日本短歌雑誌連盟 理事会に参加して
- 2024年4月30日
- エッセイ
令和六年三月二十四日回、短歌雑誌連盟理事会に、未来山脈社からは岩下が参加。加盟結社・十五結社のうち、出席結社は九結社から十九名。委任状は四結社であった。 主な議題は、四月二十九日再の春季定期総会について。未来山脈社からは、別府直之が会計の担当となる。
他、それぞれの係等の分担を決め、当日の流れの確認、収支報告等がされた。
その後に半分程の時間を割いて行われたのは、今後の短歌結社の有り方について。発送代が高騰しているほか、物価上昇、会員の高齢化、人口減少。
短歌雑誌連盟に送られてくる、各結社の雑誌については、多くの冊数を宅急便と日本郵政を利用している。以下は蔵増氏のことば。
――郵送料が今後値上がりするのは確実なので、 スマートレターを検討するとの話も出る。コストが厳しくなってくるので、情報収集をし、他社の状況を見る。売上を上げるか、コストを下げるか、 贈与分を大幅に削るか。物価も高騰しており、出版社も厳しい現状である。何より人口が減っていて、時代も変わり、電子書籍の時代になって、紙の文化の終わりの時を見ているのではないか。
以下は会長の林田氏のことば。
――しかし、昭和二十六年、物資窮乏の時、師匠の木俣修が、短歌雑誌連盟が、リヤカーを曳いて紙をかき集め、各結社に配給したと言う時代があった。そうして日本の短歌を、文化を守ってきたのだ。
林田氏は強く、しかし寂し気に言われた。
かつて、復員した宮崎信義が戦後、物資の無い中、「新短歌」を発行し続け、政府の弾圧によって壊滅状態だった口語自由律短歌をたった独りで守り通してきた、と言う話を思い出した。
他に「栃木では高齢化の為、二つの結社が廃刊し、結社の消滅が切実な問題となっている。生き残った結社が、行き場を失った人を吸収するのが現状。結社が無くなって無所属になった身の辛さはよく分かる」とも林田氏は言われた。
蔵増氏は、「下を向いていても仕方ないから、上を見て。攻撃は最大の守備、拡大戦略を考えよう。コスト削減は何が目的か」と言われた。
会議に参加した私は、五十五歳。未来山脈社に 入会して二十五年。当日の参加された各結社の皆さんは、八十歳前後。私の親の世代である。若い人が居ない、私はもう、中堅の世代なのだが、その下の世代が居ない。もう私たちの世代が次の世代を作らねばならない年代なのだ。短歌を始めて二十五年。五十五歳の私に何が出来るのか、思いを新たに、深く考えさせられた短歌雑誌連盟の理事会の参加であった。
岩下善啓