いのち(未来山脈第386号より抜粋)

月初めの手帳に記す締切日四月のリズムまた動き出す
一関 貝沼正子

何もかも黒装束に身を包み夜の闇を駆け抜ける謎の集団
群馬 剣持政幸

藍色の八ヶ岳を望む高原 特大の木苺のソフトクリームは今日の幸せ
岡谷 三枝弓子

母の日にサンパチェンスをプレゼント苗木育てる妻の喜び
諏訪 伊藤泰夫

高砂百合は長雨の日々を咲き次いで香り少なき花の矜持
下諏訪 笠原真由美

夢まくら大阪文学校時代 田辺聖子講師の学徒動員体験談 悲涙
大阪 與島俊彦

いつも寝ころがっていた爺が春! ピョンと起き田の準備始めた
福知山 東山えい子

加茂川散歩 来たに行こうか南へ行こうか 今日は南に行く気分
京都 岸本和子

今年も山友からバラが咲いたので観に来てと案内があった
米子 安田和子

歌友たちの短歌から爽やかで意志的な生活ぶり 何をしているのか私
下諏訪 須賀まさ子

生きている意味が分からない 分からずとも良い 生きている
つくば 辻倶歓

春に晒された清々しい朝の風封じられた扉を開く
札幌 西沢賢造

宅老所かけはし レクリエーションは諺かるたを字でなく絵で拾う
飯田 中田多勢子

五月までの連休までに茄子トマト胡瓜の植え付けは一応終わる
岡谷 花岡カヲル

一段上の君に追いつかないエスカレーター
埼玉 木村浩

母の日のお花が全て売り切れ いただけたのは猫の置物
牛久 南村かおり

笠松からの二十年ぶりの便りには溢れんばかりの情愛の波
仙台 狩野和紀

自らの重みに敢えなくぽきり拳大の真っ赤な八重のチューリップ
岡谷 柴宮みさ子

手が入れられず減らしている植物なれどコロナ禍では世話も楽しむ
岡谷 横内静子

耕す畑によみがえる土の温もり仰ぐ空に陽の暖かさ
岡谷 三澤隆子

真白な紫陽花の名はコットンキャンディー 優しく包み込まれる
岡谷 片倉嘉子

桟橋の釣り人並び楽しげな声そこが居場所ですか男の人の
岡谷 金森綾子

腰癒えて新しい靴を買いに行き未来へ一歩踏み出していく
福山 杉原真理子

雨上がり緩やかなカーブを描き群生の葉蘭つややか
米子 笹鹿啓子

バラよ並んで誰まつの逢いに来た二度目のバラ園ここは安曇野
木曽 古田鏡三