太陽はいま(未来山脈第385号より抜粋)

花冷えの街路を突風が疾る花吹雪が後を追ってゆく
京都 毛利さち子

潔癖が日常となるコロナ禍に人間不信の川が渦巻く
一関 貝沼正子

憑かれたように戦争に向かうドラマ ふと終戦後を思いだす
奈良 木下忠彦

ちょっと疲れたって言っていいかな 仲間は高齢 ひとり直販
福知山 東山えい子

コロナで延び延びにして来た入院・手術 日が決まれば緊急事態宣言
大阪 加藤邦昭

また逢えた歓びに街の灯がうるむ 待ちわびるパンデミック終りの宣言
富田林 木村安夜子

どちらと言えば「不要不急」の手術 後押ししたのは個室です
愛知 川瀬すみ子

むかし 私には「いい人」がいた 私が「いいコ」だったのかな 彼の
下諏訪 中西まさこ

町内も世代交代新築増えて古い家には古い人住む
北九州 大内美智子

畔を塗り田植えの準備 里山は春から夏の模様替え
群馬 剣持政幸

今日も来たアゲハのつがい羽ばたいて撒き水の植木に渡り飛ぶ
大阪 山崎輝男

隣の奥さんも朝からはりついているのにダメだとラインの着信
米子 安田和子

やまゆり園で採火式ってなんの事弔うための場所だったでしょ
横浜 福長英司

山の土運んだ我が家の庭山は 山ゆり芽生え蕗の葉揺れる
小浜 川嶋和雄

妹が短歌を始めた 日々のラインで送られてくるたくさんのうた
諏訪 宮坂夏枝

一時間ごとに伸びるほど成長の早い藤の花をかけはしの窓から見る
飯田 中田多勢子

呼んでも呼んでも 待っても待っても何処にも居ない ハウルは旅に出た
長野 岩下善啓

節句と重なる夫の月命日 花のご馳走と仏壇のお供で和室は凛と
米子 大塚典子

上京してまだ一週間の息子にもう張り切って仕送りする私
諏訪 大野良恵

さぁできた 印刷実行するもガタガタと空回りの音やまず
米子 笹鹿啓子

白鳥が黒鳥と華麗に舞うロイヤルバレー「尼寺にお行きやれ」
大田原 鈴木和雄