いのち(未来山脈2023年9月号より抜粋)

葦の茎みな刈り取られ上川の水はゆったり湖へとひらく
下諏訪 笠原真由美

幼と作る七夕かざり長くながく流れ星の如くゆれる
岡谷 三枝弓子

朝の散歩は気ままに電柱から次の次の電柱までと決めている
藤井寺 近山紘

コロナ禍のパンデミックを乗り越えてマスクと別れ青葉の山行く
北九州 大内美智子

夫はお酒担当 妻は賄い方 夫婦酒場の赤提灯
米子 角田次代

会ったことない仲良しの作る音はつなつに聞く流れ星たち
埼玉 須藤ゆかり

するどくてあつくてやさしい君だからいつも炎に喩えてごめん
北海道 吉田匡希

小半時を昼寝の目処に起きる午後洗濯物が竿に手招く
一関 貝沼正子

入院当時流れぬ時間にとまどう 救急車の音またひびいて
鳥取 小田みく

二年ぶりに燕が帰り雛が生まれ鴉対策をして見守る
福山 杉原真理子

ひまわり咲いたクロアチアでも咲いてくれ
埼玉 木村浩

安らかに眠るが如く君の頬その冷たさに心ふるえる
原 桜井貴美代

種を蒔いたがじれったい 落花生の頭で土をゆっくり上げ始めた
原 太田則子

足に力がなくゆっくり歩く 若者が追い抜く 世代交代の一コマ
奈良 木下忠彦

経糸緯糸くみ合せトンパタトンパタ布を織る
原 泉ののか

三泊四日の東北の旅へ 空は一面灰色の雲 その上には青空があるはず
原 森樹ひかる

鎌倉街道沿いの山の斜面に先祖利右衛門が馬頭観音の碑を建つ
岡谷 花岡カヲル

大学弓道を生で観戦したくて初めての日本武道館
諏訪 大野良恵

夏沢峠の名前に魅かれシャクナゲの中を歩いた夏の日よ
岡谷 征矢雅子

仕事 家事 散歩 盆栽 書き物 皆 一生懸命やる生きる為
大田原 鈴木和雄