いのち(未来山脈2022年3月号より抜粋)
- 2022年3月2日
- 会員の作品
部首に総画に音訓索引 私は何を探しているのか
松山 三好春冥
魂が漆黒の闇に彷徨うから 加茂川を下ろう南へ行こう
京都 岸本和子
風に吹き寄せられた落ち葉 従来の動きに右往左往しては鎮もる
京都 毛利さち子
老いてこそ一層鍛えたい からだとこころ 人生崩れぬように
奈良 木下忠彦
体調は大丈夫かとシニア大の友 ドリンクの瓶の確かな重さ
岡谷 三枝弓子
変らない新年 変ったのは食べるのに欲がなく年を感じる始まり
東京 上村茗
初孫娘 寅年生まれ 昨春東京渋谷のIT企業就職コロナ元気
大阪 與島利彦
夜空に輝く星 幾千億個もの原子炉だと思うと凄まじい
岡谷 征矢雅子
ルービックキューブのように移動させ冷蔵庫から保存食とり出す
米子 大塚典子
急な病で妻が入院回復の顔も見られぬコロナ禍の面会謝絶
藤井寺 近山紘
大きな顔して夕食後に居座る時間という奴 脇の本を縦にもしない
千曲 中村征子
十月下旬に種を蒔いた菜の花が年末に咲き始めた
福山 杉原真理子
宇宙滞在を果たした前沢さんいいのよ自分で稼いだお金ですもの
大阪 高木邑子
待っていた双子流星群 瞬きを耐え夜空に食い入る(R3・12・14)
原 太田則子
年賀状今年で仕舞いと旧友から一人またひとり遠ざかって行く
原 桜井喜美代
寒風にゆらいでいる枯れた茎 地にロゼット広げて光合成
原 泉ののか
孫のボクシングの試合のたびに諏訪大社に祈願する 怪我しないよう
原 森樹ひかる
医師から厳命されている日付変更前の就寝 今日もまた破ってしまう
大阪 加藤邦昭
ピカマチスの力活かしてオミクロン株の感染拡大にピリオドを打たん
さいたま 清水哲
伊豆房総の海に憧れを抱きながら 寒中の倦怠を過ごす
松本 金井宏素
コロナ禍のなか優雅に踊るドガの名画の「踊子」の私のマスク
岡谷 土橋妙子