会員の作品

「未来山脈」の会員の作品です。

素足(未来山脈2022年8月号より抜粋)

連休できた息子が電話パソコン 電気関係の修理完了 当分安全
大田原 鈴木和雄

前庭にライラック淡い紫の花 いとおしく雨に濡れて咲く
岡谷 花岡カヲル

裏側の美しさにも目を見張る 磨き抜かれた母の刺繍
諏訪 大野良恵

虚空蔵山のぼりて観れば濃紺の伊豆半島は初夏の陽に霞む
静岡 鈴木那智

補助金を頼りに飲食店 汗だくの週末はうれしいひめい
鳥取 小田みく

日差しなんか恐くないでも流行なんで俺も日傘
埼玉 木村浩

あっちの水もこっちの水も甘くも辛くもなし減塩対策
仙台 狩野和紀

トンネルが出来て近くなったフラワーパーク 一時間弱で到着だ
牛久 南村かおり

島国日本 最高峰「富士山」標高約三千八百米 発登山は三十歳代
大阪 與島利彦

幸せは食べて寝ること女抱く男女相悦の今夢の中
兵庫 明石の人

しばらくは豆餅 おはぎ 苺ジャム作りに夢中で時が過ぎてゆく
岡谷 金森綾子

入学記念のラベンダーを持ち帰る児は息をはずませ頬を染める
岡谷 片倉嘉子

諏訪の海がこんなにも凪いでいる 桜花見上げる赤砂崎
岡谷 横内静子

枯庭に春を呼び込む春黄金花(サンシュユ) 始まる花リレーに心ゆるむ
岡谷 三澤隆子

彼岸より十九日ラナンキュラスの紅い花びらすべてを手の平に
岡谷 柴宮みさ子

少しずつ戻り始めた日常 夏休みはどこへ行こうか
流山 佐倉玲奈

「百超えたらテレビが来るよ」と言うと母笑う
神戸 粟島遥

施設に戻る直前に「ありがとよ…忘れない」という父の奥底
諏訪 藤森あゆ美

今日は子供の誕生日 やせ衰えた姿見せたくない
京都 岸本和子

仙覚の深みの中にユーモラス君はどう読むマル(〇)・サンカク(△)・シカク(□)
諏訪 伊藤泰夫

交通事故以来身体が自由に動かない 這いずりながら仕事をする
さいたま 赤坂友

玉ネギの出荷が始まり実家の手伝いに大中かわいらしい玉太り
米子 稲田寿子

生きたいと死にたくないは近そうで遠いと思う 気力がたりない
北海道 吉田匡希

たかだか知れている生き方を生きて透き通る青い空を見る
札幌 西沢賢造

虹の一番内側の色の花菖蒲緑風の中に咲く 明方のマジックアワー
松本 金井宏素

さわやかな塩嶺の丘飛び交う鳥のその名は知らず 木陰に寝転ぶ
下諏訪 光本恵子

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太陽はいま(未来山脈2022年7月号より抜粋)

春の嵐に門灯が点滅する 買い物メモの野暮用ひとつ増えて
松山 三好春冥

雨粒てとてとてとてと降って出たばかりの山菜の芽を潤している
京都 毛利さち子

わが生家 店先から蔵へトロッコ走る 和林檎の大木の下きっと脱輪
諏訪 河西巳恵子

痛みなく済みしワクチン疑えば夜にきっちり熱上げてくる
一関 貝沼正子

小学校では日華事変中学は大東亜戦争大学一年で終戦戦争の青春だ
大田原 鈴木和雄

五月の空に薄目を開ける木々 指さす向こうに“あべのハルカス”
富田林 木村安夜子

お久しぶりね 笑顔の再会二年四ヶ月ぶり息子家族がやってきた
坂城 宮原志津子

日々の暮らしは変わらず同じリズムで始まる妻と二人暮らしの朝
藤井寺 近山紘

八十歳 おめでとうはいらないと皆に言うが やはりめでたいのか
東京 上村茗

この凹みは外堀のなごりあそこの丘には二重櫓跡偲んで歩く楽しさ
箕輪 市川光男

小中高癌教育をとり入れる研修重ね命と向き合う
諏訪 伊藤泰夫

枕元の明かりで今夜も味わう極上ストレッチヨガの世界
諏訪 大野良恵

街路樹花水木赤いドレスの踊り子が天から舞いおりて咲く
飯田 中田多勢子

母校の校庭を見る八十路だよ さくら咲きます俺満開の中へ
小浜 川嶋和雄

地球一回りの食品売場 戦いなんてしてられない
千曲 中村征子

微力ながら復興に携わって七年体力に限界を感じ職を辞することに
東京 赤穂正広

やまと尼寺精進日記に出合ったのは二〇一七年秋 以来大ファンに
福山 杉原真理子

あなたの生まれた日の朝は窓にやわらかい小春日の光り
岡谷 征矢雅子

どんな寒い国から来るんだ水鳥たちここも一人じゃ寒い
埼玉 木村浩

諏訪に移り住んで三年 すっかり諏訪人になりきっている
諏訪 増田ときえ

羽毛布団だからといって軽くはないのだ私には健常の言葉喉奥に溜まる
大阪 高木邑子

長尾川枯川なるが梅雨なれば水の溢れて蘇り来る
静岡 鈴木那智

入院で伸ばしてしまった発行を悔いることなく重ねる推敲
青森 木村美映

ほてりたる互身を永遠に抱きたり乳がんの身を忘れて一夜
さいたま 清水哲

胸が少し軽くなった 肺の斬新な血止めの手術で
奈良 木下忠彦

今年の花は美しい白が愛おしい黙ってゆれて呼んでいる
木曽 古田鏡三

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いのち(未来山脈2022年6月号より抜粋)

四月一日今日から十八歳は大人だよ 呼んでみる 孫住む町花曇り
愛知 川瀬すみ子

知らぬ間に蜘蛛の巣なんてできるもの冷蔵庫の裏わが心にも
一関 貝沼正子

ステイホームで久しぶりに会った友 元気な姿に元気をもらう
米子 角田次代

独裁者に一切を委ねきるロシアの民には責任はないのか
奈良 木下忠彦

森の木々春の日差しにあくびして百年の時間何もなかったように
富田林 木村安夜子

突然の眩に座りこむ ふかふか鋤きたての畑に
福知山 東山えい子

結露する窓をなぞりつつ通話するこのシチュエーションで恋人ではない
下諏訪 笠原真由美

傘寿祝 紫ずきんちゃんちゃんこ写真にうつり笑ってるわらってる
坂城 宮原志津子

三月十六日の福島県沖の地震3・11を彷彿させる程の物凄い揺れ
東京 赤穂正広

友がミモザの花が咲いたと大きな枝を沢山持ってきてくれた
米子 安田和子

届かない 何度も跳ねて諦めた女狐は言う「どうせ酸っぱいブドウよ」
下諏訪 中西まさこ

冬に咲く水仙風に煽られて 越前海岸大雪続く
小浜 川嶋和雄

暇な日がつづき長い夜が始まる 毎月日曜日はつらい
鳥取 小田みく

古い花びらが恥じらいながら夜更けの運河にながされてゆく
横浜 上平正一

新築の社房をも手玉に取る震度6強の思惑の果てしなさ三月十六日
仙台 狩野和紀

ゆっくりおうち時間を堪能 外の仕事はへらせへらせ
諏訪 宮坂夏枝

良き夫 良き父だったと言われ 報われた思い 又涙が出る
東京 上村茗

夢の数数え思い出せなくなった晴天あの日の扉に手を伸ばせ
岡谷 今井菜々美

予防接種 痩せた肩 衿ぐりから出せば「ま 可愛い」と看護師さん
諏訪 河西巳恵子

真ん中が深紅色の赤芽柳ぽあぽあ円らな瞳の幼な児弾んでる
岡谷 柴宮みさ子

くすむ花びら除けば鮮やかな代替わり 咲き誇る深紅のシクラメン
岡谷 金森綾子

折り目は破れ角は擦り切れ黄ばんでも大切にする全音の譜面
岡谷 片倉嘉子

凍土からスノードロップの芽 春一番を私に告げる
岡谷 横内静子

冬越し野菜は実家の丹精 筑前煮に今日人参の色ひときわ引き立つ
岡谷 三澤隆子

いよいよ始まる新生活 新一年生の息子と初出勤の私
流山 佐倉玲奈

山を降りた人降りなかった人の差は五分 運命は五分でも変わる
京都 毛利さち子

 

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素足(未来山脈2022年5月号より抜粋)

読み疲れて部屋専用の露天風呂 ヒノキの湯槽に入れば雪 ちらちらと
下諏訪 中西まさこ

八時です朝のご飯はヨーグルト リンゴ半分薬はおやつだ
小浜 川嶋和雄

102歳で旅立つ伯母の告別式 いやというほど簡略で静か
京都 毛利さち子

夜空いっぱいの星のシンフォニー タクトのように身体をゆらす
岡谷 征矢雅子

米洗う窓辺の鼻先 すいせんのののかに香る春近し
鳥取 小田みく

四分の一世紀を数々の勉強会に参加する人生 悔ゆる事はない余生
岡谷 土橋妙子

青い鳥 ルリキビタキの声忙し春の野山を歩いて行けば
静岡 鈴木那智

二月七日は亡父の命日 三姉妹で猫柳金仙花を携えて墓参りに
飯田 中田多勢子

さみしさを背負った風が指先を掠めて通りすぎてゆく
横浜 上平正一

ウクライナの詩人シェフチェンコに我は尊敬に熱し我の尊敬は熱し
さいたま 清水哲

日向の業績より心の奥底に潜む温情を宝とする
仙台 狩野和紀

コロナオミクロン株が保育園で猛威をふるう 自粛中の孫たち
諏訪 宮坂夏枝

ひよこ豆のドライカレーを作りつつカーリング一試合を見終わる
下諏訪 笠原真由美

蕾のほころびに連れ歪んだわが身も解れだす終わりの見えぬコロナ禍歩む
境港 永井悦子

窓越しの椅子に座り粥すする 返り咲きのシクラメンはメラメラ
下諏訪 光本恵子

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太陽はいま(未来山脈2022年4月号より抜粋).txt

冬衣を纏う八ヶ岳の峰々を桜色に染める冬至の夕日
岡谷 三枝弓子

あんなにもあんなにもこだわってたのに 共通テスト古文漢文むずかし
京都 岸本和子

既婚者になって間もなく私の名は蝕まれそして砂漠の砂
諏訪 藤森あゆ美

揺るぎない一日の心の澱を吐き捨て思いを積み重ねる
札幌 西沢賢造

戸を叩く声!! 何?と外へ出ると山小屋から炎が
福知山 東山えい子

いつまでと分からぬものに戦きて大寒の日本赤くふるえる
一関 貝沼正子

寒入りし御神渡り見守る宮司らのたゆまぬ努力を讃えたい
下諏訪 藤森静代

寂聴尼が呼ぶように慎太郎が逝くチャーミングな笑みに善悪を精算
群馬 剣持政幸

毅然と咲く水仙にオミクロン株位でうろたえるなと諭される
北九州 大内美智子

大股で急ぎ足がいつの間にか小股でゆっくり気合を入れる
米子 角田次代

風の皴しっそり揺れる朝 小鳥が三羽 窓の向こう
富田林 木村安夜子

TV“サンドのお風呂…”ゲストの歌舞伎役者にチャンネル合わす
米子 大塚典子

感染四億死者六百万のコロナ世界大戦終戦はいつ
大阪 山崎輝男

陽射しが我が家の床暖房 コロナ禍二度目の新しい年
諏訪 増田ときえ

夫の友の賀状に断捨離を始めたとあり私達も始めることにする
米子 安田和子

イチゴのキャンディー口移しする都会の吐息に身をよじらせて
岡谷 今井菜々美

三十年剪定作業で着てきたジャンパーは穴だらけ でも今年も着た
箕輪 市川光男

リースを外して寒々とした壁に丸い日焼けの跡が残る
諏訪 大野良恵

節分が近くなれば恵方巻 新聞チラシは食欲そそる
小浜 川嶋和雄

お~ぉ寒いさぶ~い 大寒小寒この冬は大入道がやって来た
千曲 中村征子

妻の入院で日常が崩れるひんやりとした夜のいつもと違う空間
藤井寺 近山紘

実家から届く可愛い一人前の御節料理 大晦日 朝杯はリキュール
諏訪 河西巳恵子

初詣くだる階段うしろから我につきくるわれの足音
横浜 川平正一

コロナ終息どころかますます猛威を奮ってついに三年目に突入
東京 赤穂正広

歌に出せない苦しみ 歌にかけない悲しみもある ファジーに書くのは否か
東京 上村茗

寒風に舞い上がる枯葉たち着地を互いにためらうように風と遊ぶ
岡谷 土橋妙子

二十キロ肥料なんとか積んだ 三十キロの米車に乗せてさる娘
木曽 吉田鏡三

 

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いのち(未来山脈2022年3月号より抜粋)

部首に総画に音訓索引 私は何を探しているのか
松山 三好春冥

魂が漆黒の闇に彷徨うから 加茂川を下ろう南へ行こう
京都 岸本和子

風に吹き寄せられた落ち葉 従来の動きに右往左往しては鎮もる
京都 毛利さち子

老いてこそ一層鍛えたい からだとこころ 人生崩れぬように
奈良 木下忠彦

体調は大丈夫かとシニア大の友 ドリンクの瓶の確かな重さ
岡谷 三枝弓子

変らない新年 変ったのは食べるのに欲がなく年を感じる始まり
東京 上村茗

初孫娘 寅年生まれ 昨春東京渋谷のIT企業就職コロナ元気
大阪 與島利彦

夜空に輝く星 幾千億個もの原子炉だと思うと凄まじい
岡谷 征矢雅子

ルービックキューブのように移動させ冷蔵庫から保存食とり出す
米子 大塚典子

急な病で妻が入院回復の顔も見られぬコロナ禍の面会謝絶
藤井寺 近山紘

大きな顔して夕食後に居座る時間という奴 脇の本を縦にもしない
千曲 中村征子

十月下旬に種を蒔いた菜の花が年末に咲き始めた
福山 杉原真理子

宇宙滞在を果たした前沢さんいいのよ自分で稼いだお金ですもの
大阪 高木邑子

待っていた双子流星群 瞬きを耐え夜空に食い入る(R3・12・14)
原 太田則子

年賀状今年で仕舞いと旧友から一人またひとり遠ざかって行く
原 桜井喜美代

寒風にゆらいでいる枯れた茎 地にロゼット広げて光合成
原 泉ののか

孫のボクシングの試合のたびに諏訪大社に祈願する 怪我しないよう
原 森樹ひかる

医師から厳命されている日付変更前の就寝 今日もまた破ってしまう
大阪 加藤邦昭

ピカマチスの力活かしてオミクロン株の感染拡大にピリオドを打たん
さいたま 清水哲

伊豆房総の海に憧れを抱きながら 寒中の倦怠を過ごす
松本 金井宏素

コロナ禍のなか優雅に踊るドガの名画の「踊子」の私のマスク
岡谷 土橋妙子

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素足(未来山脈2022年2月号より抜粋)

長男は最新の医学をと東京で開業させた俺のような田舎医者ではなく
大田原 鈴木和雄

待ち遠しかった冬至が過ぎて日が長くなる 単位は古来より米一粒
松本 金井宏素

冬陽にラベンダーの銀葉が輝く 松の葉をたくさん食べて眠るムーミンたち
下諏訪 笠原真由美

水野昌雄先生にこれから君たちの時代だと言われたのは二十一年前
箕輪 市川光男

夕暮れに飲み込まれるまでの葉っぱたち 紅葉の朱空にひろがる
富田林 木村安夜子

かけられない電話は貯まるばかり 時間の渦に消える無念の情
千曲 中村征子

どんな悩みももてなしてくれそうなハンモックがしっとり垂れる部屋
諏訪 大野良恵

秋晴れのキャンパスに浮かびくる「紅葉」は小学唱歌
諏訪 増田ときえ

まさかの娘の入院 朝保健センターに電話し夕方現実となった
諏訪 宮坂夏枝

規則正しい生活の中で待ったをかけるもう一人の自分
仙台 狩野和紀

二年ぶりのピアノの発表会 園年長の息子にとっては初舞台
流山 佐倉玲奈

八ヶ岳の美しい稜線 の山は日増しに紅葉し秋を装う
岡谷 花岡カヲル

近所の犬のモコ通るたびうれしくてキャンキャン吠える
諏訪 宮坂きみゑ

たっぷりの大地 日光 水 空気 そして愛情 新鮮野菜
神奈川 別府直之

初めての流れ星 願い事まにあわずあわてて手を合わす
鳥取 小田みく

ハウルの骸から現れたムクロは姿を変えて楓となり焔となって蘇える
下諏訪 岩下善啓

九十六歳の恩師を囲む食事会 穏やかな面に長寿の秘訣みる
大阪 山﨑輝男

植えた朝がお生えた朝がお軒下で今日も空を見ている
木曽 古田鏡三

後期高齢者にと勇んでみるが先が見えないコロナの行く末
米子 永井悦子

睦月に冴えわたる中天にブルーに包まれた生絹の月は一筆の描写
岡谷 土橋妙子

買い物に出かける時間に重くなり地平線へと溜まる薄雲
愛知 早良龍平

侘助や星降る庭に白々と可愛いチャペルを愛しみて立つ
東京 木下海龍

新月の見えない光 夜想曲(ノクターン)を人類有史全ての死者へ
北海道 吉田匡希

白い雪に注ぐ日の光と青く澄みわたる空 冠雪大山もあざやか
米子 笹鹿啓子

カサカサと音立て歩く枯れ葉道 重なり重なり重なっている
諏訪 藤森あゆ美

冴えわたる星が湖に降ってきそうな夜 宇宙の一角に吐息する私
下諏訪 光本恵子

 

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太陽はいま(未来山脈 2022年1月号より抜粋)

氾濫する疑問符に応える感嘆符は幾つありますか やっと秋です
松山 三好春冥

荒物屋の店頭の鎌におう日よ何事もなく暮れるこの街
一関 貝沼正子

斎場に供える花を胸に嫁は泣きながら前を歩く
下諏訪 笠原真由美

バドミントン奥原のポスターに向かってガンバレ 今度は金メダル
箕輪 市川光男

コンバインの埋もれた跡を均す 備中鍬スコップこの老体
木曽 古田鏡三

枕元の明かりに浮かぶ文字たちは表情豊かに語り始める
諏訪 大野良恵

錦秋の十月三十日 慈母の命日十回巡る 享年百三歳の人生行路
大阪 與島利彦

青空の下 自転車をこぐ 地元で棟方志功展 久しぶりの幸せよ
東京 上村茗

八十代のスタートライン 願うことは世界中が平和であるようにと
坂城 宮原志津子

思い思いの表情で信号を渡る解除後の赤提灯を求めて動く人人人
藤井寺 近山紘

りんとした朝の空気にふれたくて卵を買いに走るコンビニ
諏訪 宮坂夏枝

一点の黒い烏に朱点の柿の加筆たくさん我一人で見る
埼玉 木村浩

朝もやの中から浮きでる色 文字の刻まれゆく無・タブララサ
岡谷 白鳥真砂子

暮れ行く秋の山合に爽風に煽られながら飛び交う赤トンボ
東京 赤穂正広

小さいムラサキシキブは実を付けて 紅葉待つかなそれとも雪を
小浜 川嶋和雄

善光寺が草津温泉より下に見られることはないか紅葉が迫る
群馬 剣持政幸

通り過ぎていたキウイフルーツの葉に触れる 大きい大きい
千曲 中村征子

里山で竜胆を手折ってみたいそれだけの夢も無謀と嗤うか車イス
大阪 高木邑子

生理前の女の子みたいなこと言うんだねってアナタ 華は明日咲くはず
岡谷 今井菜々美

しばらく静かだった氏子たち七年目となれば血がさわぐ御柱祭
諏訪 宮坂きみゑ

県内歌壇の役職引退で降ってきたカルチャー講師というお仕事
青森 木村美映

数年に一度の皆既月食 必ず思い出すのは娘を生んだ日のこと
流山 佐倉玲奈

母親・花子は飛び越えられぬ存在 私は小さな魂を精一杯膨らませて生きてきた
福岡 吉田桂子

雨音で寝入り雨音で目覚める どこかに虹が出るのだろう
札幌 西沢賢造

殺したいくらいの恋がしたいねえ身に余るほどの色滾らせて
北海道 吉田匡希

人と人 物理的距離 こころの距離 コロナ禍を機に見つめ直してみる
神奈川 別府直之

連山は冠雪居間にハイビスカスが咲いた 葉も淡い紅葉に
松本 金井宏素

 

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素足(未来山脈 2021年12月号より抜粋)

どうだどうだと迫り来る連峰 八ヶ岳ブルーの空を背負って
岡谷 三枝弓子

人気のない駐車場に秋茜の群れが飛ぶ東の方向に応仁天皇陵の森
藤井寺 近山紘

情け容赦なく降り続く大雨 災害級とテレビが叫ぶ
諏訪 大野良恵

亡命を望む選手と知りもせず試合を観ていたその前日の
下諏訪 笠原真由美

九月の風に鳴く蝉は命を削り声をからして叫んでいる
横浜 上平正一

真っ直ぐに歩もうにも曲がりくねった臍が待ったをかける
仙台 狩野和紀

変わりゆく秋雲に思い巡らし生かされたいちにちに喜びが
下諏訪 藤森静代

未来への夢ある人は不動心かつ希望に満ちて心は広い
明石 池たかし

もうたくさんこれ以上いらない 時空と同一歩調の新しきもの
千曲 中村征子

「サンタなんていないんだよ」魔女は私に真実を教えた
山梨 岩下善啓

ひとりぼっちに耐えて一日一日を生きる 苦しみの中耐えている
つくば 辻倶歓

空を翔ぶ夢をまた見てしまったらおいでそのまま空を歩いて
東京 金澤和剛

水饅頭も美味だけれど水羊羹がいいね 夏を頂いた気がするよ
伊那 金丸恵美子

敬老を祝ってくれる六歳の孫胡蝶庵で抹茶のシュークリーム
諏訪 伊藤泰夫

閉ざしたシャッター ガタガタと台風と共にソッと秋が忍びよる
福岡 吉田桂子

街がネオンの雲海に滲む 近場でオーロラ 魚沼丘陵
群馬 堀口茂樹

ナルキソス水面に恋をしたように汝 汝の文体を愛せよ
北海道 吉田匡希

孫がくれた黒い小さい粒 昨年学校で咲かせた花の種だ
米子 永井悦子

九十四歳の母の手を取り墓まいり あぜのむこうに曼殊沙華
鳥取 小田みく

マニキュアの乾く三分を惜しみ五指を広げて盆器を下げる
岡谷 土橋妙子

空腹で倒れそうだよ枯れ葉たちがみんなおいしいちょうちょに見える
愛知 早良龍平

オーナーチェンジをしようかと妻が話しかける「?」私には意味不明
大阪 加藤邦昭

八つ縄文織は自由に柄をデザインできる 諏訪プレミアム
葉山 別府直之

重篤の友を見舞いて帰る道 蝉の声聞き自分に戻る
東京 木下海龍

濡れた烏が柿を食べに来た黒髪のたとえが懐かしい
埼玉 木村浩

良い季節 でも私はうつ状態 あらぬ疑いをかけられ心がなえている
東京 上村茗

ナナカマドのオレンジは赤に変わりいよいよ寒くなる
下諏訪 光本恵子

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いのち(未来山脈 2021年11月号より抜粋)

いのち

炎帝の逆光に信号が見えない かすかに揺れるアドバルーンは赤だ
松山 三好春冥

写真館のあった場所も更地になり子ども時代の風景次次に消える
京都 毛利さち子

さらさらと今朝の空気を吸いながら朝顔のうすむらさき
富田林 木村安夜子

点在する岩の魅力に引かれこの町で黙々と生きることを喜ぼう
群馬 剣持政幸

面会は一切禁止コロナ禍で手術をすると思い決断
諏訪 藤森あゆ美

犠牲にしたすべてを笑顔に閉じ込め華やかに舞う新体操選手
諏訪 大野良恵

わが国の祝祭休日 年間十六日制定 日数の満足度は国民要望次第か
大阪 與島利彦

線状降水帯の渦中に住む令和三年の夏あの恐怖を記録に残さねば
米子 大塚典子

なんとかなると思っている東京五輪 しかし神風は吹かない
箕輪 市川光男

極暑に耐えたすすきの穂先を湖からの秋風がそっと撫でていく
諏訪 増田ときえ

気がつかなかった体の悲鳴 圧迫骨折してきしむ背骨
岡谷 佐藤静枝

自然豊かで住み慣れた我が家は盆正月には子達の別荘になる
下諏訪 小島啓一

フレイル予防体操DVD 健康づくりサロンのルーチンコース
米子 角田次代

伏魔殿を追われた君がゼンマスターに拾われて励んでいる
山梨 岩下善啓

真夏の夕方子供たちの声と蝉の声 音で感じる生きる力
牛久 南村かおり

金メダル目指せどバトン繋がらず 四百リレーの日本男子は
小浜 川嶋和雄

かけつけた隣のインターホンは応答 家だけが雷に狙撃される
千曲 中村征子

コロナ禍で二年が空いたステージはツーマン お客の入りも上々
青森 木村美映

全世界の人々に期待され全てを飲み込んだ君は何も知りたくなかったと叫んだ
岡谷 今井菜々美

七年もの間地中のセミたち 去りゆく夏を惜しむか鳴声の競演
坂城 宮原志津子

幸せになりたい 顕在する幸せも存在する筈
つくば 辻倶歓

百日紅が夏の日差しを受けそよ風にゆれて赤く咲いて居る
諏訪 宮坂きみゑ

近所から一時間後位に月下美人が咲きそうと連絡がくる
米子 安田和子

自立して数年経つ愛息子 休日に度々来ては寝溜めしていく
小平 桐野千夏

終わるはずだった夏休みはちゃんと終わらず 続くはずだった夏は突然終わった
流山 佐倉玲奈

掘って刈りとり尚生きる草 今を捨てさろう明日のために
木曽 古田鏡三

主なき空家こわされのびのび育った草たち刈り取られ土だけになった
東京 上村茗

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