三枝弓子の選ぶ歌
- 2026年4月30日
- エッセイ
三枝弓子の選ぶ歌
四月号より
・「元旦」に値打ちあり 新年を寿ぐ年に一度の元旦のつきあい
大塚典子
・突然デイ廃止通告 たった一枚赤紙のように半年前総会地道にやると
河西巳恵子
・一軒家の窓ほんのりと幸せな灯 雪が舞う森のなか
桜井貴美代
・さまざまな事情抱え学び合う帰りの空に星がひとつふたつ
花 菜菜菜
・お互いの冗談も批判したり頷いたり あしたが明るい冬の夜
木村安夜子
・変わっても変わらなくても愛せたらガス燈はずっと灯り続ける
須藤ゆかり
・ガラス越しの海から泳げない私を残念そうに観る魚たち
大野良恵
・氷から水に戻ってゆく春に泥を浴びながらすべきことを する
吉田匡希
・響き合いがありいつも会いたくなる人に会いたい 生きるのが楽しくなるだろう
木下忠彦
・団欒を忘れた炬燵布団を捨てる 大寒の押し入れに残る過去
三好春冥
・温かい海暖かい風が運ぶ 列島を二分するのは山脈でなく
中村征子
・ソファーに横になって電話のコール消えるとたそがれ深める夕
西沢賢造
・とび散る草の血は青くさい切られても切られてもツンと芽を出す
東山えい子
・ストレスのかかる電話をかけている相手もストレス一票の選択
石井としえ
・箱の中にさらに箱あるさびしさよ手の平にのる辛子明太子
貝沼正子
・モーターにストーブ購入で大出費一人の暮らしせめて暖かく
佐藤靜枝
・これも冒険安心して任せられるかはやってみなければわからない
南村かおり
・はんぱない雪どけの音が耳に付きお陽様ほほえみ春近し
小田みく
・童謡唱歌を歌う明治大正昭和の歌 待ちわびていた春の讃歌
金丸恵美子