素足(未来山脈第375号より抜粋)

隣のじいが蒔いた豆むっくり双葉が土をもたげました
福知山 東山えい子

図書館の図書の貸出期間が短すぎる 今回もまた期間園長申請

大阪 加藤邦昭

決算報告終了! ソーダ水を飲みながら武田双雲の動画に爆笑する
下諏訪 笠原真由美

目に見えないコロナ収束なく一年の折り返し月に半夏生が咲く
下諏訪 藤森静代

きっと恋をしているんだ 七月の空を若葉が戦ぐ(そよ)
富田林 木村安夜子

復興に予算もボランティアも足りないと災害来ぬように神頼み
下諏訪 小島啓一

夏至から十日目が半夏生 今年はことさらに待った白い花
京都 岸本和子

わが地球の生誕は四十六億年前 地球への生物出現は 三十八億年前とか
大阪 與島利彦

今年も秋田の高校同級生からさくらんぼが ゆうパックで届いた
飯田 中田多勢子

特別定額給付金の十万円が支給されたと通知が来た
米子 安田和子

朝霧にぬれたトウモロコシかいてきて熱々湯気のつぶつぶぞろい
諏訪 伊藤泰夫

玄関の鉢植えの福寿草春を知らせるように花を開いた
茅野 平澤元子

ピカマチスの葉っぱをなでれば海超えて砂漠の粒が鉢植えについて
埼玉 清水哲

コロナ三満自粛に各行事はほとんど休止になる 空き時間は自由だが
岡谷 武井美紀子

梅雨空の林の中からホーホケキョトッキョキョカキョク二羽の鳥
東京 鷹倉健

卯の花は早くも廃れて凌霄花雨にからめる石堀つづく
大阪 篠原節子

ひとりで見た桜ひとりで登る山しみじみとひとりコロナが来てからは
北九州 大内美智子

梅雨も明けないのにセミが鳴き始める いつから夏と呼ぼうか
流山 佐倉玲奈

また雨が強くなってきて水たまり大声でうたっておどる
岡谷 唯々野とみよ

気付かぬままにかさねていた年齢 予期せぬ病がわが身にも
境港 永井悦子

コロナ姫の物語 やなせたかしだったらどんな世界を描いただろう
山梨 岩下善啓

咳たん息切れ 止まらぬ咳のために夜中に何度も起きていた夫
米子 笹鹿啓子

資格を取ろうと勉強中 土日は特に机から離れない
横浜 大野みのり

ブロードウェイ・ブギウギのマスクにつられ電車を下りると夕焼け
東京 金澤和剛

施設に入りちょうどコロナさわぎにぶつかって誰にも会えない
諏訪 上條富子

明治参拾弐年購入輪島塗御椀 五十個の椀を捨てるという
下諏訪 光本恵子