宮崎信義の歌からまなぶ
- 2020年7月2日
- エッセイ
・本の始末はしておかないと死ぬにも死ねぬと思いながら渉らぬ
(宮崎信義歌集「山や野や川」より)
宮崎信義歌集『山や野や川』は平成17年10月にながらみ書房から出版した。宮崎93歳の時である。この歌集にある短歌である。これは平成14年(2002)の90歳の作。この年宮崎は、光本に「新短歌」を譲り「未来山脈」と合併した。それは生涯最後の時を、整理したいと思ってのことであったろう。何時その時が来てもおかしくない年齢になっていた。準備としては、このたくさんの書籍をどうするか。毎日毎日そのことが気になりながら、なかなか整理できないでいた。なにぶん書籍というのは重い。それより先にやらねばならぬことがあった。今まで作った短歌を本にまとめることである。実際、光本に歌誌の発刊を委ねてからの仕事ぶりはすさまじかった。
・平成14年(2002年)第10歌集『千年』(短歌研究社)。宮崎90歳。
・平成17年(2005年)第11歌集『山や野や川』(ながらみ書房)。宮崎93歳。
・平成19年(2007年)第12歌集『右手左手』(短歌研究社)。宮崎95歳。
・同年、『宮崎信義短歌作品集Ⅱ』(短歌研究社刊)。宮崎95歳。
平成21年1月2日に逝去。
その後、死の2週間前に呼ばれて京都に行った光本に託したのは本の整理のこと。最後と言って光本に託した第13歌集歌集「いのち」を死後1年して短歌研究社より出版した。
宮崎宅に残された書籍については下諏訪図書館に寄贈する約束を取り決めて、宮崎の亡くなった京都の家に数回取りに行ったのであった。娘さんの大木廸子氏にはたいへんお世話になった。
書籍は大切である。あまりに次々と捨てられている現状に憂いている。何が大切で何が不要か、見極める目と心を持ちたい。