ

祖父の写真を尻においちゃった母ごめん懐かしいねご免なさい
成田 青山フライパン

夕焼け空に微笑む三日月 亡母のやさしい面影が重なってくる
下諏訪 藤森静代

蓄髪の許可が出て髪をのばすが密度がなくなったなと
仙台 田草川利晃

刻の移ろい ゆっくり流れる雲を一人ながめ熱いコーヒーをすする
辰野 里中沙衣

ヨッコラショの掛け声で立ち上がある体を動かすのが生き甲斐
諏訪 百瀬町子

友も亡く師もなく天草の農学校は閉校 島にはこどもがおらん先生お力貸して
さいたま 横田哲治

八ヶ岳蓼科雲が覆いて今にも降ってきそうな梅雨の空
茅野 平澤元子

父の入院 その足でひとり銭湯に寄る 溜まった疲れを溶かそう
諏訪 宮坂夏枝

入院手術の言葉が身近になるとは思わなかった明日は北側病棟四階
箕輪 市川光男

節分には福は内にと願うけどまずは健康と家族の協力
下諏訪 児島啓一

誰にでも愛情注ぐ父はなぜ 誰にでも優しくなれたの
原 江崎恵子

穏やかな陽射しの冬の日 新美南吉の「てぶくろを買いに」を読む
米子 笹鹿啓子

あんなに愛を語った言葉 同じ言葉で諍い そして離婚
東京 高橋輝美

へその上ぺったり貼った絆創膏 今日もまあまあに終わる機能
諏訪 藤森あゆ美

詳細

いのち(未来山脈第356号より抜粋)

足元にふきのとうがむくむくと暖かな冬の陽射しに誘発される
岡谷 三枝弓子

さあ窓ふきだ十九格子の戸にカメ虫はびこる殺虫剤手に目を凝らす
木曽 古田鏡三

今までは縁なき[つくば]はるばると子の出場をひと目見に来る
諏訪 藤森あゆ美

毎月の曾孫の写真カレンダー届き一途な瞳と気力が寄り添う
諏訪 関アツ子 (さらに…)

詳細

太陽はいま(未来山脈第355号より抜粋)

透き間だらけのこころ少し満たして今夜の空 月と土星が近づく
岡谷 三枝弓子

こころ鎮めて詩を書きつづけた何かが言うから仕方がないから
木曽 古田鏡三

出身の違いは一目でわかる 明るいシンプルな挨拶が一日のはじまり
奈良 木下忠彦

文化の日 大阪名所の御堂筋を散策 異常気象で銀杏黄葉大みだれ
大阪 與島利彦

突然義姉から 兄が死んで葬儀も終えたお詣り無用と
福知山 東山えい子

空は青く櫨の葉も赤いのになにか淋しい心これが秋なのか
太田原 鈴木和雄

ポルシェ ベンツが並ぶ一角 ながめながら通る私はママチャリです
東京 上村茗

沈む陽は部屋の奥まで照らしてる もみじ葉映る影は大きい
小浜 川嶋和雄

喜んでもらえる伝わる朗読がいちばん 単独朗読会を勧められる今
下諏訪 須賀まさ子

扇風機が欲しい フェーン現象でむし暑い台風の去ったあと(十月七日)
諏訪 宮坂夏枝

妹に似たのか甥の娘は手紙が好き 大中小の文字 点と丸しっかりつけて
岡谷 佐藤静枝

ウインド越し シルバー過ぎの暮らしをちらりと見て査定する
千住 中村千

「流れる星」を行く 満州の地に沈む真赤な太陽を記憶の底に
千曲 中村征子

父がいて母がいてまりついて遊んだ遠い日の心の暖かさ正月に思う
埼玉 山岸花江

クォークから原子へ 原子から分子へ 分子からDNAへ
青谷 木村草弥

誰もいない教室の机に向かい思いもつかない独白
札幌 西沢賢造

NYの知人から新年のメール 時差を考慮し半日待って返信する
大阪 加藤邦昭

ステージ4と宣告されて二ヵ月クリアした夫と庭のツワブキ並んで愛でる
米子 大塚典子

大草原の中の一本の白装束の人の列が続く私は今順番を待っている
箕輪 市川光男

去年落ちた山茶花の実小さな芽を出したコイツ生きている
藤井寺 近山紘

食用菊が花盛り花弁だけを酢水で茹で甘酢に漬ける赤色に染まる
飯田 中田多勢子

ぞうりがぬげて社の境内を上手に歩けない 髪結って七五三の幼子
茅野 伊東里美子

農高生の手作り蜂蜜と皮付き林檎入りアイス一押し ぴぴっと愛知
愛知 川瀬すみ子

紅葉散る照る陽の中に紅葉散る友の逝きし日二月を刻む
神戸 粟島遥

山陰から山陽を結ぶ伯備線中国山地を越えた途端に太陽がいっぱい
米子 安田和子

夜ふかしがくせになりました サッカー テニス 貴方へのメール
鳥取 小田みく

ひとことで言えば何もない町榛名山北麓の小さな山村
群馬 剣持政幸

詳細

急行列車(未来山脈第354号より抜粋)

七十路を越えても未だに女恋うかなしき性より妻を抱きながら
横浜 上平正一

青色の空をさらさら抜ける風 あぜ道に赤いあかい曼珠沙華
富田林 木村安夜子

八月十五日 戦争は終わったけれどペットの赤が夫の病つげ家族の戦はじまる
米子 大塚典子

十二歳過ぎた頃より息子らは面倒くさそうに私と話す
諏訪 藤森あゆ美

構内のいちばん立派な銀杏の樹 空に近い枝の先から黄色
下諏訪 中西まさこ

昭和十九年三月生まれまでの人私に初めて敬老会の招待状が来る
岡谷 武井美紀子

眼鏡を外してじいっと赤い星を見つめる 少しだけ微笑んでくれた
岡谷 横内静子

アクセルを力一杯踏み込んであの雲をつきぬけ空の彼方へ行ってみようか
岡谷 片倉嘉子

閉口した異常な暑さはどこへやら 露霜降りて初秋のとき
岡谷 武田幸子

巨人大鵬 歌姫ひばりなどなど世代を賑わした昭和は遠い日
諏訪 百瀬町子

強風に大木は響動めき荒れ狂う これでもかと天は私を苦しめる
原 桜井貴美代

黄金色の波がうまれ娘は収穫の時を迎える 輝きの季節
原 泉ののか

厚真安平むかわ美留和 みんな聞いたことがなかった地名だ
茨城 赤城恵

教会の席から送るフォト・データ“リハーサル・なう”まもなく結婚式
下諏訪 笠原真由美

私を管理監督している妻は帰省中 ゆっくりコーヒが飲める
大阪 加藤邦昭

母を送りへろへろでこの町に 家順の役それなりにやり熟す
諏訪 河西巳恵子

夜更けに一人街を行くあの事がきっとショックだったんだ
藤井寺 近山紘

君と出会い四十八年和菓子をずっと食して来た 初めて伝えるありがとう
伊那 金丸恵美子

元(株)クボタ専務のK氏が来宅されて恐縮の至り
青谷 木村草弥

もういいもういい体が焼ける いくらお日さまだとて嫌がられる
千曲 中村征子

雑木は笑う小鳥が枝に巣を掛けたとき くすくすくすと笑う
豊丘 毛涯潤

突抜ける空の青色鮮やかに 映す私も夏が消えてゆく
諏訪 大野良惠

私はなつえ娘ははるえ孫があきか 季節の名前が三世代つづく
諏訪 宮坂夏枝

竜田川からくれないのもみじ葉は 千年の昔しのぶよすがぞ
京都 岸本和子

建て替えに至る要因指折りてぼうっとしてはいられない日々
諏訪 伊藤泰夫

なにげなく使っていた電気が停電 台風の凄い風に眠れない
茅野 伊東里美子

今日はデーサービスの日 皆さんと会話に花が咲く楽しい日
岡山 廣常ひでを

花の終わるまで待とう食物も人も生きるすべは同じだから
さいたま 山岸花江

娘がくれた真っ赤なハイビスカス 回想のワイキキも夕日も燃えていた
大阪 井口文子

詳細

流域(未来山脈第353号より抜粋)

文言が悪いから役場へ電話、それが地元で問題化、我れは正しい
木曽 古田鏡三

夕食後興がのると戦争話をした舅 同じ話も初めて聴くふり娘と私
米子 大塚典子

AIは情報を処理し人間は情報から考える さあ、どっちが偉い
京都 岸本和子

草刈機の音が響く朝 どこまでもどこまでも青空はひろがる
原 泉ののか

赤トンボ飛ぶのは早い八月だ 秋来たのかな稲田で見ている
小浜 川嶋和雄

母に会えた気がしたご詠歌響く中施餓鬼会法要の本堂で
辰野 里中沙衣

大雪から始まった平成三十年ありとあらゆる災害が続き 心が痛む
米子 笹鹿啓子

七月二十六日は幽霊の日 逢えるかなあ逢えるといいな
岡谷 唯々野とみよ

亡き母の宝石箱をあけたら突然オルゴールが鳴る「いい日旅立ち」
諏訪 宮坂夏枝

わが国で 二度目の夏季五輪 開催まで一年余 夢と不安重なる
大阪 與島利彦

暑い日本では関西は大雨、土砂災害 北の北海道は地震に揺れる
諏訪 上條富子

八月末 孫娘が大阪から初めて一人で帰ってくるという
米子 安田和子

金木犀の香はこの家だ! 優しげな佇まいに黒いざわめきは鎮まる
下諏訪 須賀まさ子

大きな株になったカラスムギ 生きることだけで貴いのだと
つくば 辻倶歓

お盆に秋雨前線 雨が涼しさつれてやって来た やっと一息し農婦は種まきに精を出す
岡谷 林朝子

晒し巻いて太鼓に向かう少年の気迫切り裂く夜のしじまを
神戸 粟島遥

樹音ちゃん およめさまにいってもきれいなすがたをみせておくれ
鹿沼 田村右品

認知症気味の私の知人が友の死を知り涙をうかべ悲しむ
米子 稲田寿子

御射鹿池の色はスカイブルーに輝く東山魁夷の絵のように波静か
岡谷 武田幸子

もうかかることのない貴女からの電話 赤いハイビスカスを飾る
岡谷 金森綾子

糖度センサーをくぐって来たか 到来の桃はすべて甘くてはずれなし
岡谷 片倉嘉子

円すいに切りいるスイカよく冷え眠気もさめる活力パワー
諏訪 伊藤泰夫

ドラマのように有難うと告げ逝った友ボールまでも優等生
北九州 大内美智子

度重なる慰留を拒み議案書に「専務補充」の一文を書く
木村美映

お天気のように変わりやすい思春期の長女ただ見守るだけ
諏訪 浅野紀子

お~いと声かけられるほど近くにいる君に声もかけられず
仙台 田草川利晃

座して聞く殺人犯に添削し短歌を導く光本恵子に会う
青森 北村道子

プレスセンターから見る月は皇居を照らし昭和が揺れる影を映す
埼玉 横田哲治

今日は八月十三日 盆前の忙しい日に高校野球を見ている幸せ
琴浦 大谷陽子

公園の雑草にまじり芒の穂ひぐれの風にワルツを踊っている
横浜 上平正一

週末をもて遊ぶのか台風二十五号 公民館まつり悩ます
境港 永井悦子

父よあなたの知らない八十路を生きます平成最後の慰霊祭
諏訪 関アツ子

詳細

急行列車(未来山脈第352号より抜粋)

真夏日、猛暑日、極暑日、灼熱日書いて見てなお知る今日の暑さ
大阪 井口文子

田に青々と命みなぎり空の侵入をはねのける
岡谷 唯々野とみよ

わが生やよしといいたい もう少し時間が欲しいと奥の声
奈良 木下忠彦

陥没した場所に心がくっついてひっぱってみるが役にも立たず
諏訪 藤森あゆ美

木漏れ日が差す窓にとどめようなく流れる記憶の朝の光り
札幌 西沢賢造

洗濯物干す二十二時の空 火星よ 橙色にまたたく
富田林 木村安夜子

毎年同じことが繰り返され平凡である幸せとはこの事か
諏訪 宮坂きみゑ

咲き終わった紫陽花の剪定をする来年もよろしくねと言い乍ら
さいたま 山岸花江

右足の脛が痛む 一日テレビの前でぼんやり 何も出来ない
岡山 廣常ひでを

許可を得て総会会場の日本代表の席に着く 国連の休会日だから座れる
大阪 加藤邦昭

息子のイタリアでの結婚式とスイス旅行 日本からは親族がつどった
原 太田則子

山川は癒しをくれる日もあれば命を奪う悪魔と化す日も
北九州 大内美智子

草刈りの後鼻につく土の香り真夏の土の力が湧き上る
諏訪 百瀬町子

秋風とともにチョコレートが美味しい季節が来た
青谷 木村草弥

体じゅうコードにつながれわずかに動く右手と頭
福知山 東山えい子

毎日「危険な暑さ」が続く よく食べよく眠ることが熱中症予防
岡谷 林朝子

おかゆにこうじをまぜて保温するとほんのりとした甘酒の香り
坂城 宮原志津子

チカチカチカ湖を輝かせて出る朝日熱い缶コーヒーが旨い
箕輪 市川光男

娘に電話「お呼びしましたが…」と出ない 雨に鴉が鳴く
諏訪 松澤久子

清涼を誇る純白の夕顔の花のはかなさ暑中の最中
諏訪 伊藤泰夫

日本列島がギンギンに暑い温暖化が進みこの先が不安になる
茅野 伊東里美子

諏訪大社下社のお船祭り 十年一度の御頭郷に猛暑の下諏訪が燃えた
下諏訪 藤森静代

肉屋の閉店に駅の無人化 女子校の統廃合でこの町はどこへ行く
群馬 剣持政幸

何も残らない生きてい来た道でも 歌は私の足跡であれ
東京 上村茗

庭先に黒い陰が走る 尾の長さは三光鳥のようであったが
岡谷 横内静子

独特の香にひかれて鵯はチェストベリーの小枝を三本へし折った
岡谷 柴宮みさ子

おっとり慌てず孫娘 排球に惹かれ三年目弱音を吐かずよくぞ成長
岡谷 三澤隆子

どんなに色あせ綻んでも 夫のお気に入りTシャツだから畳みましょう
岡谷 片倉嘉子

児のグレンツェピアノコンクール前夜 築地の”すし好”での贅沢
岡谷 金森綾子

梅雨が早く明けてカッカカッカ暑い 過去の記録を更新し続ける
岡谷 武田幸子

暑中見舞いは猛暑の羅列 猛の一字を限りなく重ねるお返し
千曲 中村征子

戦後の混乱期を生きてきた 戦没者を記念して今年も諏訪湖の花火
諏訪 上条富子

私の歩んだ道程はくねくねと曲がっている 曲がりながら未来へ向う
伊那 金森恵美子

ひんやりと風が冷たく感じますそろそろ秋がやってきたのかな
松本 大野みのり

八月九日 今日は長崎に原爆のおとされた日 一日中式典が続く
琴浦 大谷陽子

今日もめん昨日もめんだよソーメンだ それでも飽きない暑い日続く
小浜 川嶋和雄

川音を右に聴きつつ坂を下り商店街のベーカリーまで
下諏訪 笠原真由美

詳細

流域(未来山脈第351号より抜粋)

生き方は違っても激動の中を生きて六十年 思い出のかけらつむぐ
岡谷 三枝弓子

耕運機に飛び出す蛙 まだ眠っていたのか起きて働け、さあ百姓だ
木曽 吉田鏡三

嘔吐する女が蛇口に映し出されて艶のある黒髪半狂乱
諏訪 藤森あゆ美

イチタスイチハニ 大丈夫! さあ今日のメニューを確かめよう
富田林 木村安夜子

もう見に行くこともなくなってしまったよさこい祭りテレビで観る
札幌 西沢賢造

「あの山道を休まず歩いてきた」夫は嬉しそう 私はもっと嬉しい
米子 大塚典子

素っ気無い電話の声 虫の居所か用件のみ そそくさと切る
諏訪 河西巳恵子

毎年娘から父の日や誕生日に届く贈り物 今年は可愛い小さな花束
岡谷 花岡カヲル

薔薇園に行った バスを降りたら薔薇トンネル どこもかしこも薔薇づくし
原 大田則子

若葉の緑の間から明るい青空がまぶしい 今日は古希の誕生日
原 森樹ひかる

いつもいつも歌づくりが頭を過る五七五七七と夢の中で呟く
原 桜井貴美代

石ころだらけだった私の庭にカミツレの芽 老眼鏡を取り出す
原 泉ののか

繰り返す時間・回ってくる時間、そんな時間があればよい
京都 岸本和子

自作の短歌を振り返る 上から読んでも下から読んでも色がない
米子 笹鹿啓子

神カレンダー桃の花咲き春らしき日々眺めれば癒される絵柄
仙台 田草川利晃

山紫陽花 修験の山を黙々と目印頼りに山友をたよりに
北九州 大内美智子

この国は天災国 山が崩れ川があふれ人の小ささをいやおうなく知る
東京 上村茗

戦後七十三年 沖縄慰霊の日 痩身の翁長雄志知事 悲痛な平和宣言
大阪 與島利彦

いつも啼いている御向いの犬 何が恐いの淋しいのマンション十四階
愛知 川瀬すみ子

わたくしのいつもながらの朝の儀式これから始まる春夏秋冬
青谷 木村草弥

機内から眼下を見下ろすと綿あめのような雲がモクモクフワフワ
坂城 宮原志津子

歯科医院からの葉書は避けたくても無視できないいばらの道
諏訪 大野良惠

一泊の特養ショートステイを敢行 娘の負担軽減が名目の予行演習
大阪 高木邑子

耳朶に囁いてくれるさざなみは気が遠くなるほど胸をとかしてゆく
横浜 上平正一

垣根の陰にひっそり咲く奢莪の花 降りそそぐ無情の雨
諏訪 百瀬町子

頑張ってね 夫は手術室へダメならすぐ閉じますと医師
福知山 東山えい子

心臓の模型のような玉ねぎを薄切りにする 繊維にそって
東京 金澤和剛

み手に引かれて七十年弟妹たちも次々に祝福された七人姉弟
東京 保坂妙子

社会義務のような婦人会卒業していよいよ老人クラブ
岡谷 武井美紀子

万全を期しても不備はあるもので会議前夜は常に徹夜だ
青森 木村美映

詳細

次ページへ »