あ・ら・か・る・と(未来山脈 第293号より) 

萩に露を宿して水面を飛翔するサギ草濁世の夜明け

金井 宏素

 

すいと来てつうと飛びゆくあなた 背中の赤が「秋」の字を書く

坂口 廉

 

二時四八分を指して止まったままの時計 校舎はがらんどうに

宮原 志津子

 

神様からの休養時間よと人はいうけれど何だか落ち込んでゆく

佐藤 静枝

 

草刈機で畑の中の草を刈る 今まではなんとか自分でとっていたのに

中田 多勢子

 

猫背修正して気持よくカッコよく歩くこと数分 すぐ元に戻る

笹鹿 啓子

 

案山子は名指揮者 穂をつけた稲田に立って初秋の風をあやつる

土橋 妙子

 

切り開いた先祖の思いを断って山の畑荒れてたたずむ

唯々野 とみよ