太陽はいま(未来山脈第379号より抜粋)
- 2020年12月31日
- 会員の作品
文学の師匠の住まいに足繁く通った若かりし二十代
諏訪 藤森あゆ美
銀時計の下でと安夜子さんどこなの うろうろ名古屋駅ホーム
福知山 東山えい子
「ハレ」は「ケ」という言葉と対立的に用いられる
青谷 木村草弥
真夜中のベランダに十五夜の月 人は皆どんな夢を見ているのだろう
岡谷 三枝弓子
縄文の狩人たちが住むという湖底ふかく鎮もる諏訪の湖
大阪 與島利彦
去年のカレンダー未練がましくかかるやり残したことが多過ぎて
宗像 吉田桂子
起床の音楽もゆったりきける貸し切り三畳半のテリトリー
仙台 狩野和紀
黄色のオミナエシお盆にお墓に供える花に一本入れると見栄えがする
飯田 中田多勢子
申告すれば隣県島根に遠出OKの娘と心のよりどころ出雲大社に詣る
米子 大塚典子
「ローマ」とは枠組みでありローマとコンスタンチノープル並び立つ
青森 木村美映
突然に電撃走る右の腰 夫は動けぬ私をを支えてくれる
原 桜井貴美代
草に白い霜満天星の赤映える 休むトンボも赤色
原 太田則子
突然に嵐のごとく入院と言うお供を連れ私は患者となる
原 江崎恵子
ぞくっと背中が応答する マイナスの早朝のデビュー
原 泉ののか
目覚めると今日も青空心が躍る さあ出かけよう大きな空を見に
原 森樹ひかる
誰もいない静まりかえる秋の庭 ”ココニイルヨ”笹の葉ゆれる
富田林 木村安夜子
コロナで帰省もできずにいた そんなときに飛び込んできた訃報
流山 佐倉玲奈
米川のさざ波を見つけて今朝も歩くいつもの道を黙々と
米子 角田次代
現実の話なんか聞きたくないよ辛い痛い悲しいさみしい
北海道 吉田匡希
左肩から手首にかけて激痛が走る 身動きできなくなる
大阪 加藤邦昭
何で捨てられよう赤い服 作ってくれた人が目の前にいる
千曲 中村征子
赤ん坊の全き信頼のまなこ ごくんごくんとミルクを飲む
諏訪 宮坂夏枝
「ちはやふる」本当の意味も知らずして ただ追いかけるだけの恋
姫路 おり姫
視力脚力聴力腕力忍耐力減った 恋の力もっとも
岡谷 唯々野とみよ
弧になって唄ってもらうハッピー・バースデー 泣いてもいいでしょうか
諏訪 河西巳恵子
降りそうで降らない空のようなその顔いっそ激しく泣いてしまえば?
京都 毛利さち子