短歌の作り方
- 2021年6月1日
- エッセイ
口語の現代語で短歌を目指す私たちは出来るだけ自由に思いの丈を詠みたいものである。27音から35音程度に自在に歌が作られている。未来山脈6月号から挙げてみたい。
☆写実の歌
・米子に生まれ米子で育ち何度も登った城山は空気の如く
(角田次代)
・ハリセンボンの子分のように丸くふくらみ寒中を枝から枝へ遊ぶ子雀
(大塚典子)
・京へ行く鯖街道の起点とは これ小浜です魚背負って
(川嶋和雄)
☆別れと出発のうた
・今日ここから「初めて」の連続が始まる 東京へ引っ越す息子の出発点
(大野良恵)
・頻繁に連絡しないで欲しいと言われて視線を外して空見上げる
(藤森あゆ美)
☆擬人法のうた
・お花がいっぱい届き部屋の中は一足早く春爛漫 心ははまんぷく弾みます。
(金丸恵美子)
☆希望のうた
・平和があれば希望が生まれる 希望があれば憎しみが愛に変わる
(加藤邦昭)
・電子書籍のモニターをオフにして紙の栞をのせる 明日も生きよう
(金澤和鋼)
・沈丁花 香る先に貴方のおもかげの中の星の花
(小田みく)
・好きだからこそ思いあふれて少しづつ狂ってきた男の時計
(上平正一)
・花は花でいい 山は山でいい 僕は僕でいい
(辻岩倶歓)
・怖くともここが好きという漁師 津波の海でこれからも生きていく
(白鳥真砂子)
☆コロナの歌
・世界の街角をがらんどうにしてコロナウイルス密かに息づいている
(毛利さち子)
・新しい四月が始まった壊れる日常は そうかやっぱりコロナ禍
(木村安夜子)
・開花たよりの隙をついて押し寄せてくるコロナウイルス第四波
(増田ときえ)
・食べて寝て太った体をどうしよう これはきっとコロナのせいだ
(宮澤ほなみ)
☆日記風に
・九十四歳 難しい治療の夢から覚めてほっとする
(鈴木和雄)
・転勤族の兄とともに各地に行ったチェロ いま形見となり
(杉原真理子)