素足(未来山脈2025年8月号より抜粋)
- 2025年7月30日
- 会員の作品
岡谷 三枝弓子
- ひと雨ごとに枝葉をのばす緑の山々 大きく深呼吸している
- 何処から来たの我が家に着地蒲公英の綿毛 風に吹かれ空気に遊ばれ
神奈川 別府直之
- 村にひとつの一貫校 児童 生徒も 先生 保護者もみな輝いている
- 緊張した面持ちで防災訓練に臨む ひとりだけ迎えがまだ来ない
伊那 金丸恵美子
- 童謡唱歌の杜へようこそと始まる唱歌教室 初夏の歌が懐かしく沁みる
- 「夏は来ぬ」和歌からの言葉が美しい 歳を重ねて理解する日本の風景
岡谷 花岡カヲル
- 玄関に彩なすクンシラン 日毎に色を染めて咲きほこる
- 大の里二十三年初土俵から十三場所で七十五代横綱となる
愛知 川瀬すみ子
- メンズシャツSで体型カバーいざハツラツと自由に動く胸のあたり
- 「今ときの中だよ」返信有り車窓の動画付き 知らんけどグー
東京 桃谷具久夫
- コンクリート狭隘に咲くすみれ花背景の惨めに幸せ映える
- 赤トンボ国のため死んでくれ 革まり鉄アメリカに攻め入る
横浜 上平正一
- さくらの花に蝶がしがみついて流れてゆく・・・春の夕ぐれ
- さみしいなぁ・・・夢の中でも荒野を彷徨っているわたし
諏訪 宮坂夏枝
- 自分を労う計画「古稀の誕生日は好きな宿で過ごす」を敢行
- 行ってみたかった松本十帖自分にだけ相談してネット予約
平塚 今井和裕
- 日本人旅行といえば温泉と相場は決まり宿の料理
- 暖かき人の心を無にするな歌じゃないが人を信じて
箕輪 市川光男
- 誰も居ない朝一番の畑に立って深呼吸さあ仕事だ仙丈の日の出も近い
- アルプスの雪解け水を集めて天竜川はゴウゴウと流れる真に龍の姿だ
山梨 岩下善啓
- 戦後八十年 昭和も遠くなりにけり
- 明治も遠くなりにけり 小沢昭一がよく言っていたな
さいたま 清水哲
- 鶏インフル アメリカで牛に感染し死亡者も発生
- 十七年前に警鐘した鶏ウイルスはアメリカで牛から人へ既に感染
仙台 狩野和紀
- 四十年前の写真が不意に出てきた今日を知らずに笑顔満開の貴女
- 長屋育ちでマンションに憧れた訳じゃない本当は息苦しかった
下諏訪 光本恵子
- 車の運転は夫 十四歳の文子と六歳の玲奈と鳥取へ里帰りの夏だった
- 笑顔を遺してあの星になった坂本九 日本航空一二三便墜落事故で亡くなる