太陽はいま(未来山脈2026年5月号より抜粋)
- 2026年4月30日
- 会員の作品
奈良 木下忠彦
- ピアノ発表会十三年連続出場で表彰を 入院五回しつつも
- 発表会の合間合間に発症 病気が気配りしてくれたかのように
小浜 川嶋和雄
- 雪ながめストーブの火をそっと消す 陽は煌煌と食堂照らす
- 高梨沙羅ジャンプ混合団体銅 冬季五輪だミラノの空で
横浜 上平正一
- 朝公園に来ると鶺鴒がきてピョコンと頭を下げて挨拶してくれる
- 鳥たちがエサ争いしてるそばで双方むいてる黄水仙
千曲 中村征子
- てんやわんやトイレットペーパーを大箱で買った ホルムズ海峡を知った日
- 崖っ淵でわめく大統領トランプ 悪い奴はやっつけたあとは君達がやれ
岡谷 三枝弓子
- バレーボールコートの緊張感 選手のふと見せる笑顔に人柄をみる
- 笑顔は相手の心をあたためるそんな人生を送りたいひとりの夜の
岡谷 横内静子
- オリンピックのフィギア『りくりゅう。ペアの応援に力が入る
- “りくりゅう”ペアの成長を楽しんで私もいっしょに励まされてきた
岡谷 三澤隆子
- 土手下の光とどかぬ川面に蠢く白い鴨 石垣は凍てつき
- わが背丈にも及ばぬ枇杷の木 わら帽子とばされ吹きざらし
岡谷 片倉嘉子
- 電気はどこで作られて流れてくるかおもいを馳せる
- 大寒の店先に並んだいよかんの明るいオレンジ色 思わず手に取る
下諏訪 長田恵子
- 横浜の二十センチの菜花があずさに乗ってやってきた 友のみやげ
- 昼食にデザート食べて友との話は四時間 今度はいつ会える
松山 三好春冥
- 南の街に風花が舞う節分 刃物を研ぐ露天商の息が光る
- ううん苦いチョコレートだ 二月の日溜まりに冷えた体が溶ける
諏訪 宮坂夏枝
- 断捨離トレーナーを辞退した古稀を迎え意識するわたしの残り時間
- 一年目は自宅の集中断捨離二年目は講習生三年目トレーナー活動
大阪 山崎輝男
- カラスの雛は物まね上手 犬のワンワン猫のニャンニャン九官鳥か
- スズメが早く餌をおくれと指つつく 可愛い仕草に目を細む
諏訪 藤森あゆ美
- 玄関を出てすぐに踵を返すまた一つ忘れたね今日のこと
- 三年前と同じ薬を処方され目尻にしわ寄せ苦笑い
飯田 中田多勢子
- 訪問リハビリの楽しみは近所の喫茶店へ歩行器にすがって行くこと
- 椅子十二カウンター六の小さな店いらっしゃいませの声に救われる
静岡 鈴木那智
- 大寒の小春びよりの日差なか薄紅顔の寒桜さく
- 土肥桜うす紅色の衣装を着る目白 鴬よりて賑やかし
近江八幡 芦田文代
- 三和土の向こうに動く影お客さんですよと首のばしてみる
- 雑貨屋の箕の中にサルいます動かない目でお留守番
神奈川 別府直之
- ひとこと言えば何とかなると思わないのか気が利かないのか
- 席に荷物を置いたまま混雑していてもわれ関せず おいっ!
大阪 花菜菜菜
- 手術の後遺症右目 かすかな陽ざしあたたまる 確実に春
- 通りすがり「あんじょう降りや」の声 魔法がかかるラスト二段
青森 木村美映
- シャツ・パンツそして歯ブラシ以外には聖書と科学書のみの入院
- 縋る神ではありません立ち止まるときに語らう先輩として
下諏訪 笠原真由美
- 床にモップをかけ、“お遊びマット”を敷けば「風が来る?」と夫の顔がゆるむ
- マットの上に消防車 ショベルカー 機関車 レゴブロック・・・・ぜんぶ並べる
福山 杉原真理子
- ナースコールボタンを傍らに術後の夜は静かに更けてゆく
- 病の父は何度このような夜を過ごしたのだろう
鳥取 小田みく
- 寒さゆるみて築山のじんちょうげのつぼみ ほほえみかえす
- 決算だ 確定申告だと 多忙きわめるこの時間に梅の花は香る静かに
彦根 久保仁
- 曼殊沙華秋の彼岸に咲く華よ春の彼岸は彼岸桜よ
- 春の雨お墓の汚れ流しつつこの世の汚辱流せるならば
下諏訪 中西まさこ
- 何気ない日常を詠むそのひとのうたに隠れているものは何
- はしゃいだり寂しがったり淡々と家事をしながら隠しているもの
北海道 吉田匡希
- 首筋に春の匂いが懐いてきてうなじに残る番の証
- もう雷のない街角にいるはずもない君の影 追いかけはせずに