和風土(未来山脈 第303号より抜粋)
- 2014年9月1日
- 会員の作品
見上げれば夾竹桃の白き花少女時代の私そこに立っている
及川 かずえ
枇杷が黄色になってきた鳥が啄んでいる口に含むと甘い
廣常 ひでを
父の娘でいられた幸せ 今も恩と教えを胸に感謝する日々
佐藤 静枝
酸素不足で湖辺へ上がってきた川エビのつかみ取りいま懐しい
藤森 静枝
フェンスでも金網でも蔓を伸ばして咲く朝顔の処世術
土橋 妙子
あっ忘れた! 飛んで行く 母が忘れ物、あっあっ!!
荒巻 あつこ
ひかり号に乗らずこだま号にする弱虫一人
狩野 和紀
あじさいの色はなぜ変わる 次女のなぜなぜに梅雨に重ねて答える
浅野 紀子
街路樹の花山水 そらにむかってしずかにゆれて咲く
山本 きよ子
夕映えの風におされて久しぶりに手長神社の階段を歩く
上条 富子
あなあな嬉しあな嬉し人の世の誕生を見た田植歌
宮坂 千佳代
雨やんだ 傘をたたむと見えたのは大空に広がる大きな虹
下沢 統馬
戦い抜いた十六ラウンド再審の扉は世論の前に開かれた
木村 美映