素足(未来山脈2024年8月号より抜粋)
- 2024年8月2日
- 会員の作品
早採りのワカメのしゃぶしゃぶ生日に海の緑の元気をいただく
一関 貝沼正子
久しく夜の街に出掛ける事もないドアの向こう溶け込めない暗闇
藤井寺 近山紘
レジ待ちに一輪のカーネーションを持っている男子生徒にホッコリ
米子 安田和子
皆は湖周の花見に 私独り部屋から桜吹雪見て持て余す時間
諏訪 河西巳恵子
未婚かつ子なしの僕も読み聞かせ・おかいつソングのライブに出ます
青森 木村美映
給わりし喜び数え幸せ思う朝心病み苦しむ吾子に涙しつも
四条畷 高木邑子
文章講座の冊子「くらしの中から」が四十一号に「きくの会」は二十五期生
飯田 中田多勢子
「美味しいごはんありがとうございます」婿のこの一言にいやされる
諏訪 宮坂夏枝
病を期に仕事半分とする自由人 全て脱会のあとは新短歌のみ
鳥取 小田みく
この船路 皆で渡ろう道を追い 高度に進歩 カッコイイ列島
平塚 今井和裕
午後三時の多摩川沿い 桜の木陰で横になる すっと肌に当たる風が時間を忘れて
東京 下沢統馬
野山の縁冴え渡り書棚に増えゆく珠玉の歌集
福山 杉原真理子
大丸デパート五階のカフェにて「先生、もう三十年生きてね」プロポーズ!?
さいたま 清水哲
梅雨に夢見る雪のようだ久しぶりの恋は 涼しく冷たく全てが光る
埼玉 街川二級
便りがないのは元気な証拠とは言えず真心だけは忘れないで
仙台 狩野和紀
駐車場ぐるぐる回って下って見える駐車のミニカー
千葉 石井義雄
ふり返ればヨーロッパがユーロになる前に各国の旅をした夫と私
諏訪 宮坂きみゑ
戦争の話を聴かせてください 必ず後の世に伝えますから
山梨 岩下善啓
親切は呪いのひとつ微笑みは威嚇のひとつ愉しやわが世
北海道 吉田匡
紫紺和紙五角形の紙風船が破裂して 桔梗咲く文月の始まり
松本 金井宏素
「夕鶴」を語る現状の子供達に如何に映るのか 日本の美しい昔ばなし
伊那 金丸恵美子
また増えた植木鉢 カーテンを開け水やりするのが朝のルーティーン
流山 佐倉玲奈
梅雨晴れの間洗濯機は小気味よいシャツは香り乾いているよ
東京 木下海龍
紙上の名は故里のあの人かあの人が未来山脈の活字が引っぱるもの
近江八幡 芦田文代
京都高瀬川の鷺が諏訪湖の鳥と同じ目を 戻ってきた君
下諏訪 光本恵子