いのち(未来山脈2024年3月号より抜粋)

持続可能ななどと一人ごち 朝のサプリメント五粒ほおばる
富田林 木村安夜子

水栽培は好みでなくてヒヤシンスの球根もしっかり土に埋める
下諏訪 笠原真由美

これは何? 生芋蒟蒻のムニュムニュに口中あたふた
米子 大塚典子

刈り終えし稲の切株青芽だちまだいけそうな夢を育む
一関 貝沼正子

快適な目覚めを阻むこむら返り 無意識に自分を傷つける
諏訪 大野良恵

賀茂川に鴨と川鵜が陣を敷けど 不毛な戦を仕掛けはしない
京都 岸本和子

旅立ちは新しく育つものに心をつなぎ明日へとつなぐ
米子 角田次代

令和六年能登半島地震 静かな元旦に大きな揺れ諏訪は震度四
諏訪 宮坂夏枝

昨年のゆううつは引きずらないケセラ・セラで二〇二四年
岡谷 佐藤静枝

ステキ! 私もなるわと看護師がわが白髪の髪なでて言う
福知山 東山えい子

年の瀬の大晦日に生まれた息子 ふるさと母の家で迎える誕生日
流山 佐倉玲奈

大地震が後を絶たない 地球規模の力にどう対処するのか
神奈川 別府直之

さよならを言い電車に急ぐ新橋駅のクリスマスライトを浴びながら
茨城 南村かおり

年賀状 今年でお終いにと旧友から思い出は遠くへ流れ
原 桜井貴美代

目を凝らし深夜の空に食い入る 見つけた双子座流星群
原 太田則子

びゅうびゅう木枯らしふいてます落ち葉の舞もテンポアップ
原 泉ののか

冷たい空気を深呼吸 浄化された心で今日の新しい刻が始まる
原 森樹ひかる

令和六年元日に能登大地震 自然災害から逃れられぬ日本の道は
奈良 木下忠彦

大粒で真赤な実南天が何も無い そこにあるはずが緑の葉のみ
岡谷 三枝弓子

若狭路の杉の森には一本の 青に引き立つポプラは黄色だ
小浜 川嶋和雄