「角川短歌」2020年3月号にて「のぼるんだ生きるんだ」12首が掲載される。
角川短歌」2020年3月号にて「のぼるんだ生きるんだ」12首が掲載される。
光本恵子(未来山脈)
・ゴォーの音とともに川の決壊(けっかい)りんごも梨もみんな泥田に
・ずんずん水かさ上がり白壁埋まる二階に逃げろ
・濁流に呑みこまれる紅いりんご押しつぶして河は龍となる
・形あるものみるみる濁流にのみこまれる家も畑も
・鬼の面ゴォーとともに人も街も呑みこむ千曲川
・風案じ慌てて?ぎとるとるりんごまで濁流はさらっていった
・りんご園も道路も川も呑みこんで傾いた屋根にカラス一羽
・人の差に存在理由みつけたい蜘蛛は美しい罠を張る
・大蜘蛛は頭上に綱張り待ちかまえる捕(つか)まるのはどっち
・ポリコレってどこまで公正(こうせい)中立(ちゅうりつ)がこの世にあろうか
・鈍行に揺られバスのりつぎ屋島の里へひねもす与一と
・のぼるんだ生きるんだ金毘羅の石段ついに七八五段