太陽はいま(未来山脈2024年1月号より抜粋)

暑さに耐えた体に秋が染みる シャツを長袖に替えて朝のお茶を
松山 三好春冥

ずっと昏い中を走る電車に乗ってきみの待っている駅に着いた
下諏訪 笠原真由美

築山の陰に石蕗の黄色い花が咲いていた大きな葉の上にきりっと男性的な
大田原 鈴木和雄

人を魅了させる紫式部の実紫 秋の陽につやめく
岡谷 三枝弓子

十六歳の藤井聡太が見ていた雲の上の青い空 やわらかな横顔
富田林 木村安夜子

京都の母のお墓を訪ねる 秋の午後の黄金色の日差しの中で
茨城 南村かおり

鎌首を持ち上げたような蕾がこれほどの花になると誰が知る
米子 稲田寿子

災害時の救出者名簿に私の名前を発見市川光男まちがいない
箕輪 市川光男

ふっとわきでた青春の欠片なけてくるなぜか泣けてくる 秋ですね
米子 大塚典子

秋風の通り道に落ち葉無し箒も一休みだ
埼玉 木村浩

二階より紅葉の天辺眺めれば 一寸変色秋来たのかな
小浜 川嶋和雄

うつ伏せの孫の寝姿思い出しウルウルしながら婆ば眠れず
北九州 大内美智子

町内の人等と月見をしたと明るいメール夫も娘も失い一人身の友
四條畷 木村邑子

遺歌集の第三弾という「ニューヨークの唇」夏に届きぬ
青森 木村美映

台風近づく房総の地につかのまのすずしい小風がやってきた
千葉 石井義雄

君の愛読書が私のバイブルになる 同じ川辺を幾らでも歩ける
横浜 街川二級

「転ぶ」高齢者にとっての天敵 気をつけていても突然に起こる
米子 角田次代

今世紀 人工衛星急進化 私は擬似宇宙飛行士 地球俯瞰・拝観
大阪 與島利彦

終業前の気のゆるみにつけ込むせっかちな頭痛にそっと耐える
諏訪 大野良恵

色づき始めた山に秋蝉が一匹鳴いている朝 義母が逝く
福山 杉原真理子

誰が裁く 柿が悪いわけじゃない もいだ熊が悪いわけじゃない
千曲 中村征子

COP28「1.5℃目標」かかげた目標未来へ向き合う
大阪 花菜菜菜

虫の音の絶えた晩秋 空中にくもの糸が両手足広げ宙づり
下諏訪 藤森静代

勧誘をする親子連れがモニターに映る 日傘のなかの晴れやかな笑顔
甲賀 中村宣之

こころだけ先走るから風力5バスにホワイトノイズ求めて
埼玉 須藤ゆかり

百歳の夫がスプーン持ち「あ~んと口開けて」と糟糠の妻に食事さす
大阪 山崎輝男

再婚後に生まれた子も外資系企業に就職内定 四月からやっと社会人
大阪 加藤邦昭

紅白がフィナーレを迎えるころ 鎌倉の八幡さまに向かう
神奈川 別府直之

ダンスホールだったカレー&コーヒーの店 看板には男女が躍る
京都 毛利さち子