会員の作品

「未来山脈」の会員の作品です。

和風土(未来山脈 第303号より抜粋)

見上げれば夾竹桃の白き花少女時代の私そこに立っている

及川 かずえ

 

枇杷が黄色になってきた鳥が啄んでいる口に含むと甘い

廣常 ひでを

 

父の娘でいられた幸せ 今も恩と教えを胸に感謝する日々

佐藤 静枝

 

酸素不足で湖辺へ上がってきた川エビのつかみ取りいま懐しい

藤森 静枝

 

フェンスでも金網でも蔓を伸ばして咲く朝顔の処世術

土橋 妙子

 

あっ忘れた! 飛んで行く 母が忘れ物、あっあっ!!

荒巻 あつこ

 

ひかり号に乗らずこだま号にする弱虫一人

狩野 和紀

 

あじさいの色はなぜ変わる 次女のなぜなぜに梅雨に重ねて答える

浅野 紀子

 

街路樹の花山水 そらにむかってしずかにゆれて咲く

山本 きよ子

 

夕映えの風におされて久しぶりに手長神社の階段を歩く

上条 富子

 

あなあな嬉しあな嬉し人の世の誕生を見た田植歌

宮坂 千佳代

 

雨やんだ 傘をたたむと見えたのは大空に広がる大きな虹

下沢 統馬

 

戦い抜いた十六ラウンド再審の扉は世論の前に開かれた

木村 美映

 

 

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あらかると(未来山脈 第302号より抜粋)

眠っている間は浮世の苦労を忘れる それを極楽というのか

奥村 久像

 

あなたと仲良くしていくには私が向上しないと無理

堀江 美菜子

 

ともかくは いきていこう きょうもまたいきていきます

田村ゆかり

 

桧皮葺き吉野の古家の美しさ ああいう生活はもう戻らない

庄司 雅昭

 

ライラックの甘い香りに誘われて赤い蝶々がひらひら浮かれ

宮澤己代子

 

リニアが農村を変える静かな田園を突っ切って道路ができる

片倉 嘉子

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和風土(未来山脈 第301号より抜粋)

古寺の庭に咲く杜若今はひとりで見るその紫は永久の色

大阪 井口文子

 

雪残るゴールデンウィークの乗鞍 雪より白い水芭蕉さく

岡谷 三枝弓子

 

咲くままに咲かせておけば葉牡丹が四月の午後を大あくびする

一関 貝沼正子

 

京都西山古寺巡り 散った椿に木漏れ日が射し真紅に燃えている

大阪 山崎輝男

 

嫁いだ娘が泊った夜はなぜか幸せに思ってしまう親バカ

木曽 古田鏡三

 

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あ・ら・か・る・と -会員のうた- (未来山脈第300号より)

センバツ高校野球いよいよ プレーボールのサイレン高々となる

井口 文子

 

短歌を詠む日常がある これってすごいこと ありがたいこと

大塚 典子

 

ドドーンと屋根の雪 そのたびに心臓はドキドキ春はいつくる

伊藤 久恵

 

姉妹の参観日は階段の昇降に足がつりそう往復すると結構慌しい

浅野 紀子

 

他人のことは言えるものです 自分のことを知らないものだから

高木 史郎

 

花それぞれ人それぞれ命を詩う 無理をしないで明日をまつ

山本 きよ子

 

グラスに酌をしてくれた夫のやさしさグイと飲み乾す愚痴は言うまい

金丸 恵美子

 

虫たちが土の中で騒いでいる前日降った雪のため地上に出られない

宮澤 己代子

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あ・ら・か・る・と -会員のうた- (未来山脈第299号より)

昭和42年に出会った 熱海と東京を行ったり来たりの九十歳の染友

茨城で三百年続いた藍屋さんと出会い細々と型染を県展に出す

及川 かずえ

 

冬の夜 手を伸ばすとなんでもなく届く部屋の私の居場所が温かい

鈴木 養子

 

クラブ活動や研究サークルで気心を知り付き合いつづく長い人生

宮坂 きみゑ

 

年寄りの暮らしやすい街を目指して絆を結ぶ 蝋梅の黄は満開

角田 次代

 

十五人の身の上には立ち入らず でも支え合える仲間だ

東山 えい子

 

無骨な冬の手がアイロンの重さを思い出した 伸ばせない皺もある

三好 春冥

 

つぶやきは歌で つぶやきは祈りで人に語らぬ私のツイッター

上村 茗

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交差路(未来山脈 第298号より抜粋)

裾野が広い前橋の大地に響けこの歌声 届けこの愛

群馬 剣持政幸

 

登山より草花茸の名前を調べたり栗や山菜採りに夢中になる

米子 安田和子

 

変わらぬ暮らしこそ幸せと思いつ時は流れてすでに何年か

木曽 古田鏡三

 

春を呼ぶ師走の水仙花 忙しさ労わりこごえも温かくなる

下諏訪 藤森静代

 

仏壇の掃除と花を替え草餅を供えて線香をあげてお参り

飯田 中田多勢子

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交差路(未来山脈 第296号より抜粋) 

孫は鼻水たらしながら元気に遊ぶ 置き土産は風邪
長野 春日 歩

一夜にして枯れ木に雪の花 晩秋の雪景色に見とれ車中は和やか
下諏訪 藤森 静代

野良仕事を早々に切り上げて諏訪湖の足湯 きらめく波に時間を忘れる
伊那 市川 光男

朝霧に野山も里もすっぽり包まれて自動車のライトの光も灰色に
茅野 平澤 元子

隙を見て襲いかかる藪蚊なり やせっぽちよりでぶが旨いぞ
岡山 川上 博 (さらに…)

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あ・ら・か・る・と(未来山脈 第295号より) 

家じゅうに朝靄のような新米の香り一年の辛苦を味わう

松澤 久子

東京がオリンピック決定の朝 その頃俺はもう居ないかな

山田 治子

走り去る十一歳の息子の背中 遠くなるほど大人に見えて

藤森 あゆ美

ひとり暮らし交歓会も十二回目 見えなくなった顔新しい顔

大内 美智子

妻は八十六歳で私を残してあの世に行った耐えるよりない空しい一人

伊藤 文市

朝の陽ざしに糸トンボが障子に騒ぐあら一夜をともにしたのね

関 アツ子

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あ・ら・か・る・と(未来山脈 タイ294号より)

錆びた線路が草むらに消える駅の片隅青い郵便車が待っている

三好春冥

 

徴兵の板門店警備二年間 夜間の緊張

語る韓国の友

山崎輝男

 

手の平を合わす形にひっそりとおがみ蟷螂上がりかまちに

押谷盛利

 

劇薬は赤い血の色涙色 効くか効かぬか吾だけは効いておくれ

川上博

 

真っすぐに入れた菜切り包丁 心のうごきが大根のゆがみとなって

近山鉱

 

薄暗い木の下にひざ突いて蚊を追いながら銀杏を拾う

廣常秀雄

 

宇宙は薄皮をはがすようにあかされる

おのれのことは未知のまま

木下忠彦

 

JR福知山線の大惨事トップは無罪許せない庶民感情は

與島利彦

 

風の吹くまま枯れ葉がころがる細い道

こんな人生もあるか

木村安夜子

 

命がけで作った米が売れない福島の農民の痛みをとつとつと話す夫

東山えい子

 

諦めの境地で長湯に浸かるとほぐれてゆく積み上げた来歴の嵩

毛利さち子

 

風を切り紫陽花咲く道 学生らの銀輪が行く一列になり

大内美智子

 

コスモス咲き乱れる古里はデコボコ道を歩いてきた兄の心の安らぎ

吉田桂子

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あ・ら・か・る・と(未来山脈 第293号より) 

萩に露を宿して水面を飛翔するサギ草濁世の夜明け

金井 宏素

 

すいと来てつうと飛びゆくあなた 背中の赤が「秋」の字を書く

坂口 廉

 

二時四八分を指して止まったままの時計 校舎はがらんどうに

宮原 志津子

 

神様からの休養時間よと人はいうけれど何だか落ち込んでゆく

佐藤 静枝

 

草刈機で畑の中の草を刈る 今まではなんとか自分でとっていたのに

中田 多勢子

 

猫背修正して気持よくカッコよく歩くこと数分 すぐ元に戻る

笹鹿 啓子

 

案山子は名指揮者 穂をつけた稲田に立って初秋の風をあやつる

土橋 妙子

 

切り開いた先祖の思いを断って山の畑荒れてたたずむ

唯々野 とみよ

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