信州ゆかりの歌人たち
- 2019年9月2日
- エッセイ
2019年7月20日、日本歌人クラブ(会長・三枝昂之)主催の「第20回現代短歌セミナー松本」が松本市アルピコプラザホテルで開催された。テーマは「信州ゆかりの歌人たち」を現代の歌人5名で語る。会場には東京、千葉、横浜、姫路など遠くから、また、信州の飯田、長野、飯山とあちこちから集まった歌人や観衆170名の人で熱気溢れる会場である。
長野県代表幹事である山村泰彦(松本市)の開会宣言とともに始まった。
- 講演、「歌枕として諏訪湖」と題して、諏訪湖を中心に下諏訪、諏訪出身の島木赤彦、武川忠一を歌人クラブ会長の三枝昂之が語る。
- トークセッション「文語と口語表現について」信州ゆかりの歌人についての歌を出しながらこれからの短観表現として論議の噴出。みな論客ばかり、時間が足りない。
・松本和田の窪田空穂を三枝浩樹が語る。
・戦後信州に疎開した齋藤史を光本恵子が語る。
・長野市生まれの四賀光子を今井恵子が語る。
・諏訪高女、松本高女の校長をした土屋文明を中川佐和子が語る。
進行を日本歌人クラブの中央幹事である久保田登が司会して話し合いは進んでいった。
最後に信州ゆかりの歌人の歌を一首づづ挙げてこの項おわりとする。
○みづうみの氷は解けてなほ寒し三日月の影波にうつろふ (島木赤彦『太虚集』)
○ゆづらざるわが狭量を吹きてゆく氷湖の風は雪巻き上げて (武川忠一『氷湖』)
○鉦鳴らし信濃の国を行き行かばありしながらの母見るらむか (窪田空穂『まひる野』)
○濁流だ濁流だと叫び流れゆく末は泥土か夜明けか知らぬ (齋籐史『魚歌』)
○青くあれ青くあれと吹く風にけふも青くて揺るる柑橋 (四賀光子『双飛燕』)
○この三朝あさなあさなをよそほひし睡蓮の花今朝はひらかず (土屋文明『ふゆくさ』)