会員の作品

「未来山脈」の会員の作品です。

太陽はいま(未来山脈第370号より抜粋)

サンルームのしゃこばサボテン咲きさかり令和二年の温い正月
一関 貝沼正子

一つの事を続けるのは長い年月を費やす リンゴに赤い果肉微笑む
伊那 金丸恵美子

蘇東坡の詩を書き写す キャンパスノートに横書きで
下諏訪 笠原真由美

どの分野にも若い才能 習熟伝統を越えて新しい息吹
奈良 木下忠彦

冬だ冬だと梢がさわぐ余分なものを捨てた木々の確かな生
諏訪 松沢葉子

日の暮れるのが少し遅くなった なんでもないことが今日は嬉しい
京都 岸本和子

夫の腰がぬけて動けない どうしようもなく切羽詰って救急車だ
飯田 中田多勢子

鍵穴も見えない暗い周辺 街灯がぼんやりと道路を照らす
岡谷 佐藤靜枝

始まりはいつでも良い 今年で三度目になる巡礼の旅
鳥取 小田みく

あ~あ頭はハゲるし腹は出る腰は痛んで肩も張る世の中闇だ
箕輪 市川光男

スキー場に雪は無いがすがすがしい白い山を見ながら草をとる
米子 稲田寿子

思い出いっぱいの城崎西村屋に遺影の夫を連れていく もうすぐ一年
米子 大塚典子

毎年めぐってくる誕生日なのに毎年毎年祝ってもらう
岡谷 武井美紀子

一月の雨が音をたてている 雪でない安堵と雨である不安と
岡谷 唯々野とみよ

悪魔っ祓いやどんど焼き町や村も楽しくやる小正月
諏訪 宮坂きみゑ

寒空に咲くロウバイに足を止める 持ち主と話が弾む散歩道
下諏訪 藤森静代

日本歴史の奥ざしき 京都盆地に愛着わく 周年伝統行事・盛大
大阪 與島利彦

頭の上の電線はホント頭がいいんだ 明細書がまっすぐ通過していく
千曲 中村征子

ひさしの雪が朝陽にとけて庭石をうがつ大寒の朝
岡谷 片倉嘉子

朝のラジオ体操 じゃんけんゲームに加える二人の新たな試み
岡谷 金森綾子

なだらかに整えられた植込みを藁帽子はさわさわとたどる
岡谷 柴宮みさ子

つつがなく暮らした我家の一年だるまの目入れ式に感謝の締めとなす
岡谷 三澤隆子

青空に連凧が垂直に上がる 今年はきっといいことあるよ元旦ウォーク
岡谷 横内静子

プリンタはすぐに壊れるものらしくあえて最新機能は追わない
青森 木村美映

探し物をしていたら目的物は見つからず出てきたのは昔の未来山脈
東京 保坂妙子

誕生日ショートケーキは六種類七十八歳の言葉も冴える
東京 木下海龍

今頃は友の出棺の時 テレビを消し自宅の居間より手を合わせる
大阪 高木邑子

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いのち(未来山脈第368号より抜粋)

シャワーヘッドから生まれた水が何にも触れずに排水される
名古屋 早良龍平

僕と君と似た者同士のふたりだね男と女の違いあるけど
下諏訪 中西まさこ

もみじ浴の京都清水寺 元年の漢字は「令」に森貫主の揮毫アート
大阪 與島利彦

一首も書けなかった夏 作りかけた習慣が崩れていく
京都 岸本和子

不幸なまま幸福のままでは終わらないという人生 やっと普通な今
下諏訪 須賀まさ子

「ありがとうございました」と一日に百回くらいは言ってる仕事
諏訪 藤森あゆ美

娘の子五歳と三歳七五三を一緒にやる兵庫加古川の日岡神社
岡谷 武井美紀子

娘に誘われて地図にのっていない御射鹿池(みさかいけ)を目ざし登って行く
岡谷 花岡カヲル

健康教室の集いは笑顔で始まり笑いで終わる高齢者活躍の場
米子 稲田寿子

小鳥のさえずり ゆったりとした旋律「自律神経にやさしい音楽」をきく
諏訪 宮坂夏枝

青空にぐらぐら燃えるピカマチス認知症治療のジューズに凝れ
さいたま 清水哲

ラグビー四強はイングランド ニュージーランド 南ア・・・大英帝国だ
太田原 鈴木和雄

年取れば丸くなるかと思いきや協調忘れた老人会
北九州 大内美智子

最後まで寄り添えた安堵の思いか 亡夫を時々忘れる日もあって
大阪 高木邑子

漢詩の中国語朗読でいろ鮮やかな山川草目心に沁みる
大阪 山﨑輝男

わずかに残った葉がゆれる音もなくこきざみにゆれる
岡谷 唯々野とみよ

チャラチャラした女子高生より真面目に身体を受け容れる女性の尊さ
つくば 辻倶歓

連れ合いに声かけをするウォッチング壺坂霊験記ここに深い愛
諏訪 伊藤泰夫

北風に枯葉舞い散る最後の一葉小枝にしっかりしがみつき
東京 鷹倉健

秋晴れの日山友二十一人はマイクロバスで三瓶山登山に出発する
米子 安田和子

八十七歳のトラクター坂道に横転 勤しむ日々いくつもの物語
千曲 中村征子

台風が三十近くも発生する 海水をたぎらせたのは人間のしわざ
奈良 木下忠彦

炭鉱(やま)おとこ代表していた町会議員閉山反対つらぬいて

札幌 石井としえ

多忙ときめきの無いまま新短歌(うた)出来ず散歩の枯葉ふみしめる
鳥取 小田みく

石川英吾様 鹿沼市千渡の石川家にごりっぱごたんじょうをなさる

鹿沼 田村右品

一円不足で戻ってきた原稿 〆切に間にあっていたのに
東京 上村茗

三十年ぶり ランチ会のお誘い仲間の顔思い浮かべながら心がおどる
坂城 宮原志津子

晩秋の午後の黄色い光に照らされ街も人らもきいろく染まる
京都 毛利さち子

言葉より先に涙があふれ出る 洪水の街 流される犬
一関 貝沼正子

ロンドンから北に電車で一時間 ケンブリッジに着く
青谷 木村草弥

我が家の正月準備は当番制に子達の住む地で順番に
下諏訪 小島啓一

淡い淡い靴の紅いろにじみいでて知らない街の歩道を染める

北海道 吉田匡希

生まれは大町 松本の茶道の先生に気に入られて名古屋に
諏訪 上條富子

 

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太陽はいま(未来山脈第367号より抜粋)

千羽鶴を贈ったのは半世紀前 折り方を忘れた指をあたためる
松山 三好春冥

冷めた湯船に熱湯を足す 日常は常に刺激を待っている
諏訪 藤森あゆ美

建設中の五階建てビルこの夏をグレーの幕が家の気塞ぐ
一関 貝沼正子

娯楽館おんこが目じるしみんな集まる炭鉱(やま)の楽しみ芝居に映画
札幌 石井としえ

わが国二度目の夏季五輪―世界平和記念祭典真近わくわくする
大阪 與島利彦

花水木が紅く染まり銀杏の黄色が鮮やか 山茶花が一杯に花弁を開く
伊那 金丸恵美子

伸びて来た水菜に屈んでものを言う生前に親父が春にしたこと
豊丘 毛涯潤

あれに良しこれに良しとCM踊る サプリメントは魔法使いか
坂城 宮下久恵

朝霧の中日輪が消える諏訪湖マラソンランナー出揃う
諏訪 宮坂きみゑ

秋宮境内の石灯籠 苔と枯葉を載せて秋のおしゃれする
下諏訪 藤森静代

文化の日にふさわしい朗吟の夕べ 夫も吟詠し盛り上げる
岡谷 佐藤靜枝

秋明菊の淡い紅色 吹き抜ける風は涼しくて散歩へと誘う秋の一日
辰野 里中沙衣

刻々と映し出されるテレビ画面に言葉を失う 何ということだ
坂城 宮原志津子

恐ろしげな雲動く 日の光にやわらかく包まれ見ている
岡谷 唯々野とみよ

遠目にもそれと知る百日紅 真赤な花ふさ二階も超えるいきおい
岡谷 三澤隆子

気がつけば毎朝庭を動かしている 根の張るものは選別される
岡谷 横内静子

「オメェなんて言わないの」 さらに連呼する三歳の孫娘
岡谷 片倉嘉子

歌集『言がたり』に重なる幾つか きっといいことあるよ貴女にも
岡谷 金森綾子

グラスに揺れる秋桜 歌会のいつもの席にかすかなけはい
岡谷 柴宮みさ子

瀬戸芸で賑わう瀬戸航路チケット待ち時間二時間三便をゲット
米子 角田次代

愛隣会館が取り壊される 変化に対応出来ない弱者を忘れないで
大阪 高木邑子

カーテンの襞を泳ぐ鳥の影夜になったら全部消えた
名古屋 早良龍平

さようならを言う覚悟はできている 当てのない風にちぎれた涙
諏訪 大野良恵

‶おとうさんの読みあたったよ〟吉野彰ノーベル賞の新聞供える
米子 大塚典子

十八の珊瑚の肌に紅をさし君を待てば ああ ああもう冬
北海道 吉田匡希

マニュアルがないとできないという あればあなたでなくてもいいのだよ
京都 岸本和子

ほうき草に触れながら夏から秋への日を浴びる ほしいな草ぼうきひとつ
千曲 中村征子

ユーモアで笑いを誘う講演を終わりまで聞いて帰途につく
下諏訪 小島啓一

シャガール展の異次元の世界を見て浮かれて求めた高額の本一冊
岡谷 土橋妙子

いつもの鉛筆で言葉をなぞる ひとりだけの海の波
富田林 木村安夜子

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素足(未来山脈第366号より抜粋)

掌に残ったわずかな温もり 共に暮したインコの命惜しむ
岡谷 三枝弓子

猪に踏みしだかれしごかれつつ立つ稲 刈り取り不能の田
福知山 東山えい子

滴る春に街に出よう曇りがちだった窓に朝の光満ちて
札幌 西沢賢造

暑い十月 朝晩が涼しいからしのげるが 太陽の照り付けはまいる
東京 上村茗

母の遺してくれた箏仲間 彼女たちと暖かな時を私は享受している
諏訪 宮坂夏枝

石間も砂地もぐんぐん 咲き広げるマリーゴールド オレンジ一色に
岡谷 堀内昭子

朝晩めっきり涼しさを呼んで庭一面の秋桜 飛び交う赤とんぼに癒される
岡谷 林朝子

もういない義母の施設を訪ねる眺めてただろう晩秋の葛城山
藤井寺 近山紘

崩れきれないという廃墟の無惨 夕陽よ抱いて奥まで深く
諏訪 松沢葉子

青空映えてくっきりと山並み 朝日に照らされみずうみ輝く
諏訪 上條富子

十月は秋らしい陽気になるはずがこの暑さ地球は何処を廻ってるの
東京 保坂妙子

他国から要求多い我国はスイスのように自立出来てますか
下諏訪 小島啓一

君の捨てた草履の鼻緒を直して履く 足の裏から君を感じる
長野 岩下元啓

高原の紅いどうだんつつじ 小さな鈴の様に風に揺れている
茅野 平澤元子
いちめんにピカマチスの深紅が広がりし雲に映えて名画になり
埼玉 清水哲

ようやく終わった夏休み ほっとしたのもつかの間 運動会発表会と
流山 佐倉玲奈

喉におわす神様がいう「近頃は汚い風、よく通りますね」と
北海道 吉田匡希

記録的暑さに笑顔ふりまいたひまわり身なりもあわれ お疲れさま
岡谷 伊藤久恵

部活が終わった三年の夏 もう縛られる事なく走れるのは楽しい
伊那 藤本光男

きれいだぜ裕次郎だぜ海生き物沢山いるけど意味はしらない
東京 中村千

友の安否が知りたくても伝えられない歯がゆさ
埼玉 赤坂友

吐く息の白さに気づく信号待ち 学校までの道のり
松本 下沢統馬

雨のしずくが文字をつないで流れ落ちる バスの席
下諏訪 光本恵子

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いのち(未来山脈第365号より抜粋)

太古の夏 そこで聞いた曲だけがときどき浮かんでくる
愛知 早良龍平

日常に闇はひそんでいるけれどアンダンテ・フェスティーヴォの心で生きる
下諏訪 笠原真由美

生命を燃やして逝った蝉せみ 夕焼け空に赤トンボ舞う
大阪 山﨑輝男

自由だ‼ 浮かれていた心が沈む もう夫は帰って来ない
福知山 東山えい子

他人(ひと)との行き来が少なくなり日に日にひとりの実感が増殖する
奈良 木下忠彦

九月になれば暑さやわらぐ元気を出してと思えど残暑が厳しい
岡谷 武井美紀子

雲と話すもいい花達と唄うもいいそして黙って人といるのもいい
諏訪 松沢葉子

草むらに鳴く虫のコーラスと冷ややかな風で夏も遠ざかる
諏訪 百瀬町子

梅が咲き水仙が咲き鳥が唄う 春っていいなあぁ みんな元気だ
箕輪 市川光男

人目引く一筆寺の掲示板 心に留めて我以外はみな師匠
諏訪 伊藤泰夫

ぎこちなく背中にリュックのデビュー 視野高くなりるんるん
岡谷 金森綾子

高音が出なくてもはずれてもよし 友と思いきり歌えば気分爽快
岡谷 片倉嘉子

定期検診を前に体重増加を心配しつつ過ごす食欲の秋ついぱくぱく
米子 稲田寿子

紫に色付き始めたチェストベリーの花房 梅雨明けの空に映える
岡谷 柴宮みさ子

吾庭のあじさい見頃の隣に萩の花咲くを見た梅雨の明けた日
岡谷 三澤隆子

傷が癒えなくもリハビリに励む夫 手を抱え病院の廊下を二人で歩く
岡谷 横内静子

徘徊し深夜警察署に迎えに行った 煮豆上手は忘れない
北九州 大内美智子

密かに連れ出してくれる散歩 分譲地の畑にズッキーニの大きな葉
諏訪 河西巳恵子

柔順な土が待つから日課として山畑に出る わたしのマチュピチ
岡谷 土橋妙子

雨合羽に傘持参 赤い長靴を履き予約のバスの旅は豪雨の地に向かう
米子 笹鹿啓子

剪定をしたり肥料をやったり たくさんの花をつけた玄関先のサルスベリ
流山 佐倉玲奈

まどいながら発信した処女歌集 すこしずつ色づく
富田林 木村安夜子

綺麗に刈った夕暮れの芝生に川風が涼しい 秋だ
太田原 鈴木和雄

月日が過ぎるにつれ山手線のラインが少しずつ細くなる
仙台 狩野和紀

張りつめた一本の糸たゆませて今週の業務をデスクに置く
諏訪 藤森あゆみ

食欲のわかぬ夏の夜カクテキの真赤な辛さ味覚をさます
一関 貝沼正子

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太陽はいま(未来山脈第364号より抜粋)

亡き人の好物鰻が届く土用の牛の日 逝って七年友ありて
岡谷 三枝弓子

温かい雨にうたれてじっと居る 心よ立て わたしの心よ
下諏訪 笠原真由美

夜中に歌を思い付き起き出して机に向かう老いの独り暮らし
太田原 鈴木和雄

ギリギリの人生どこで踏み外したか写らない写真機のレンズの向こう
藤井寺 近山紘

猫の背に似た丸い猫城址ユニークな城の名は山容から
北九州 大内美智子
脳みその片隅までも探索する 宇宙にはいない神の痕跡
東京 木下海龍

眠りつけなかった朝の目覚めカーテンの隙間から祈りのような光
札幌 西沢賢造

「二葉館」女優貞奴になりきり螺旋階段下りてみる 老女の寄り道

愛知 川瀬すみ子

朝の熱っあつのコーヒーふうふうと 今日の命の活力
諏訪 百瀬町子

一字抜けても変わってしまう内容 短歌のこわさと難しさ
岡谷 佐藤靜枝

「宅老所かけはし」でぼた餅を作る十名がビニール手袋をして

飯田 中田多勢子

四季折々 高島易断編集の暦本めくる 半信半疑でも人生ガイド
大阪 與島利彦

私たちは地球という巨大な岩石の上で暮らす
青谷 木村草弥

灯篭に灯ともすは故郷(くに)の習いにて夜の墓地にて祖先と話す

神戸 粟島遥

人生は照る日曇る日降る日あり よろこびときめき葉月を迎える

京都 岸本和子

この人は今何を考えていますか 考えても人の役に立つのだろうか
千住 中村千

一瞬の輝きがみんなを魅了 目を凝らして息を止めて見る
米子 角田次代

夏空に浮かんだ雲がとけ出しそうな暑さ 飛ぶ鳥も紅に染まる夕刻
辰野 里中沙衣

メキシコ産の南瓜にエイと刃を立てる台所はゴッホの黄(きい)に染まる
岡谷 土橋妙子

目を覚ます 主の祈りから朝がはじまる神様の愛につつまれて
諏訪 上條富子

別れ別れになった友を思いつづった「群青」の歌思い込めて歌う
坂城 宮原志津子

暑さに弱くなったのか温度計を見るのを避けてやりすごす
諏訪 浅野紀子

伯父と叔母をそれぞれ見舞う 歩けなくなった二人を見て運動に励む父
諏訪 宮坂夏枝

子や孫の手をつないだ宵祭りは遠い夢 祭りばやしを聞く

下諏訪 藤森静代

風を受け止めネジバナ凛と立つ赤を誇示しながらも密やかに
木曽 古田鏡三

死者も生者も満面の笑みであれ 初盆の日の白い道
富田林 木村安夜子

あかるい空から雨が落ちる 軽く流してはならぬ六月二十三日
岡谷 唯々野とみよ

別になんだっていいやと思ったら楽になった御嶽海も勝った
箕輪 市川光男

汗ズタズタの野良着脱ぎ あおぐ夕陽働ける幸せ
福知山 東山えい子

少ないと物足りなく多すぎると大変 今年も部活漬けの夏だ
松本 下沢統馬

悲しみよ身を垂直にして流れゆけ 黒いコートの雨粒払う
一関 貝沼正子

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素足(未来山脈第363号より抜粋)

灯籠の苔を食べて生きて行けるか 雨が来る
下諏訪 中西まさこ

眞白だ垣根を越えて百合の花 ゆーらりゆらゆら我家を覗く
小浜 川嶋和雄

漱石をあばき出してる集合サロン つきる事はない文豪研究
諏訪 伊藤泰夫

隣に住む娘一家のリフォーム 仮住まいになる我が家を叉片付け
諏訪 宮坂夏枝

令和元年 愚直な人間の初句『国旗より高く泳ぎし鯉のぼり』
大阪 加藤邦昭

料理を持ち寄り語る七時間 口も手も脳も留まることなし
米子 角田次代

断崖の薄は風に吹かれ酩酊して認知症の患者のごとし
埼玉 清水哲

雨に打たれた花々 新緑の緑に囲まれ鮮やかに咲く
諏訪 上條富子

父の日の風に飛ばされ転がる小鳥の巣 玄関先に捨てがたく
岡谷 金森綾子

麦秋田と早苗田織りなす安曇野の風景にしばし癒され朝の病院へ
岡谷 三澤隆子

降り過ぎなければ救いの五月雨見渡す限りのさ緑に心をゆだねる
岡谷 柴宮みさ子

草をかき分け真っ先に取るカタバミ 実家も嫁ぎ先も同じ片喰の家紋
岡谷 横内静子

「パパがいっしょに行くの」児の笑顔がかがやく父兄参観の朝
岡谷 片倉嘉子

熱い熱い貝が殻を開く それをいただく生きぬくために昨夕今朝と
東京 髙橋輝美

力也君 いながわけにおうまれになられにばんめにうまれうなんに
鹿沼 田村右品

優雅に舞うちょうのしたではキャベツの葉がいたいたしいレース模様
米子 稲田寿子

本当に大切なのは相手の腹の内よりも自分の胸の内
仙台 狩野和紀

夕日が雪の八ヶ岳、蓼科と雲を染めてまっ赤に私を包む
茅野 平澤元子

梅雨含む川ばたに さわやかな風 光で話すホタルたち
岡谷 伊藤久恵

新田川の浅瀬の石の上どっちが先に恋したのかカラスと白鷺
東京 鷹倉健

摘みたての水芹を頂く お浸しに玉子とじにと 遠い日のせせらぎ思いつつ
岡谷 堀内昭子

知っています 大人が「今の子」を見る目を「元号予想はタピオカ元年」
北海道 吉田匡希

部活で流した爽やかな汗反発したって何も変わらない現実
伊那 藤本光男

炎天に水やるひとのありがたさみちばたに咲く白百合の花
神戸 粟島遥

体ふわふわ 散りつもった白藤をサクサク踏む
岡谷 唯々野とみよ

僕の高校のシンボルは蜻蛉 トンボは前にしか進まない自分もそうありたい
松本 下沢統馬

相手の見えぬ敵にむかい苛立ち白うさぎもほろほろ
下諏訪 光本恵子

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太陽はいま(未来山脈第362号より抜粋)

どんな苦境にも生き切れる人に育てると夫の方針

福知山 東山えい子

雫に言葉を秘めるようにして連なっている枝が光る

札幌 西沢賢造

デイサービス茹で卵の殻剥く媼 昨日からとぼやいている

諏訪 河西巳恵子

醸造酒のワインと日本酒に添えられた料理 イベントに夫と参加

米子 角田次代

未来が見えない人 過去を引きずる人 恐るべき格差

神戸 粟島遥

住宅前のきれいな花壇「お花は盗らないでね」の看板が泣いている

大阪 山﨑輝男

この世は夢よ幻よ そう割りきれぬから辛くもなる

京都 岸本和子

何の兆しかゆたぁりと虹の帯をたなびかせて環水平アーク

岡谷 柴宮みさ子

天竜舟下りの急流 反り返って舵を切る若き船頭のパフォーマンス

岡谷 横内静子

梅花うつぎ元号代われど垂れるほどに白い花 庭の通路はとおせんぼ

岡谷 三澤隆子

令和をどう生きるかと考えるな 内なる物との戦いが続く

岡谷 武田幸子

晴れ渡る空が早苗田に映りいいことがありそうな明日を思う

岡谷 片倉嘉子

選挙戦たけなわ 舞う桜の花びらが蜘蛛の網一面を飾る

岡谷 金森綾子

新元号「令和」新しい時代の始まりである 輝きにも似て

鳥取 小田みく

世界を考える時は地図ではなく地球儀 クルクルクルと回す

大阪 加藤邦昭

牡丹あでやかアヤメと芍薬楚々としてつつじとさつき庭いっぱい

諏訪 宮坂きみゑ

花びらや蝶や少女が舞い上がる渓谷曲線を吹き抜ける風

愛知 早良龍平

五月の里山歩きはわらび採りをしてから大山をトレッキングする

米子 安田和子

組体操する次女の真剣な表情を見失わないよう必死に目で追う

諏訪 浅野紀子

温い布団にくるまって木々の葉っぱを叩く雨音を聞くのが好きです

坂城 宮原志津子

風景とは自然が創り出した見事な「造形」である

青谷 木村草弥

令和に入り益々遠くなった昭和のあれやこれや夢の中

諏訪 百瀬町子

朝刊にカラーで写る金魚たち 暑い小浜も涼しい気もする

小浜 川嶋和雄

お姫さま嫌嫌のんでる薬のように大腸カメラの下剤のむ

札幌 石井としえ

眩しい新緑の弓道場を取り巻く高校生 若さと情熱キラキラして

諏訪 大野良恵

梅雨の晴間はとうとい 心が光に寄りそう

諏訪 宮坂夏枝

スーパーの代わりとなった道の駅 近隣町会には配達便も

青森 木村美映

人を寄せ付けない岸壁の海岸起伏の多い深い森父島の自然遺産納得

岡谷 武井美紀子

大勢の学生が乗っている何時もは一両に数人 乗って残そう飯田線

飯田 中田多勢子

何とかならない事に悩んでも仕方ない前向き前向き感謝感謝

箕輪 市川光男

アリガトウと伝えたい人がいる 真水を吸いあげ謳歌する若葉

冨田林 木村安夜子

詳細

いのち(未来山脈第361号より抜粋)

しっかり抱いて寝た湯たんぽだんだん冷えて目覚める

諏訪 百瀬町子

取り敢えずすももの花と詠んでおくほんとはプラム思い出せなくて

札幌 石井としえ

背中に重い父親の古いオーバー盃を口にする仕草が似ているらしい

藤井寺 近山紘

油の海から上がったばかりのかりんとうが蝶に変身 わたしの手に羽を広げる

千曲 中村征子

山桜の花盛りを見ている二人とも 老老盛り 今惚け盛り

豊丘 毛涯潤

鶯の山はけずられ削られビル風の物干し竿で鳴いている

横浜 上平正一

大伴旅人と憶良も暮らした筑紫から時を越えて令和が鳴り響き

岡谷 佐藤静枝

方々の知恵をしぼった元号の誕生秘話は令和に決まる

諏訪 伊藤泰夫

書にした歌詞のイメージを和傘や段ボールや枯葉で膨らませて

米子 角田次代

GWの東京は人の波に乗り一泊二日のスケジュール乗りこなす

諏訪 浅野紀子

腰痛と練習量 母への負担を心の内に 初めて泣いた孫の駿

原 桜井貴美代

空っぽになった娘の部屋 三年間の経験を軽トラに積む

原 泉ののか

芽吹きの季節 プチプチと出た小さな緑が光り輝いてたちまち宝石の森に

原 森樹ひかる

まだかなあ毎日見る桜の蕾 色付き膨らみ期待増す

原 太田則子

春を信じる事が出来ない 冬に枯葉を出す草木のように

つくば 辻俱歓

ボロボロになるまで読んでいるこの詩集 活字の貌も色も匂いも

下諏訪 中西まさこ

通称男の上着を背広と言うが語源はイギリスのサビルローとか

諏訪 宮坂きみゑ

物忘れ進みし我は自信無くして愚痴が出てしまうよ

下諏訪 小島啓一

繁る葉にかくれて赤き椿きのうきょう春はどっと寄せてくる

岡谷 武井美紀子

人は皆重い荷物を背負っている さだまさし流の話術でいやされる

米子 稲田寿子

青山浩吉様 ごきうだいみなごりっぱごけつこんこうふくくらされ

鹿沼 田村右品

公園の傍を駆ければ虫たちと顔面で逢う季節になった

愛知 早良龍平

捨てなければ踏みだせなかった幾つか 君の歩調で花びらのなか

諏訪 松沢葉子

藤棚の下に机椅子を運び込み利用者の手をとって一人ずつ移動する

飯田 中田多勢子

有明の開門を迫るアサリ鉄のゲートは政治力で閉ざす貝は泡を吹く

埼玉 清水哲

こまぎれにしか眠れなく蛙の目借時も度々でボーッと生きる一人身

米子 大塚典子

輪唱を思わせるように散るさくらの花びら風のおもむくままに

岡谷 土橋妙子

そよ風に揺られて飛んだ紋白蝶 枯葉のように一気に消えた

小浜 川嶋和雄

テレビ越しに発表された令和というまだ他人のような元号

諏訪 藤森あゆ美

詳細

素足(未来山脈第360号より抜粋)

紫木蓮青空バックに膨らんであした咲きそな幸せの予感
北九州 大内美智子

はいその話は二度目と娘 おかげで老化少しコントロール
諏訪 関アツ子

芝居はもう無理 人が深く描かれた作品の読み語りに 心震わす
下諏訪町 須賀まさ子

深と静まりかえった高遠湖雪をまとった仙丈ケ岳が私を見る
箕輪 市川光男

悔やむならもうやってはいけないと子供だって知っていること
諏訪 藤森あゆ美

メールがただのメッセージだけとは 心を送りたいのに
鳥取 小田みく

催花雨のこの現象を待つサクラコートもとれた春の足音
諏訪 伊藤泰夫

元号は令和 世界中が穏やかでなければ一人ひとりの花は咲かない
坂城 宮原志津子

木がたおれあれたままの山 人のけはいに鹿たかく鳴く
奈良 木下忠彦

一人花見 花びら一枚に来し方を想う 花道を去るのはまもなくか
東京 上村茗

原始 地上は森に覆われ 海には生命の胎動があった
青谷 木村草弥

近道では見つけられなかった宝物はこの身にこそ宿る
仙台 狩野和紀

一夜にして開花のラッパ水仙 道ゆく人にやさしく頭下げている
下諏訪町 藤森静代

小さい草花が咲き出す春を告げる梅もふくらみ柳も芽ぶき桜を待つ
諏訪 宮坂きみゑ

優柔不断が招いたストレス 春の嵐が内に外に吹き荒れる
米子 角田次代

観梅コースあちこちの花木「与謝野晶子」の名歌栞に老若にぎわう
大阪 與島利彦

平成三十一年四月一日新元号で沸き立つ日本列島「令和」で決まる

東京 鷹倉健

仮住まいでは気にならなかった汚れ 新築の自宅は掃除が気になる
流山 佐倉玲奈

休暇から目覚め ぞくぞくと葉をもたげたチューリップ今朝はなごり雪
岡谷 堀内昭子

枯葉の下から蕗の薹が顔を出す ふきみそでいただく春の恵み
岡谷 林朝子

入試日の母の手作り弁当 甘く苦く心にじわり特別の味
岡谷 伊藤久恵

紅葉が鮮やかに山の里を彩り囲む ひかりに映えてひらり舞う
茅野 平澤元子

人の事ばかり干渉している者は己がなにもみえていない
東京 田草川利晃

木は春が来る事を知って枝を伸ばす 春が来るのか人は知らない
つくば 辻俱歓

よく晴れた空を見ながら 昼食の大学芋がおいしい
鳥取 大谷陽子

少しずつでも成長したい精神と肉体と スパイクの力も
松本 下沢統馬
金を稼ぐ苦労が身に染みて でも楽しい初アルバイト
横浜 大野みのり

海土町からバスケットボール遠征試合の孫たち 俊敏な動きにただ涙
米子 笹鹿啓子

朋の愛 師の深き愛 両親の愛はレンズの焦点に光を集めてわが人生に感謝
埼玉 横田哲治

新短歌一筋が私の人生百迄に一首で良いから良い歌を詠みたい
太田原 鈴木和雄

富士の山がじゃぶじゃぶ歩いて湖まで来た 大きく見える朝
下諏訪町 光本恵子

 

 

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