会員の作品

「未来山脈」の会員の作品です。

急行列車(未来山脈第354号より抜粋)

七十路を越えても未だに女恋うかなしき性より妻を抱きながら
横浜 上平正一

青色の空をさらさら抜ける風 あぜ道に赤いあかい曼珠沙華
富田林 木村安夜子

八月十五日 戦争は終わったけれどペットの赤が夫の病つげ家族の戦はじまる
米子 大塚典子

十二歳過ぎた頃より息子らは面倒くさそうに私と話す
諏訪 藤森あゆ美

構内のいちばん立派な銀杏の樹 空に近い枝の先から黄色
下諏訪 中西まさこ

昭和十九年三月生まれまでの人私に初めて敬老会の招待状が来る
岡谷 武井美紀子

眼鏡を外してじいっと赤い星を見つめる 少しだけ微笑んでくれた
岡谷 横内静子

アクセルを力一杯踏み込んであの雲をつきぬけ空の彼方へ行ってみようか
岡谷 片倉嘉子

閉口した異常な暑さはどこへやら 露霜降りて初秋のとき
岡谷 武田幸子

巨人大鵬 歌姫ひばりなどなど世代を賑わした昭和は遠い日
諏訪 百瀬町子

強風に大木は響動めき荒れ狂う これでもかと天は私を苦しめる
原 桜井貴美代

黄金色の波がうまれ娘は収穫の時を迎える 輝きの季節
原 泉ののか

厚真安平むかわ美留和 みんな聞いたことがなかった地名だ
茨城 赤城恵

教会の席から送るフォト・データ“リハーサル・なう”まもなく結婚式
下諏訪 笠原真由美

私を管理監督している妻は帰省中 ゆっくりコーヒが飲める
大阪 加藤邦昭

母を送りへろへろでこの町に 家順の役それなりにやり熟す
諏訪 河西巳恵子

夜更けに一人街を行くあの事がきっとショックだったんだ
藤井寺 近山紘

君と出会い四十八年和菓子をずっと食して来た 初めて伝えるありがとう
伊那 金丸恵美子

元(株)クボタ専務のK氏が来宅されて恐縮の至り
青谷 木村草弥

もういいもういい体が焼ける いくらお日さまだとて嫌がられる
千曲 中村征子

雑木は笑う小鳥が枝に巣を掛けたとき くすくすくすと笑う
豊丘 毛涯潤

突抜ける空の青色鮮やかに 映す私も夏が消えてゆく
諏訪 大野良惠

私はなつえ娘ははるえ孫があきか 季節の名前が三世代つづく
諏訪 宮坂夏枝

竜田川からくれないのもみじ葉は 千年の昔しのぶよすがぞ
京都 岸本和子

建て替えに至る要因指折りてぼうっとしてはいられない日々
諏訪 伊藤泰夫

なにげなく使っていた電気が停電 台風の凄い風に眠れない
茅野 伊東里美子

今日はデーサービスの日 皆さんと会話に花が咲く楽しい日
岡山 廣常ひでを

花の終わるまで待とう食物も人も生きるすべは同じだから
さいたま 山岸花江

娘がくれた真っ赤なハイビスカス 回想のワイキキも夕日も燃えていた
大阪 井口文子

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流域(未来山脈第353号より抜粋)

文言が悪いから役場へ電話、それが地元で問題化、我れは正しい
木曽 古田鏡三

夕食後興がのると戦争話をした舅 同じ話も初めて聴くふり娘と私
米子 大塚典子

AIは情報を処理し人間は情報から考える さあ、どっちが偉い
京都 岸本和子

草刈機の音が響く朝 どこまでもどこまでも青空はひろがる
原 泉ののか

赤トンボ飛ぶのは早い八月だ 秋来たのかな稲田で見ている
小浜 川嶋和雄

母に会えた気がしたご詠歌響く中施餓鬼会法要の本堂で
辰野 里中沙衣

大雪から始まった平成三十年ありとあらゆる災害が続き 心が痛む
米子 笹鹿啓子

七月二十六日は幽霊の日 逢えるかなあ逢えるといいな
岡谷 唯々野とみよ

亡き母の宝石箱をあけたら突然オルゴールが鳴る「いい日旅立ち」
諏訪 宮坂夏枝

わが国で 二度目の夏季五輪 開催まで一年余 夢と不安重なる
大阪 與島利彦

暑い日本では関西は大雨、土砂災害 北の北海道は地震に揺れる
諏訪 上條富子

八月末 孫娘が大阪から初めて一人で帰ってくるという
米子 安田和子

金木犀の香はこの家だ! 優しげな佇まいに黒いざわめきは鎮まる
下諏訪 須賀まさ子

大きな株になったカラスムギ 生きることだけで貴いのだと
つくば 辻倶歓

お盆に秋雨前線 雨が涼しさつれてやって来た やっと一息し農婦は種まきに精を出す
岡谷 林朝子

晒し巻いて太鼓に向かう少年の気迫切り裂く夜のしじまを
神戸 粟島遥

樹音ちゃん およめさまにいってもきれいなすがたをみせておくれ
鹿沼 田村右品

認知症気味の私の知人が友の死を知り涙をうかべ悲しむ
米子 稲田寿子

御射鹿池の色はスカイブルーに輝く東山魁夷の絵のように波静か
岡谷 武田幸子

もうかかることのない貴女からの電話 赤いハイビスカスを飾る
岡谷 金森綾子

糖度センサーをくぐって来たか 到来の桃はすべて甘くてはずれなし
岡谷 片倉嘉子

円すいに切りいるスイカよく冷え眠気もさめる活力パワー
諏訪 伊藤泰夫

ドラマのように有難うと告げ逝った友ボールまでも優等生
北九州 大内美智子

度重なる慰留を拒み議案書に「専務補充」の一文を書く
木村美映

お天気のように変わりやすい思春期の長女ただ見守るだけ
諏訪 浅野紀子

お~いと声かけられるほど近くにいる君に声もかけられず
仙台 田草川利晃

座して聞く殺人犯に添削し短歌を導く光本恵子に会う
青森 北村道子

プレスセンターから見る月は皇居を照らし昭和が揺れる影を映す
埼玉 横田哲治

今日は八月十三日 盆前の忙しい日に高校野球を見ている幸せ
琴浦 大谷陽子

公園の雑草にまじり芒の穂ひぐれの風にワルツを踊っている
横浜 上平正一

週末をもて遊ぶのか台風二十五号 公民館まつり悩ます
境港 永井悦子

父よあなたの知らない八十路を生きます平成最後の慰霊祭
諏訪 関アツ子

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急行列車(未来山脈第352号より抜粋)

真夏日、猛暑日、極暑日、灼熱日書いて見てなお知る今日の暑さ
大阪 井口文子

田に青々と命みなぎり空の侵入をはねのける
岡谷 唯々野とみよ

わが生やよしといいたい もう少し時間が欲しいと奥の声
奈良 木下忠彦

陥没した場所に心がくっついてひっぱってみるが役にも立たず
諏訪 藤森あゆ美

木漏れ日が差す窓にとどめようなく流れる記憶の朝の光り
札幌 西沢賢造

洗濯物干す二十二時の空 火星よ 橙色にまたたく
富田林 木村安夜子

毎年同じことが繰り返され平凡である幸せとはこの事か
諏訪 宮坂きみゑ

咲き終わった紫陽花の剪定をする来年もよろしくねと言い乍ら
さいたま 山岸花江

右足の脛が痛む 一日テレビの前でぼんやり 何も出来ない
岡山 廣常ひでを

許可を得て総会会場の日本代表の席に着く 国連の休会日だから座れる
大阪 加藤邦昭

息子のイタリアでの結婚式とスイス旅行 日本からは親族がつどった
原 太田則子

山川は癒しをくれる日もあれば命を奪う悪魔と化す日も
北九州 大内美智子

草刈りの後鼻につく土の香り真夏の土の力が湧き上る
諏訪 百瀬町子

秋風とともにチョコレートが美味しい季節が来た
青谷 木村草弥

体じゅうコードにつながれわずかに動く右手と頭
福知山 東山えい子

毎日「危険な暑さ」が続く よく食べよく眠ることが熱中症予防
岡谷 林朝子

おかゆにこうじをまぜて保温するとほんのりとした甘酒の香り
坂城 宮原志津子

チカチカチカ湖を輝かせて出る朝日熱い缶コーヒーが旨い
箕輪 市川光男

娘に電話「お呼びしましたが…」と出ない 雨に鴉が鳴く
諏訪 松澤久子

清涼を誇る純白の夕顔の花のはかなさ暑中の最中
諏訪 伊藤泰夫

日本列島がギンギンに暑い温暖化が進みこの先が不安になる
茅野 伊東里美子

諏訪大社下社のお船祭り 十年一度の御頭郷に猛暑の下諏訪が燃えた
下諏訪 藤森静代

肉屋の閉店に駅の無人化 女子校の統廃合でこの町はどこへ行く
群馬 剣持政幸

何も残らない生きてい来た道でも 歌は私の足跡であれ
東京 上村茗

庭先に黒い陰が走る 尾の長さは三光鳥のようであったが
岡谷 横内静子

独特の香にひかれて鵯はチェストベリーの小枝を三本へし折った
岡谷 柴宮みさ子

おっとり慌てず孫娘 排球に惹かれ三年目弱音を吐かずよくぞ成長
岡谷 三澤隆子

どんなに色あせ綻んでも 夫のお気に入りTシャツだから畳みましょう
岡谷 片倉嘉子

児のグレンツェピアノコンクール前夜 築地の”すし好”での贅沢
岡谷 金森綾子

梅雨が早く明けてカッカカッカ暑い 過去の記録を更新し続ける
岡谷 武田幸子

暑中見舞いは猛暑の羅列 猛の一字を限りなく重ねるお返し
千曲 中村征子

戦後の混乱期を生きてきた 戦没者を記念して今年も諏訪湖の花火
諏訪 上条富子

私の歩んだ道程はくねくねと曲がっている 曲がりながら未来へ向う
伊那 金森恵美子

ひんやりと風が冷たく感じますそろそろ秋がやってきたのかな
松本 大野みのり

八月九日 今日は長崎に原爆のおとされた日 一日中式典が続く
琴浦 大谷陽子

今日もめん昨日もめんだよソーメンだ それでも飽きない暑い日続く
小浜 川嶋和雄

川音を右に聴きつつ坂を下り商店街のベーカリーまで
下諏訪 笠原真由美

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流域(未来山脈第351号より抜粋)

生き方は違っても激動の中を生きて六十年 思い出のかけらつむぐ
岡谷 三枝弓子

耕運機に飛び出す蛙 まだ眠っていたのか起きて働け、さあ百姓だ
木曽 吉田鏡三

嘔吐する女が蛇口に映し出されて艶のある黒髪半狂乱
諏訪 藤森あゆ美

イチタスイチハニ 大丈夫! さあ今日のメニューを確かめよう
富田林 木村安夜子

もう見に行くこともなくなってしまったよさこい祭りテレビで観る
札幌 西沢賢造

「あの山道を休まず歩いてきた」夫は嬉しそう 私はもっと嬉しい
米子 大塚典子

素っ気無い電話の声 虫の居所か用件のみ そそくさと切る
諏訪 河西巳恵子

毎年娘から父の日や誕生日に届く贈り物 今年は可愛い小さな花束
岡谷 花岡カヲル

薔薇園に行った バスを降りたら薔薇トンネル どこもかしこも薔薇づくし
原 大田則子

若葉の緑の間から明るい青空がまぶしい 今日は古希の誕生日
原 森樹ひかる

いつもいつも歌づくりが頭を過る五七五七七と夢の中で呟く
原 桜井貴美代

石ころだらけだった私の庭にカミツレの芽 老眼鏡を取り出す
原 泉ののか

繰り返す時間・回ってくる時間、そんな時間があればよい
京都 岸本和子

自作の短歌を振り返る 上から読んでも下から読んでも色がない
米子 笹鹿啓子

神カレンダー桃の花咲き春らしき日々眺めれば癒される絵柄
仙台 田草川利晃

山紫陽花 修験の山を黙々と目印頼りに山友をたよりに
北九州 大内美智子

この国は天災国 山が崩れ川があふれ人の小ささをいやおうなく知る
東京 上村茗

戦後七十三年 沖縄慰霊の日 痩身の翁長雄志知事 悲痛な平和宣言
大阪 與島利彦

いつも啼いている御向いの犬 何が恐いの淋しいのマンション十四階
愛知 川瀬すみ子

わたくしのいつもながらの朝の儀式これから始まる春夏秋冬
青谷 木村草弥

機内から眼下を見下ろすと綿あめのような雲がモクモクフワフワ
坂城 宮原志津子

歯科医院からの葉書は避けたくても無視できないいばらの道
諏訪 大野良惠

一泊の特養ショートステイを敢行 娘の負担軽減が名目の予行演習
大阪 高木邑子

耳朶に囁いてくれるさざなみは気が遠くなるほど胸をとかしてゆく
横浜 上平正一

垣根の陰にひっそり咲く奢莪の花 降りそそぐ無情の雨
諏訪 百瀬町子

頑張ってね 夫は手術室へダメならすぐ閉じますと医師
福知山 東山えい子

心臓の模型のような玉ねぎを薄切りにする 繊維にそって
東京 金澤和剛

み手に引かれて七十年弟妹たちも次々に祝福された七人姉弟
東京 保坂妙子

社会義務のような婦人会卒業していよいよ老人クラブ
岡谷 武井美紀子

万全を期しても不備はあるもので会議前夜は常に徹夜だ
青森 木村美映

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急行列車(未来山脈第350号より抜粋)

流れる星を期待して夜空を見上げる 近づいてきた寒冷前線
岡谷 三枝弓子

トッキョキョカキョク薄明の森に聞こえる朝一番はホトトギス
原 森樹ひかる

伊豆の旅へと娘からのプレゼント潮騒を聞き湯につかる
原 桜井貴美代

紫陽花の多彩な花形を 今年も鑑賞 亡祖母が愛でた古典花
大阪 與島利彦

雨のなか地面をつつく小鳥たち 滴を払い無心についばむ
原 太田則子

キョロキョロと草原にキジの顔が覗く今日も見回りごくろうさま
原 泉ののか

春分の日に雪ってぇー 身をかたくして春を待つ桜のつぼみ達
鳥取 小田みく

貴女はきっと一緒に居る そう想いネガティブを振り切って生きる
つくば 辻倶歓

若い時の生き方や価値観は過ぎた歴史 今を生きるだけ
諏訪 百瀬町子

橋本悦子様 はるのひもあきのひも自動車おひとりびじんおうふく
鹿沼 田村右品

頭上に響くかっこうの声 樹木の合間と空にその姿探す
辰野 里中紗衣

六月五日は環境の日 なぜか地球環境に興味持つ私の誕生日
下諏訪 児島啓一

真白いパラソルパッと広げるように満開の石楠花雨上がりの庭に
岡谷 柴宮みさ子

兄姉揃って出掛ける一番上の兄の七回忌 群馬までは遠くなった
岡谷 横内静子

満開の垂れ桜にライトアップ三日月の闇に菩提寺の風格くっきりと
岡谷 三澤隆子

さわやかな風に吹かれて山芍薬と白根アオイの白の際立つ山里
岡谷 武田幸子

さらさらと野を吹き渡る風の中にいて素直な自分になっている
岡谷 片倉嘉子

山吹の花が咲き鴬の鳴く墓地で磨き、草取り、心を洗う
岡谷 金森綾子

早朝山の会の十五名が大阪金剛山登山のため高速バスで出発する
米子 安田和子

からすのえんどうを知ったのはずっと後 かあさん山羊の土手に絡んでいた
千曲 中村征子

シヤロンストーンは中古の男の胸を鷲摑みして画面の奥で氷の微笑
横浜 上平正一

木漏れ日チラチラチラチラ和室に届いて風は障子に映っている
京都 毛利さち子

午後縁側の椅子でぼんやり 向かいの山を眺めている 空が高い
岡山 廣常ひでを

なんにもしたくない 怠け者になってしまったか 振りだしそうな梅雨
下諏訪 須賀まさ子

清志郎死去で始まる年表の一行後のマイケル・ジャクソン
東京 金澤和剛

 

 

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急行列車(未来山脈第349号より抜粋)

横入りした女性 一列と皆の心を乱して去ってゆく
諏訪 藤森あゆ美

国鉄長野原線の証終点太子駅の復元 廃止の時数え年三歳
群馬 剣持政幸

暗闇に目を開くと混じり気なしの過去ととりとめない未来が浮かぶ
京都 毛利さち子

財務官僚的に申し上げれば私まだ生きてございます
諏訪 河西巳恵子

荒畑のすっくと立てる水仙の花五、六本青い空
岡山 廣常ひでを

ねえ、どうしてさくら色って無いの? サクラクレパスの中
愛知 川瀬すみ子

飛行機雲が尾を引き消えない 天気崩れるかゴールデンウィーク
諏訪 宮坂きみゑ

今や人生百年時代 まだまだ二十余年もあり 嬉しさと戸惑い漂う
境港 永井悦子

谷川に揺られゆられた笹船が水溜りに一息ついている
横浜 上平正一

古希を迎える夫 商品を売る人から買う人に 手土産探すもまた楽しい
伊那 金丸恵美子

ジャーマンアイリスが咲き出した畑の周りが明るく華やかになる
飯田 中田多勢子

根本から袂を分かつ植物だ愛されるつくし憎まれるスギナ
諏訪 伊藤泰夫

四月は高額の請求書次々と そんなこと知らず咲くハナミズキ
諏訪 大野良惠

気楽に言い合い笑った入院生活看護師さんは白衣の天使
箕輪 市川光男

ほっほっほっ林の中に辛夷の花 白い灯りを灯す
原村 泉ののか

元旦から険しい岩山と強風に挑んだ二人 あの頃は若かった
原村 桜井貴美代

ほおに風ピッとささる冬の風 ずっとさわられたい春の風
原村 太田則子

大山桜のほのぼのとしたピンクを深呼吸しながら歩く諏訪湖畔
原村 村樹ひかる

さわやかなみどりゆたかなみどりと唄う 五月はみどりにあふれて
岡谷 武井美紀子

昨年からのコーラスに加え今年からゴスペルも始める 六十七歳のチャレンジ
大阪 加藤邦昭

「ゆうか」という響きに反応する私 なかなか会えない初孫の名前
諏訪 宮坂夏枝

夫と山友と三人で六甲山縦走の為早朝の高速バスで出発する
米子 安田和子

今年も頑張るよと亡き夫に語りかける気のせいか力が出た
諏訪 百瀬町子

ふわっとした藤の香り その下で子や孫たちと集合写真おさまる
坂城 宮原志津子

五色放水と百人のブラスバンドで歓迎 港華やぎ客船万歳
大阪 山崎輝男

何年生きているか大けやき 千の手で空を支える
岡谷 唯々野とみよ

なんとなく自らをなぐさめ切りかえして自分をつくる 砂出を作る
東京 上村茗

狭庭に次々と花が咲くまるで心に寄り添うように
北九州 大内美智子

初夏のはじまり 姿は見せずホーホケキョホケキョと裏庭から鳴いている
諏訪 上条富子

神社役の四年が明けた夜が明けた 神に怒られるかなぁ
木曽 古田鏡三

今さら聞けないあなたの名 知った振りしたばかりに記憶が騒ぐ
米子 角田次代

午前〇時 軍用機が飛び去っていつの間にか深き闇広がる
青森 工藤ちよ

薄闇を押し開き来る人のありあの世この世の隔ての有るは無し
東京 木下海龍

目黒でも恵比須でも四谷でも atreで食べたり買ったり
下諏訪 中西まさこ

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急行列車(未来山脈第348号より抜粋)

行き先をたどれば過去の一滴が身にしみる春の日のボレロ
札幌 西沢賢造

かすみ桜の咲く頃にきっとあなたに会えるでしょう きっときっと
伊那 金丸恵美子

もろもろを手放し軽くなった きっと大事なものも失っている
諏訪 関アツ子

忘れな草がさわさわゆれる空いろの出窓 それは希望です
富田林 木村安夜子

たまにボーとするのも良い力を抜いて気遣いはやめよう
諏訪 百瀬町子

赤い気を吸い棘を出して咲く ぼけの花のように身がまえて生きてきた
東京 上村茗

蕪村も眺めたか毛馬の櫻の雲海を観音様とともに見るめる淀の縁
大阪 山崎輝男

全部売ってしまいたい靴もバッグもスカーフも 私のじゃなくて貴女のだから
下諏訪 中西まさこ

チノパン・ジーパン・ジャージが通って行く歩み方だって個性だ
京都 毛利さち子

アイコスとグローがあると聞かされてコンビニ店員に説明を受ける
青森 木村美映

「アッちゃ どげすーだ 六時十五分だわぁ~」「十五分ある 急げ」
米子 安田和子

新聞に歌載れば簡単に元気と 辛い冬どうにか越えた
諏訪 河西巳恵子

総会は誰が参加か我家では ジャンケンポンと負けが出ていく
小浜 川嶋和雄

春は集いが多い楽しんだ余韻つつみ込み帰宅身が軽くなる
諏訪 宮坂きみゑ

七年が終わり八年が始まる 3・11まだまだ東北
諏訪 伊藤泰夫

花の芽も出た嬉しさなのに冬将軍も頑張る春分の日の雪降り
原 柏原とし

真っ青な空に向かい立つ白樺の枝 陽の光のシャワーを浴びている
原 森樹ひかる

ある日突然当たり前に過ごしていた日常が非日常となる あの転倒
原 泉ののか

座ったままコート脱いだり着たり カナダの冬の暮らしの名残
愛知 川瀬すみ子

持てる言葉力で写生を試みる 静まれ動くな目のなか
千曲 中村征子

隣家の奥さんに竹の子寿司を頂く 初物に舌鼓
岡山 廣常ひでを

施設に入所の姉を見舞う 握手したその手から喜び伝わる
岡谷 花岡カヲル

桜咲くから桜散るスーパーあずさ上諏訪から新宿までの旅
諏訪 宮坂夏枝

うめ さくら もも つばき ゆきやなぎ 花の途切れない大地
神戸 栗島遥

気の早い慌て者の土筆の坊や氷雨の土手で縮こまっている
北九州 大内美智子

四月は旅立ちの月 桜も咲いて応援してる娘はうれしさを胸に足許軽く
茅野 名取千代子

時刻表とカメラ片手に倉吉から電車を乗り継ぎ十歳の孫が来た
米子 笹鹿啓子

いつだったか夕刊のコラムに「難民かザクレブで女児保護」と
青谷 木村草弥

「秀逸」を多用する評読み終えて少し笑って散歩道を行く
下諏訪 笠原真由美

お菓子屋は行事のたびに攻めてくるバレンタインもホワイトデーも
一関 貝沼正子

朝から小雨満開の桜も薄墨の那須野が原を宇都宮のホテル迄車を駆る
太田原 鈴木和雄

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流域(未来山脈第347号より抜粋)

夫婦で穏やかに迎えた結婚記念日 四十四年の歳月を振り返る
伊那 金丸恵美子

出現にメディアも追いぬ御神渡り待つも五年の拝観神事
諏訪 伊藤泰夫

毎日まいにち毎日真冬日 空が欠けて落ちてくる
岡谷 唯々野とみよ

インコの横に庭の草取り日光浴をする私もインコにも春が来た
米子 稲田寿子

右肩上がりをキープしたい 土日の朝も七時に起きる
東京 堀江美奈子

霜がれた狭庭に雑草だけが青い芽をしのばせて春を待つ
さいたま 山岸花江

雪が全部砂糖だったらなあというのは幼い日のぼくの直喩願望
茨城 赤城恵

冬季五輪十三個のメダルと十五人の勝者帰国みな抱きしめたい
岡谷 武井美紀子

ちょっと手がまわらない内に草は伸び放題風に揺られてサワサワ
箕輪 市川光男

時計もスリープしてる午前三時 いつもよりそっと息子を起こす
諏訪 大野良惠

芋だんご芋あん詰めて塩の味戦後の母は雛の日に
札幌 石井としえ

白菜の硬く青い葉も料理次第で美味に 私もそんな使われ方でいい
大阪 高木邑子

二度もみまわれた大雪 そういえばカメムシ八十匹標本にした昨秋の一日
米子 大塚典子

手の届かない目標を目指し歩んできたあの道この坂
仙台 狩野和紀

耳の聞こえにくい夫と母の暮らしはとんちんかんがいっぱい
米子 安田和子

おひ様が窓一杯に陽がさして 春が来ました部屋は暖か
小浜 川嶋和雄

日だまりに集まり友と語る荒れた手の節を見せ合いながら
原 柏原とし

小学生の小平奈緒が滑ったスケート場 孫娘が一人で立ち滑っている
原 森樹ひかる

北陸道から上越道へ景色は一変 雪の中
原 桜井貴美代

五輪の映像から感動の喜び フィギュアの羽生「金」宇野の「銀」
諏訪 上条富子

夜が明けると何もかも真っ白 時間が留まったまま
原 泉ののか

何年生きても春が来ると喜びと移り変わる寂しさ空に描く
群馬 剣持政幸

「おんなの城」はよく書かれてあり楽しみ ここに出てくる認知症の女性は大変そうだ
琴浦 大谷陽子

五年ぶりの神渡りの神秘に県外者で交通渋滞 地元は感心うすく
岡谷 伊藤久恵

平昌冬季五輪 小平奈緒さん胸に輝く金メダル 成し遂げた柔らかな笑み
岡谷 堀内昭子

氷点下つづきで御神渡り現われ神の恋路に壮大なロマンの思いに馳せる
岡谷 林朝子

曇り空から発せられた朝の光居間の床に留まっていた
札幌 西沢健造

実家の書棚に丁寧に貼られた黒い時代物のアルバムがある
米子 笹鹿啓子

門口の車庫狭くする今日の雪朝に夕べに妻が雪掻く
一関 貝沼正子

冬ものをクリーニングに出さなくてよかったと妻の一言三寒四温
神戸 粟島遥

ちょっと温かい風が吹くと大地は正直にめざめこころもぬくい
諏訪 関アツ子

月光に濡れる亡き人の椅子かくて四十八年ラロのスペイン交響曲を思う
大阪 井口文子

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流域(未来山脈第346号より抜粋)

どこまで生きられるのか老残の命を口語自由律短歌でしめしたい
大阪 井口文子

寒椿寒気寒波の列島下我れに奮起を促してさいている
諏訪 伊藤泰夫

山が描けるか風や水が 宮崎信義の歌碑に花弁のような雪が舞う
岡谷 三枝弓子

生命線 頭脳線 お笑い線延びて なにがなんだか超高齢
諏訪 河西巳恵子

いま歌集を開く 生きぬいた生命がそこに有る古里がある
木曽 古田鏡三

セーリと歌いはじめてナズナにつなげ春の七草幼に教える長老は
米子 大塚典子

山稜の雪雲は去りベランダに積もった雪に屋根の水滴
札幌 西沢賢造

ほどほどであれば風情もある雪も雨もこうも続くと愚痴がでる
米子 角田次代

仙丈ケ岳に日が顔を出してきた草は刈ったし野菜も採ったさあ帰ろう
箕輪 市川光男

亡くなった義母の二十五回忌にお案内が菩提寺より届く
米子 笹鹿啓子

手のひらに雑煮椀のぬくもり 新しい気持ちで一年を始める
岡谷 片倉嘉子

鵟が狙いを定めて急降下 獲物を逃すやきまり悪気に飛び立つ
岡谷 柴宮みさ子

女三人大口でポップコーンをキャッチ きゃあきゃあ児らと弾ける
岡谷 金森綾子

木肌色の幹をみつめる静かな時間 小枝の先にヤマガラあそぶ
茅野 伊東里美子

送る身も行く身も寒さの堪える朝 定年過ぎての早い出勤
岡谷 佐藤静枝

合格はスタート位置に立てた所足元をしっかり固めてと言う
諏訪 浅野紀子

脚が弱くなった 部落を一周する 杖をついて一歩一歩
岡山 廣常ひでを

毎日が淡々と過ぎる 身体のどこかに潜む不安感
天理 坂井康子

安部龍太郎「おんなの城」を読む戦国時代に生きた女の面白さ堪能
琴浦 大谷陽子

土蔵の中 コンテナに並んだりんご「ふじ」氷みたいに冷たい
坂城 宮原志津子

光あふれて庵にて世相を語る菩薩とも思える寂聴の笑み
岡谷 土橋妙子

全てをさらけだすことは出来ない 人と自分を傷つけるから
東京 堀江美菜子

ハテハテ こんな道あったっけ雪の杖が迷い込む見知らぬ世界
千曲 中村征子

北北東寒冷前線通るらし ボタン雪かなすごく重そう
小浜 川嶋和雄

霧がかかったようで晴れない思い見放した一つ一つが重く蘇える
京都 毛利さち子

街へ行くのに「病院前」で降りそうになる パブロフの犬だ
愛知 川瀬すみ子

幸せになるための嘘は罪ですか 生き抜くための嘘は罪ですか 晩鐘が鳴る
小平 真篠未成

「おばあちゃん食事」と姑を呼んだが今は夫を「お爺さん」という
諏訪 松澤久子

心病んでないかよく眠れるか 話す相手はわたしでいいのか
富田林 木村安夜子

未来山脈特集の「夏雲」を読む 中間の遺骨を持ち帰る惨い歌
茨城 赤木恵

四月は旅立ちの月である どこかで桜がさいている
青谷 木村草弥

雪雲が覆う南の街に安閑と聞く天気予報 風が強くなった
松山 三好春冥

 

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急行列車(未来山脈第345号より抜粋)

白熱電球に手をかざしては鉛筆を削った 炭のこたつしか無いころ
松山 三好春冥

あなたこなたの差し入れ豊かな年の始め 陽射し穏やか
諏訪 河西巳恵子

一緒にいることが意味 印空寺の歌碑に立ちしろい吐息吐くわたしたち
富田林 木村安夜子

日にあそぶ小雪まとえばたちあまち少女 姫にだって
岡谷 唯々野とみよ

午前零時の時報を聞いて餅つきが始まる 今年は年の暮れ二十八日
伊那 金丸恵美子

元旦は庭に出て川に向かった大階段の上から只一人ご来光を拝む
大田原 鈴木和雄

うつむいて古雑誌を束ねる 残像のようにかすれていく手
下諏訪 笠原真由美

二歳若い六十代の友が施設へ 聞いて驚きともかく会いに
木曽 古田鑑三

ウインウィルの正月演奏をボリューム上げ一人堪能
さいたま 山岸花江

わずかに白くなった初雪 天気予報は人を不安にさせている
諏訪 浅野紀子

いつも人気のない長屋 雀が寄るので気になった
奈良 庄司雅昭

手作りを持ち寄っての集い 煮物揚げ物酢の物味おこわなど
米子 角田次代

満州に派遣され駐屯した関東軍が画策して開戦した満州事変だった
藤沢 篠原哲郎

明けてやっと賀状に取りかかる いつ届くかここは飛脚の宿
千曲 中村征子

癌の友 余命半年の宣告に夫婦で分かれの旅を続けて二年経ち
大阪 山崎輝夫

ピピ! スマホのように答えぬ君の名刺は特別な処にしまったらしい
愛知 川瀬すみ子

注射器で血液を採る看護師は 口元可愛いく紅塗っている
小浜 川嶋和雄

南天の赤い実の乏しさが寒を増す空 行けど行けど青・青
岡谷 土橋妙子

八十路峠の下り坂はあと何年坂麓の燈火ちらちら見えるが
豊丘 毛涯潤

初雪が根雪になって大慌て雪掘り返している雪囲い
札幌 石井としえ

今朝早く湯潅を終えて看護師の運ぶ給食に箸が進まず
岩手 千葉英雄

市庁舎展望室より発展する秋色の北九州にエールを送る
北九州 大内美智子

下伊那農業高校の生徒が作った黒豆と長葱を売りに来た
飯田 中田多勢子

凩が胸ふきぬける夜は重ねぎよりもあなたがほしい
横浜 上平正一

赤土の畑がひろがる風景に癒された人もありこころ旅に映る
天理 坂井康子

誉め言葉を真に受けていた自分の朗読 TV放映に見ると中途半端な表現だ
下諏訪 須賀まさ子

霜にあいながらも陽があたると早生の福寿草ふたつみっつと咲く
茅野 伊東里美子

寺に猫が来ました くるみと名づけてかわいがっています
長野 岩下元啓

正月を一緒にという甥家族 嬉しさと心配が交差する
岡谷 佐藤静枝

バス会社の一泊旅行 車中は酒や話で大盛り上がり地域のつながり
米子 稲田寿子

凍てつく道は宝石を散りばめたような煌めき 除夜の鐘が聞こえる
岡谷 三枝弓子

今年こそ会いたいね! と書く年賀状 縁なき相手と永遠に
諏訪 藤森あゆ美

繰り返すこの感情はもしかして屈辱という名か 上等だ
東京 金澤和剛

しんしんと揺らいでいるこの夢のような爽やかを生とするか
札幌 西沢賢造

絣モンペに籠を背負い寒風のなか伯州ネギを育てた古のひと
鳥取 永井悦子

想いの半分もできず 総決算のような風邪をひき持越す
諏訪 関アツ子

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