いのち(未来山脈2026年7月号より抜粋)
- 2026年7月1日
- 会員の作品
京都 岸本和子
- 叡山への雲母坂 細い山道に何とも素敵なキラキラネーム
- ボールペンより鉛筆 間違い直しを認めてくれる鉛筆が好き
横浜 上平正一
- 五郎助ほう何もいわずに羽根広げ黄泉の国へ旅立てり
- 五郎助ほうと人恋して人の世を憂いで長寿の「梟」黄泉の空へ
諏訪 大野良恵
- 煩わしいうつつ放れて沈み入るミシンの針目すすむ毎に
- 余り布誰を採用するか吟味して時を置き去りにする
松山 三好春冥
- こいのぼりの矢車が金の光を弾く 黄砂飛来の予報
- 黄砂飛来の前日に洗濯を終えて一服 ボットの湯が冷めていた
下諏訪 中西まさこ
- ローマの夏どの店も観光客ばかり座ればすぐに「マルゲリータ?」と
- まずサラダそしてクワトロフォルマッジ注文は英語だがイタリア訛り
諏訪 宮坂夏枝
- f分の一ゆらぎという言葉を知る いやしの音色のこと
- クリスタルボウルで奏でるその音色いやしの波動が身体に入る
福知山 東山えい子
- 最後だと九十四歳の兄が会いに来た ヨタヨタ運転ひやひや見送る
- 時には父母だった兄姉たちの想い出 逝った空見上げる
一関 貝沼正子
- 沖縄のエイサーの響き耳奥に眠れぬ夜は踊り出すべし
- ゴリゴリと首を回せば音がして旅の三日目家が恋しい
東京 下沢統馬
- ウィーンからブラハへ 冬のヨーロッパはどこも寒い
- 可愛い街 一言で表すとこうなる 欧州で一番好きな街並み
坂城 宮原志津子
- 連休に子や孫達やって来る天日干しふかふか寝具五人分
- 娘や孫娘食事作り任せてと色々揃え賑やかな夕食手卷寿し完成
岡谷 佐藤靜枝
- 月一度姉の家でカレーの日甥の次男が仕事帰りにとんでくる
- 地元で就職した甥の次男カレーの日に会える楽しみ
甲賀 中村宣之
- 裏白のチラシに昨日を詠んで スーパーへ行くとするか
- レシピ通りにいかないものだ人生の塩加減を間違えるなよ
静岡 鈴木那智
- 山寺の修業僧ひとり瞑想す釈迦入滅の絵の掛かる
- 灌仏会あま茶を注ぐ釈迦立像に歓喜して雨降らす八大龍王
大阪 花菜菜菜
- 潮風がはこんでくる風に誘われ五月に遊ばれる
- 独りはいいものだ 気ままに旅して海辺の此処
埼玉 木村浩
- ソファーもう何十年有るだろう七十を過ぎ座る時間長くなる
- ソファー一人用でも重いテレビに向けるだけで力がなくなった
近江八幡 芦田文代
- 継ぎ当てなんて死語かも リハビリや言うて靴下繕う雪の日
- 凄い家に住んでんのや「ナビあるぜ」と切り返された幼な会
鳥取 小田みく
- 海近し温泉に孫と来て合格祝いにジュースでカンパイ!!
- サイレンの音遠くにて スピードいはんか はたまた火事か
流山 佐倉玲奈
- 水耕栽培で育てたヒメモンステラ 大きなガラス容器に移しメダカを二匹
- 根と根の隙間を泳ぐ二匹のメダカ 毎朝生存確認のぞきこむ
小浜 川嶋和雄
- 東京の桜の開花聞いた俺 小浜も咲いたか公園へ行く
- 桜花重なり合って咲いている 婦人のカメラは小枝の蕾を
諏訪 藤森あゆ美
- いつの間に五十六にもなったのか時計の針は今日も右回り
- 十九でファンデーションを塗り始め化粧というもの知った赤い日
北海道 吉田匡希
- 嫉妬にもリボンかければ八重咲きのさくらばなにも見えなくはない
- 落ちる時も綺麗なままで椿に鼻寄せてもなんの匂いもしない